サッカー日本代表の4年後のメンバーを識者に予想してもらった。世代交代はあるのか? 主力は変わらないのか? 台頭するべき選手などを考察。

4年後も上位を目指せる顔ぶれになっているだろうか。

【メンバーは大幅には変わらない】

中山 淳(サッカージャーナリスト)

サッカー日本代表2030年ワールドカップのメンバーを予想 主...の画像はこちら >>
FW/上田綺世 
MF/中村敬斗(佐藤龍之介)、久保建英堂安律(鈴木唯人) 
MF/藤田譲瑠チマ(田中碧)、佐野海舟 
DF/鈴木淳之介(小杉啓太)、高井幸大、冨安健洋(市原吏音)、関根大輝 
GK/鈴木彩艶

 ベスト32で敗退した今回のW杯メンバーのなかで、前回大会に出場していなかったレギュラークラスは、鈴木彩艶、渡辺剛、佐野海舟、中村敬斗の4人。決して多くはなかった。

 過去と比較して、それなりに選手層が厚くなった現在の状況を考えれば、おそらく4年後のW杯メンバーが大幅に変わることはなさそうだ。

 1トップは現在27歳の上田綺世が最有力。オランダで得点王に輝いたことで、今後はステップアップ移籍も望めそうで、ストライカーとしての能力は自ずと磨かれるに違いない。もちろん、今大会のメンバーに食い込んだ塩貝健人、後藤啓介らも可能性は十分にある。

 2列目も今大会のメンバーがベースになるだろう。ファーストチョイスとしたのは、堂安律、久保建英、中村敬斗の3人で、このなかでは最年長の堂安でも4年後はまだ32歳。中村と久保は30歳手前という、選手キャリアで最も充実していそうな時期だ。とりわけ2大会連続で不完全燃焼に終わった久保には、右サイドのみならず、中央で全体を仕切れるようにプレーの幅をさらに広げてもらいたい。

 2列目で躍進を期待したい選手は、今回は出場機会が限られた万能アタッカーの鈴木唯人が筆頭で、今夏にバレンシア(スペイン)に移籍した佐藤龍之介にも、レギュラーを奪えるレベルに進化を遂げてほしい。

 ボランチの中心は、間違いなく佐野海舟になるだろう。

今大会でもブラジル戦のゴラッソなど存在感は抜群だった。ボールを奪う能力は折り紙つきだが、奪ったあとの攻撃面のスキルも急成長中。順調にいけば、4年後は完全にチームの中心選手になっているだろう。

 佐野の相棒として期待できそうなのが、藤田譲瑠チマだ。今大会のメンバーには入れなかったが、ブンデスリーガでプレーの幅を広げているだけに、4年後はさらにスケールアップしていても不思議ではない。もちろん、田中碧が藤田や佐野を上回る成長を遂げている可能性も高いだけに、ボランチは引き続き激戦区となりそうだ。

 DFラインには、関根大輝、冨安健洋、高井幸大、鈴木淳之介をチョイス。関根はスタッド・ランスで出場機会を失い、新天地(キール)で捲土重来を図る。サイズ的な魅力も含め、酒井宏樹を超える右サイドバック(SB)に成長してもらいたい。左SBは鈴木淳之介が有力だが、センターバック(CB)としてもレギュラーを狙える存在。その場合の左SBとしては、小杉啓太の成長に期待したい。

 現在27歳の冨安は、ケガさえなければ、間違いなく歴代日本代表最高峰のCBだけに、4年後も彼が最終ラインの中心であってほしいと願うばかり。

その相棒には、その冨安を上回るポテンシャルを秘めた高井が最適で、このふたりのCBコンビはぜひ実現してほしい。

 GKは問答無用で鈴木彩艶。23歳でW杯の正GKを務めた経験とその活躍ぶりは、約束手形のようなもの。その存在は、4年後の日本代表最大のストロングポイントになるだろう。

【パリ五輪世代中心が理想】

浅田真樹(スポーツライター)

サッカー日本代表2030年ワールドカップのメンバーを予想 主力は変わるか?
FW/上田綺世 
MF/平河悠(中村敬斗)、鈴木唯人(佐藤龍之介)、久保建英(佐野航大) 
MF/藤田譲瑠チマ、佐野海舟(田中碧) 
DF/小杉啓太、高井幸大(喜多壱也)、冨安健洋、鈴木淳之介 
GK/鈴木彩艶

 今回のワールドカップの登録メンバーには、パリ五輪に出場した選手がひとりもいなかったことが話題となった。1998年フランス大会に初出場して以来、日本はワールドカップに8大会連続で出場しているが、直近の五輪に出場した選手がひとりも登録メンバー入りしなかったのは、今回が初めてのことだ。

 もちろん、鈴木淳之介や鈴木唯人は、パリ世代の選手であり、必ずしも「パリ五輪組ゼロ=パリ世代は低レベル」ではないのだとしても、パリ世代の台頭が、思ったように進まなかったことは認めざるを得ないだろう。

 しかしながら、例えば、2006年ドイツ大会では、登録メンバーにわずかふたりしか送り込めなかったアテネ世代が、4年後の2010年南アフリカ大会では、田中マルクス闘莉王駒野友一、阿部勇樹、松井大輔大久保嘉人らが主力を成し、自国開催以外の大会で、初めて決勝トーナメント進出を成し遂げている。

 今回のワールドカップでは不遇だったパリ世代が、4年後にどれだけ巻き返せるかが、日本代表の強化に大きくかかわってくるはずだ。

 藤田譲瑠チマ、佐野航大は、今回のメンバー選考でもギリギリの落選だったはずだし、平河悠、高井幸大もポテンシャルは高く、今後の成長が期待できる人材だ。

 すでに今回のワールドカップに出場した、鈴木彩艶、鈴木淳之介、久保建英、鈴木唯人も含め、年齢的にキャリアのピークを迎えているはずのパリ世代が、4年後には日本代表の中心を担っていなければ困る、というのが、このメンバー予想の大きなポイントのひとつでもある。

 そこにプラスして、チーム内競争を高めるのが、ロス世代の役目となる。

 すでに今回のワールドカップでも最後の最後までメンバー入りを争った、佐藤龍之介は言うまでもないが、ロス世代では特にDFラインに人材が揃っており、喜多壱也、小杉啓太と、10代からヨーロッパで場数を踏んでいる選手の今後は楽しみだ。

 ただし、本当の意味でのメンバー"予想"と言うのであれば、まだまだ東京世代に頼らざるを得ない部分が大きいのではないか、というのが実際のところだ。

 ここに名前を加えたのは、冨安健洋、田中碧、中村敬斗、上田綺世の4人だけだが、現実的には、板倉滉、三笘薫、堂安律らが、まだまだ日本代表に不可欠な存在であっても不思議はない。

 地元開催の五輪に向けて集中強化された東京世代は、やはり日本において特別な世代だからだ。

 しかし、ある特定の世代に頼り続けることは、新陳代謝を停滞させ、後々のしわ寄せが大きくなる可能性が高い。

 4年後はパリ世代が中心となり、ロス世代が彼らを脅かす。それが予想というより、理想である。

【現在の戦いを踏襲するメンバー】

西部謙司(サッカーライター)

サッカー日本代表2030年ワールドカップのメンバーを予想 主力は変わるか?
FW/上田綺世(後藤啓介) 
MF/佐藤龍之介(鈴木唯人)、久保建英(塩貝健人)  
MF/中村敬斗、佐野航大、佐野海舟、堂安律(菅原由勢)  
DF/鈴木淳之介(稲村隼翔)、伊藤洋輝、高井幸大 
GK/鈴木彩艶

 2026年W杯はラウンド32で敗退したが、強豪国を倒しうるチームとしてのベースは示せたと思う。次の目標は強豪国そのものになることだが、それはかなり遠い目標だ。

 強豪を倒しうるなら、すべて倒せば理論上優勝は可能ではある。だが、1回優勝するだけでなく、その後も優勝候補としての実力を維持してこその強豪国なのだ。また、そうした強豪国でなければ優勝するのも難しいのが現実でもある。

 フランスは1998年に開催国として初優勝したが、まだ強豪国と呼べるかどうか微妙だった。

2年後の欧州選手権(ユーロ)に優勝し、2006年大会で準優勝、2018年大会で2度目の優勝を成し遂げて、自他ともに強豪国となった感がある。初優勝からおよそ20年かかっている。

 スペインのように戦術的に唯一無二の存在として優勝すれば別だが、これは例外的なケースだ。

 モロッコは国王の号令で組織改革、世界最高クラスのトレーニングセンターの建設、選手、指導者、スタッフの人材育成を行なったので、ここ20年ほどで強豪の一歩手前まで強化されたが、日本にそのスピード感はない。

 日本が本物の強豪になるのはまだかなり先。それまでは現在の戦い方を踏襲して強豪国へ挑戦する立場を続けることになるだろう。

 そうなると4年後にメンバーが一新される可能性は低い。2030年に30歳になる2000年以降生まれでは、鈴木彩艶、瀬古歩夢、鈴木淳之介、菅原由勢、佐野海舟、中村敬斗、鈴木唯人、久保建英、後藤啓介、塩貝健人がいる。30歳を少し超える伊藤洋輝、堂安律、上田綺世らもまだ力を維持しているかもしれない。今回は選外となった佐野航大、藤田譲瑠チマ、佐藤龍之介、高井幸大は主力として加わっているだろう。

 さらに能力的には最高の三笘薫、冨安健洋は負傷の影響がなければ主力としてプレーできるかもしれない。選手寿命も延びているので、鎌田大地が健在の可能性もある。

 ここまでの選手たちでメンバー編成をしてみる。

 GK鈴木彩艶。DFは高井幸大、伊藤洋輝、鈴木淳之介。ウイングバックに中村敬斗、堂安律。ボランチは佐野海舟、佐野航大の兄弟。シャドーに久保建英、佐藤龍之介。1トップに上田綺世。リザーブの5人には菅原由勢、鈴木唯人、塩貝健人、後藤啓介に稲村隼翔を加えたい。

 ただ、このメンバーでW杯に優勝できるとは思えないので、ここから若手がどれだけポジションを奪えるかがポイントになる。

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