塚田農場運営の「エー・ピーホールディングス」国内外食業態の買収に意欲

居酒屋の塚田農場などを運営するエー・ピーホールディングス<3175>は、数店舗から数十店舗規模の国内の外食業態の買収を成長戦略に組み込んだ。

2027年3月期から2031年3月期までの中期経営計画で、M&Aの投資規模を5億~30億円とし、買収価格が買収先のEBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)の7倍前後に収まる案件を目安とする投資基準を定めた。

今後、国内の外食業態を中心に、自社ポートフォリオ(事業構成)を補完・強化する業態を対象にM&Aを検討する。

同社は2031年3月期に売上高約430億円を目指しており、M&Aで50億~100億円規模の売上高の上積みを想定している。

M&Aで売上高50億~100億円を上積み

エー・ピーホールディングスは、コロナ禍以降、2026年3月期までに不採算店舗の整理、業態の絞り込み、財務基盤の立て直しを進め、事業構造改革を完了したとする。

一方、品質や体験価値を重視して食事を選ぶ動きの広がりをはじめ、インバウンド(訪日観光客)需要の拡大や、AI(人工知能)活用による生産性向上などを、同社の本格的な成長フェーズへの移行に向けた機会とみる。

こうした背景を踏まえ、2026年5月に2031年3月期を最終年とする5年間の中期経営計画を策定した。

同中期経営計画では、飲食事業単独の成長モデルから、食を総合的にプロデュースする企業への転換を進める。

同社はこれまで自社店舗向けに食材を生産、販売する「生販直結モデル」を中心としてきた。

今後は、外販、輸出、ライセンス、プロデュース、中食、EC(電子商取引)などに販売先を広げる「生販両輪モデル」に転換する。

自社店舗向けの供給にとどまらず、食材や業態ノウハウを外部にも展開し、事業拡大につなげる計画だ。

あわせて同中期経営計画では、既存事業の非連続成長に向けてM&Aを活用する。

2031年3月期に売上高約430億円を目指しており、これとは別にM&Aを計画外の上乗せ要素と位置付け、5年間で50億~100億円規模の売上高の上積みを想定する。

M&Aでは、まず国内の外食事業を中心に、数店舗から数十店舗規模の案件を対象に検討を進める。

その後はキャッシュフローの状況に応じて、買収対象の規模を段階的に拡大し、生産流通、中食などでも、市場拡大や既存事業との相乗効果が見込める案件を検討対象とする。

M&A投資の規模は5億~30億円とし、買収価格が買収先のEBITDAの7倍前後に収まる案件を目安とする方針だ。

構造改革を終え、新たな成長フェーズに

エー・ピーホールディングスは、2020年3月期に230億7200万円だった売上高が、コロナ禍で2021年3月期は89億4100万円に、2022年3月期は79億9700万円にまで落ち込んだ。

その後は回復基調に転じ、2026年3月期は218億2100万円となった。

営業損益も2021年3月期、2022年3月期に30億円を超える赤字となったが、2025年3月期に2億6300万円と黒字に転じ、2026年3月期は8億4500万円を確保した。

同社は、こうした状況を踏まえ、アフターコロナでの構造改革を終え、新たな成長フェーズに入ったと判断した。

過去のM&Aでは、2018年に「串亭」「二平」のリアルテイストを子会社化したあと、譲渡が続いており、2021年に水産品卸のセブンワークを、2025年には2018年に子会社化したリアルテイストを手放している。

2026年3月期は、国内外食事業が売上高全体の70.0%を占め、次いで弁当、惣菜などの製造・販売を行う中食事業が16.8%となった。

このほか、海外外食事業が9.4%、食品、飲料の流通事業や、地鶏などの生産・加工事業を行う生産流通事業が3.8%だった。

同社はM&Aを計画外の上乗せ要素と位置付けており、外食業態の買収で業績をどこまで押し上げられるかが今後のポイントとなる。

買収先が加われば、売上高構成比にも変化が現れることになる。その変化の方向も注視される。

塚田農場運営の「エー・ピーホールディングス」国内外食業態の買収に意欲
エー・ピーホールディングスの売上高構成比

文:M&A Online記者 松本亮一

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