ヨド物置の「ヨドコウ」鋼板依存の収益構造を見直し 事業構成再編でM&Aが実行段階へ

ヨド物置で知られる鋼板大手のヨドコウ<5451>は、これまで進めてきた事業ポートフォリオ(事業構成)の再編を土台に、M&Aを実行段階へ移す。

2029年3月期までの3年間で成長戦略の推進に400億円規模を投じ、周辺事業領域の拡大と新たな成長テーマの創出を進める。

国内の人口減少や、AI(人工知能)、ロボットなど先端技術の進歩などで事業環境が変化しているため、主力の鋼板関連事業を中核に据えながらも、高付加価値製品の創出と成長分野の開拓が必要と判断した。

周辺領域と新テーマを対象に

ヨドコウは、2036年3月期に向けた長期ビジョン「BLOOMING VISION 2035」を策定し、鋼板関連事業を中核に据えながら、高付加価値製品の創出と成長分野への挑戦を進める方針を打ち出した。

この中で、成長戦略として事業ポートフォリオの最適化や周辺事業領域の拡大と並んで、持続的成長を見据えたM&Aを掲げた。

さらに、M&Aについては、周辺事業領域の拡大と新たな成長テーマの創出に向けた手段と位置付けた。

将来の成長を見据えたM&Aを実行する方針で、2027年3月期から2029年3月期までの3年間に、成長戦略の推進に総額400億円規模を投じる計画だ。

ヨドコウの沿革によると、同社は鋼板関連事業を広げる手段としてM&Aを活用してきた。

1940年に大阪トタン板製造所を買収し、亜鉛めっき鋼板の一貫生産体制を確立した。

1951年には寿工業泉大津工場を買収し、電気炉による普通鋼、特殊鋼のビレットや鋳鍛鋼品の製造を開始した。

海外では、台湾の鋼板製品製造・販売会社であるセンユースチールに1987年に資本参加し、1994年に子会社化した。

近年では2026年3月に、非鉄金属や各種建材などを扱う商社である佐渡島の株式を譲渡した。

同年6月には、中国子会社で亜鉛めっき鋼板、カラー鋼板の製造・販売を手がける淀川盛餘(合肥)高科技鋼板の現地企業への譲渡を決め、同年8月上旬に実施する。

こうした事業ポートフォリオの再編を土台に、今後はM&Aの実行段階へ踏み出す。

具体的な買収対象などの詳細は明らかにしていないが、M&Aは周辺事業領域の拡大と新たな成長テーマの創出に向けた手段であり、建材やエクステリアなど既存事業に近い領域に加え、新たな分野への進出なども選択肢になるとみられる。

鋼板関連事業に収益集中

ヨドコウは自社の強みを、鋼板と建材製品の一貫生産体制や、多様なニーズに応える営業力、信頼される技術力、成長を牽引する資本力にあるとみる。

直近の売上高構成比では冷延鋼板などの鋼板をはじめ、物置や建材商品を手がける鋼板関連事業が94.5%を占めた。

鉄鋼用ロールなどのロール事業は1.7%、格子状のふたや床材などのグレーチング事業は1.5%、ビルや駐車場などの不動産事業は0.7%、運輸・倉庫業、ゴルフ場、太陽光発電などで構成するその他は1.5%だった。

ヨド物置の「ヨドコウ」鋼板依存の収益構造を見直し 事業構成再編でM&Aが実行段階へ
ヨドコウの売上高構成比

同社は成長戦略の推進とともに、これら既存事業の強化にも力を入れる。

国内鋼板事業では外部パートナーとのアライアンス深化による取引拡大を進めるほか、エリア戦略の完遂による市場シェアの拡大に取り組む。

建材事業では、高機能外装材の拡充、省力化工法の検討を進め、エクステリア事業では重点取引先との取り組み強化による販売量拡大や、新分野の開拓による売上高の拡大などを目指す。

さらにロール事業では販路拡大と高収益ロールの拡販、グレーチング事業では内製化などに取り組む。

これら既存事業でも、技術、販路、商品群、顧客基盤を補完する手段として、M&Aを活用する可能性がある。

2026年3月期は、売上高1953億7300万円(前年度比6.3%減)、営業利益は118億6800万円(同14.5%減)となった。

国内で建設分野の人手不足や資材高騰、自動車生産の低調などにより需要が伸び悩んだことから、減収営業減益となった。

同社は2029年3月期に売上高2500億円、営業利益200億円、さらに2036年3月期に売上高3000億円、営業利益230億円の目標を掲げる。

鋼板関連事業に収益が集中する中、M&Aによって周辺領域と新たな成長テーマをどう具体化するかが、事業ポートフォリオ再編の実効性と業績目標の達成を左右しそうだ。

ヨド物置の「ヨドコウ」鋼板依存の収益構造を見直し 事業構成再編でM&Aが実行段階へ
ヨドコウの業績推移

文:M&A Online記者 松本亮一

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