羊毛事業を祖業とする多角化企業「ニッケ」M&Aで第3の収益の柱を育成 次の柱は?

羊毛事業を祖業とし、不動産や産業資材などにも事業を広げているニッケ<3201>が、さらなる収益源の育成に乗り出した。

M&Aを活用して、ユニフォーム事業、不動産開発事業、不織布事業に続く第四の収益の柱として、機材事業の育成を進めている。

すでに2025年には鉄道車両や変電所向けの制御装置を設計・製造しているカコテクノス(神戸市)をグループに加え、FA(ファクトリーオートメーション)事業を手がけるニッケ機械製作所と合わせて事業基盤を強化した。

今後、第四の収益の柱の育成に向け、機材事業をめぐるM&Aがさらに進みそうだ。

第4の収益の柱に機材事業

ニッケは、2026年6月に公表した「ニッケグループ統合報告書2026」で、機材事業をユニフォーム事業、不動産開発事業、不織布事業に続く第四の収益の柱として強化する方針を示した。

前年の「ニッケグループ統合報告書2025」では、不織布事業について「収益の第3の柱となる見通しが立ってきた」とする一方、その次の事業についてはメディカル事業を筆頭に第四、第五の候補を育成する必要があるとしており、第四の柱は特定していなかった。

この1年で、第四の柱の候補が機材事業に具体化したことになる。

ニッケは、ニッケ機械製作所とカコテクノスの両社を核として機材事業を育成する方針で、中でもFA事業については、国内の生産年齢人口が減少する中、ビジネスチャンスが大きい分野だと判断し注力する。

「ニッケグループ統合報告書2026」では、車載、バッテリー、半導体分野を中心にFA設備販売を拡大するとともに「モビリティ関連分野を中心にM&Aを積極的に推進し、成長領域への投資を強化」するとしている。

現行の中期経営計画では、2024年11月期から2026年11月期までの3年間で設備投資とM&Aに約500億円を投じる計画を掲げている。

同報告書では、約500億円の投資計画について、実績は計画をやや下回る見通しとしており、計画期間の残りは短いものの、投資余地は残る。

さらに同報告書では、2027年11月期を初年度とする次期中期経営計画の策定に着手するとしており、次期計画では、機材事業のM&Aにどの程度資金を投じるのかが示される可能性がある。

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ニッケの収益の柱

再編を重ね事業領域を拡大

ニッケは1896年に神戸市で、毛織物の製造会社「日本毛織」として設立された。

繊維事業を主力に成長したが、繊維不況を背景に多角化を本格化した。

1980年代は工場跡地の活用による事業転換を進め、1984年に加古川工場跡地(兵庫県加古川市)でニッケパークタウンを、1988年に中山工場跡地(千葉県市川市)でニッケコルトンプラザを開業し、商業施設運営や不動産開発へ事業領域を広げた。

2000年代にはM&Aを成長手段として活用し、繊維以外の事業もグループに取り込んできた。

2008年には中国の産業用組紐メーカー・上海高繊丸高製紐を子会社化し、2012年にはペットフード事業のニッケペットケアを傘下に収めた。

一方で、2011年には中国の毛糸製造子会社を譲渡し、2012年には原糸卸業の南海毛糸紡績を子会社化するなど、祖業に近い繊維分野でも事業の組み替えを進めた。

近年は産業機材事業でM&Aを進めており、2021年には不織布・フェルトメーカーのフジコーを子会社化し、不織布事業を強化した。

さらに2024年には呉羽テックとカンキョーテクノをグループに加え、不織布事業はM&Aや組織再編を通じて、ユニフォーム事業、不動産開発事業に続く第三の収益の柱へ成長した。

祖業の繊維から不動産、生活関連、産業機材へと事業を広げてきたニッケにとって、M&Aは事業構成を変え、新たな収益源を育てる手段となってきた。

産業機材が最大の売上高構成比

ニッケの2025年11月期の売上高は1193億7700万円で、前年度比3.4%増となった。

営業利益は119億1300万円で同2.3%増となり、過去最高を更新した。

2025年11月期の売上高構成比をみると、不織布やFA機械などを手がける産業機材事業が全売上高の29.5%を占め、4事業の中で最大となった。

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ニッケの売上高構成比

ユニフォームや紳士服・婦人服向け素材などの繊維製品を中心とする衣料繊維事業は25.4%、商業施設運営や不動産開発などを手がける人とみらい開発事業は22.3%、寝具や家具、家電などを扱う生活流通事業は19.4%だった。

第四の収益の柱として育成する機材事業は、売上高構成比が最大の産業機材事業に含まれる。

ただ、機材事業単独の売上高や利益は開示されておらず、現時点で業績への寄与を把握することはできない。

ニッケは2026年11月期に売上高1300億円(前年度比8.9%増)、営業利益130億円(同9.1%増)を目標としており、M&Aで取得したカコテクノスも通期で連結業績に寄与する見込みだ。

これまで利益の多くをユニフォーム事業と商業施設・不動産開発事業が支えてきただけに、機材事業が収益を伸ばせば、産業機材事業の拡大だけでなく、利益を支える事業の広がりにもつながる。

不織布事業を第三の収益の柱に育てたニッケでは、今後、機材事業を第四の柱として収益に結び付ける取り組みが進むことになる。

文:M&A Online記者 松本亮一

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