ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

――今週から夏の新潟開催がスタート。その幕開けを飾る重賞が、サマーマイルシリーズ第2戦のGⅢ関屋記念(7月26日/新潟・芝1600m)です。

大西直宏(以下、大西)新潟の開幕週と言えば、個人的には「千直」のGⅢアイビスサマーダッシュというイメージがまだまだ強いです。そしてまた、昨年から実施されている暑熱対策のひとつ、(長時間の昼休みを挟んだ)「競走時間帯の拡大」も今週からスタートします。

 移りゆく時代に合わせて、臨機応変に知識をアップデートし、新たな慣例に対応していかなければいけませんね。

――変化と言えば、関屋記念も昨年からハンデ戦となりました。先週のハンデ重賞、GⅢ小倉記念(7月19日/小倉・芝2000m)では、52kgという軽ハンデのゼンダンハヤブサ(10番人気)が勝利。関屋記念でも、斤量に恵まれた馬が波乱を演出する可能性があるでしょうか。

大西 そうですね。実績馬にとって、そもそも夏の重賞は秋の大目標を見据えての臨戦であることがほとんど。その分、仕上げにおいては、いわゆる"お釣り"を残した状態であることは少なくありません。

 さらに、実績馬は重いハンデを背負うことになりますから、勢いのある上がり馬や軽ハンデの伏兵馬に足元をすくわれることが多いです。ここでも、そういった決着があっても不思議ではありません。

――舞台は芝1600mの外回り。

同コースの特徴、勝敗を左右するポイントなどを教えていただけますか。

大西 マイル戦に限った話ではありませんが、騎手目線からしても意識せざるを得ないのは、新潟特有の日本一長い最後の直線です。芝外回りの直線距離は658.7m。見応えのあることで有名な東京・芝コースの直線(525.9m)と比較しても、100m以上の長さがありますからね。

 そんな終盤に待ち受ける勝負どころに備えるため、基本的に道中は(各馬、各騎手の)思い思いのポジションで脚をタメるケースが大半。それゆえ、道中の"折り合い"がひとつのポイントになります。

 つまり、馬のメンタルはもちろんのこと、鞍上もきっちり我慢して直線へ臨めるかどうか......それが、同コースを制するうえで重要なカギとなるでしょう。

――では、今回のレースで有力視している馬を教えてください。

大西 2023年のGⅡ毎日王冠(東京・芝1800m)を制しているエルトンバローズ(牡6歳)です。ここでは、実績的に一枚上。府中の芝1800mで結果を出している馬ですから、折り合いも問題ないでしょう。

 昨年の初めに骨折してからはひと息の競馬が続いていましたが、前走のGⅢしらさぎS(6月21日/阪神・芝1600m)で、先述の毎日王冠以来となる復活勝利を飾りました。

今回の鞍上は、短期免許で来日中のジェイソン・コレット騎手。馬のコントロールに秀でた名手ですから、同馬の実力を存分に引き出してくれるでしょう。

 ただ、ハンデは最重量となる59kg。それをどう克服するか、ですね。

 能力だけで言えば、ダノンセンチュリー(牡4歳)も十分に通用していい器。ですが、こちらは精神面で危ういところが見られます。それだけに、前半でペースが落ちついた際にうまく対応できるかがカギ。その課題さえクリアできれば、という1頭です。

――先にも触れたとおり、ハンデ戦、実力馬にとっては先々に大目標があることなどを考えると、これら有力馬も決して盤石とは言えない印象がうかがえます。これらの逆転候補として、目をつけている馬がいるのでしょうか。

大西 能力、折り合い、斤量、臨戦......これらの要素を総合的に判断して、アンパドゥ(牡5歳)が面白いと思っています。5歳馬ながら、キャリアはわずか6戦。

大事に仕上げられてきただけあって、馬はいまなおフレッシュ。まだ底を見せていないのも魅力です。

【競馬予想】ハンデ戦となった関屋記念は波乱含み 激走ムード漂...の画像はこちら >>
 これまでのレースを振り返ってみても、折り合いに問題はなさそうなタイプ。むしろ、エンジンがかかるまでに時間を要するくらいですから、まさに新潟の長い直線にフィットするのではないでしょうか。実際、昨夏の1勝クラス・五頭連峰特別(新潟・芝1600m)ではおよそ1年2カ月ぶりの長期休養明けで快勝。ダノンセンチュリーをクビ差で退けています。

 斤量も56kgと手頃。最初に話した「勢いのある上がり馬」にも該当します。ということで、あらゆる面から激走の可能性が感じられるアンパドゥを関屋記念の「ヒモ穴」に指名したいと思います。

武藤大作●取材・構成 text by Daisaku Mutoh

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