「大林組」M&Aなど投資見通しが計画の約2倍に 事業ごとに収益性を明確化へ

大林組<1802>のM&Aをはじめ資本提携やVC(ベンチャーキャピタル)などへの投資が、計画の約2倍に膨らむ見通しとなった。

同社は2023年3月期から2027年3月期までの5年間の投資計画を950億円としていたが、1946億円に達するとしている。

2026年3月期までの実績は886億円で、2027年3月期に見込んでいた200億円を合わせた投資額は1086億円だった。

その後、2026年6月に公表した英国ロンドンに本社を置き、オーストラリア、英国、カナダで建築事業を手がけるMultiplex買収に伴う約860億円の投資が加わり、見通しが一気に拡大した。

M&Aを含む成長投資が拡大し、事業ポートフォリオも変化する中、2028年3月期を初年度とする次期中期経営計画では、各事業の成長戦略や将来像などを明確にしたうえで、目標とするROIC(投下資本利益率)、ROE(自己資本当期純利益率)を事業ごとに設定する考えだ。

関連記事はこちら
ゼネコン大手の「大林組」ジャカルタの高速道路事業に参画 現地運営権会社の48.8%取得で経営関与へ
「大林組」データセンターなどの高度な環境管理施設分野に本格参入 米GCON買収を機に

国内外で買収・出資を重ね事業基盤を拡充

大林組は2026年9月2日に発行した統合報告書で、2023年3月期から2027年3月期までのM&A、資本提携、VCなどへの投資見通しが、計画の950億円から1946億円に膨らむことを明らかにした。

2026年3月期までの実績は886億円で、2027年3月期は200億円を見込んでいた。

これを合わせた投資額は1086億円となり、この時点ですでに5年間の計画額を上回る水準だった。

さらに2026年6月にMultiplexの買収を公表し、約860億円の投資が加わったことで、5年間の投資見通しは1946億円まで一気に拡大した。

この間の主な買収・出資では、2023年に国内で木材や木造木質化資材の製造・販売を手がけるサイプレス・スナダヤを子会社化したほか、同年に米国の水処理関連施設建設会社MWHを買収した。

2024年には再生可能エネルギー事業を展開するニュージーランドのEastland Generationの株式50%を取得し、2025年にはデータセンターなど高度な環境管理が求められる施設の建設に強みを持つ米国のGCONを買収した。

「大林組」M&Aなど投資見通しが計画の約2倍に 事業ごとに収益性を明確化へ
大林組の2022年4月以降の主な買収・出資案件

ROIC・ROE目標を事業ごとに設定へ

大林組はこうしたM&Aなどを通じて海外建設をはじめ事業ポートフォリオを広げてきた。

M&Aを含む成長投資が拡大する中、次期中期経営計画では各事業の成長戦略や将来像を示したうえで、その実現に必要な自己資本と資本コストを明確にし、投下資本に対する収益性を示すROICと、自己資本に対する収益性を示すROEの目標を事業ごとに設定する方針だ。

現中期経営計画(2023年3月期~2027年3月期)では、グループ全体でROICを中期的に5%以上、ROEを2027年3月期に10%以上とする目標を掲げている。

これに対して次期中期経営計画では、全社単位の目標だけでなく、各事業でどれだけの資本を使い、どれだけの収益を上げるのかを明確にする方向に踏み込む。

海外建設の成長投資を今後も積極推進

統合報告書では、大林組はこれまでも投資案件を審査し、事業化決定後もモニタリングを実施してきたとしている。

必要な自己資本は事業ごとに設定し、投下資本や自己資本を事業規模に応じて見直してきた。

次期中期経営計画では、こうした資本管理に加え、ROIC、ROEの目標も事業ごとに設定することになる。

一方、M&Aについては、中長期的に事業ポートフォリオを発展させる重要な戦略的手段と位置付けている。

対象企業を大林グループの経営資源で成長させられるか、新市場への戦略的な参入につながるかなどを判断基準とする。

とりわけ海外建設事業では、企業提携やM&Aを含む投資を事業の成長を加速させる重要な要素とし、今後も積極的に進める方針を示している。

こうしたM&Aを含む成長投資を続ける一方、次期中期経営計画では投じた資本に見合う収益を事業ごとにより細かく管理する段階に入ることになりそうだ。

文:M&A Online記者 松本亮一

【M&A速報、コラムを日々配信!】
X(旧Twitter)で情報を受け取るにはここをクリック

【M&A Online 無料会員登録のご案内】
6000本超のM&A関連コラム読み放題!! M&Aデータベースが使い放題!!
登録無料、会員登録はここをクリック

編集部おすすめ