クルーズ船の側面に並ぶオレンジ色の救命ボート。「もしものときも安心」と感じた人もいるでしょう。
船の安全を世界共通で定めるのが、SOLAS条約(海上人命安全条約)です。救命艇(ボート)やいかだの設計や定員、訓練が定められています。
短距離国際航海ではない客船は、原則として左右それぞれに総定員の50%以上を収容できる救命ボートを備えます。合計100%以上です。さらに別に、総定員の25%以上を収容できる救命いかだが必要です。原則どおりボートを100%分備える船なら、救命艇といかだを合わせた「生存艇」は125%以上になります。
一方、主管庁の許可を受け、ボートの一部を同じ収容力のいかだに置き換えることもできます。その場合もボートは左右各37.5%以上、計75%以上を残します。置き換え分と追加分を含めれば、生存艇全体では125%以上です。
つまり、ボートだけでは全員分に満たない船もあるわけです。それでも生存艇全体では、条約の求める収容力が確保されるのです。
膨張式の救命いかだは、甲板上などの白い円筒形の容器に折りたたんで収納されます。
船が沈み始めた場合は、水圧で作動する離脱装置が深さ4m以内で固定具を解放します。その後、船体とつながるもやい綱の張力で膨張し、さらに張力が加わると弱い結合部が切れて、沈む船から離れる仕組みです。
では、125%以上とは何を意味するのでしょうか。SOLASは、全員分の生存艇とは別に、総定員の25%以上を収容できる追加のいかだを求めています。全員分を超える予備的な収容力を確保する仕組みです。
ただし「片舷のボートがすべて使えなくなっても全員が避難できる」という意味ではありません。片舷のボートは原則50%分ですから、反対舷の50%分と追加いかだ25%分を足しても75%にとどまります。
実際の安全性は収容力だけで決まりません。船体が一定の傾斜やトリムを生じても進水できる配置とすることや、退船信号から30分以内に全員分を進水できることなど、複数の基準で確保されています。
タイタニックが変えた掟こうした基準ができたきっかけは、1912(明治45)年のタイタニック沈没事故でした。
同船は大型木製救命ボート14隻、非常用カッター2隻、折りたたみ式4隻の計20隻を積載。
それでも当時の英国商務院規則には違反していません。必要な収容力が乗船者数ではなく総トン数を基準に定められており、搭載量は規則の水準を上回っていたためです。
この悲劇を受け、船の安全を国際的に取り決める機運が高まります。最初のSOLAS条約は1914(大正3)年に採択され、救命設備や無線の常時聴守を定めました。
ただし1914年条約は第一次世界大戦の影響で予定どおり発効せず、各国が内容の一部を国内制度に取り入れました。その後1929年、1948年、1960年と新条約が採択され、今は1974年条約を基礎に改正を重ねています。
その改正内容の一例が、新たに乗船した旅客を集合場所に集め、救命胴衣の使い方を説明する「旅客集合訓練」です。改正前は24時間を超える航海で、乗船後24時間以内の実施とされていました。
しかし2012年のコスタ・コンコルディア事故後、IMO(国際海事機関)は出港前か出港直後に行うよう改めました。改正は2013年採択、2015年1月1日発効です。
救命ボート自体も大型化しています。
並ぶオレンジ色のボートと白い円筒。その一つひとつに、100年以上前の悲劇から積み重ねた教訓が息づいています。

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)







![NHKラジオ ラジオビジネス英語 2024年 9月号 [雑誌] (NHKテキスト)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Ku32P5LhL._SL500_.jpg)
