今年も放送予定の人気ドラマシリーズ『ほんとにあった怖い話』(フジテレビ系)。1999年にスペシャル番組としてスタートし、2004年に2度のレギュラー化、2005年以降は、毎年8月に放送される夏の風物詩的特番として長らく親しまれています。

同番組の特徴といえば、その時々に注目される若手俳優が主演起用されるところ。過去を振り返ってみると、神木隆之介、蒼井優、長澤まさみ、小栗旬などがまだ売り出し中の若手だったときに出演し、初々しい演技を披露していたものです。

もっとも20代後半~30代前半の方にとっては、このような「若手俳優が出ている恐怖系ドラマ」というと、『ほん怖』よりも『木曜の怪談』のほうが思い出深いのではないでしょうか?

『木曜の怪談』が放送されていた期間は、1995年から1997年にかけて。『ほん怖』が一貫して1話完結型のオムニバス形式をとっているのに対し、『木曜の怪談』は連続ドラマが主体。特に同番組の看板シリーズとして人気を博したのが、『怪奇倶楽部』でした。

今井翼や前田愛も出演していた『怪奇倶楽部』


『怪奇倶楽部』は、いわゆる漫画『地獄先生ぬ~べ~』のような学園怪談モノ。同じ小学校に通う仲良しグループが、その周囲で起るさまざまな怪奇現象に立ち向かうという物語です。


全39話にわたって放送された同シリーズの魅力を支えていたのは、なんといっても怪奇倶楽部メンバーのキャラ立ちっぷり。
臆病な優等生・青木圭太(今井翼)、ヤンチャなトラブルメーカー・黒岩武(川野直輝)、マドンナ的存在のヒロイン・紺野エリカ(野村佑香)、中学生編から登場したボーイッシュキャラの藍原晶(前田愛)など……。

滝沢秀明と今井翼、川野直輝で「怪談トリオ」と呼ばれていた


それぞれ異なるパーソナリティをもつ者同士があーだこーだ言いながらも、問題解決の度に少しずつ仲を深めていく……。
そんな共感せずにはいられない展開を見せるストーリーに、「怪談」「オカルト」という子供の大好物な主題が絡んでいたのだから、放送翌日、筆者が通った小学校ではこの話題で持ちきりになったものです。

そして、この人気作を、堂々たる存在感とあいくるしさで牽引したのが、主人公・赤星のぼる役を務めた、当時13歳でデビューしたての滝沢秀明です。
このタッキーと共演の今井翼、川野直輝は、同じジャニーズ事務所所属ということで「怪談トリオ」と呼ばれて脚光を浴び、後のジャニーズJr.ブームを牽引する存在となっていきました。

中山秀征が主演を務めた『MMR未確認飛行物体』も人気だった


『怪奇倶楽部』と共に『木曜の怪談』の二枚看板を誇ったのが、『MMR未確認飛行物体』です。
『怪奇倶楽部』が霊的なモノを中心に扱っていたのに対し、こちらは超常現象がメイン。
MMR、すなわち「Magazine Mystery Reportage」の名の通り、『週刊少年マガジン』編集部内で編成された取材クルーがさまざまな超常現象を調査していく本作。いずれの事件も宇宙人・グレイが関係しているのでは……? という展開になるミステリーモノでした。

二枚目編集者役の細川茂樹、パシリ担当の後輩・関口知宏(関口宏の息子)を率いて、主役を演じていたのが、当時20代後半だった中山秀征。
今ではすっかり司会業に専念しているヒデちゃんも、この時くらいまではドラマ『静かなるドン』『花嫁は16才!』などで好演を披露する、役者としての顔も持ち合わせていたものです。本作でも、「絶好調のクルブシ(役名)です!」といって電話に出る、バラエティ番組で見せるキャラそのままの三枚目役を演じていました。


他にも、堂本光一演じる機械人間化した高校生が悪と戦う『サイボーグ』、高校制役の広末涼子と、壷の妖精役の田口浩正が活躍する青春コメディ『魔法のキモチ』、鈴木蘭々主演のファンタジー『魔法じかけのフウ』など、多彩な作品が放送された『木曜の怪談』。
ぜひともDVD化ないし、何らかの映像配信サービスで、もう一度、見られるようにしてもらいたいものです。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonより木曜の怪談 怪奇倶楽部