今年10月に放送された「世にも奇妙な物語’17 秋の特別編」の中で、ひときわインパクトを放っていた作品が、「フリースタイル母ちゃん」ではないだろうか。
中山美穂演じる主婦が、不思議なリップクリームの力でラップバトルを繰り広げるという奇想天外な話だが、中山美穂の慣れない(だが少しずつ上手くなって行く)ダサいのかキレがあるのかわからないような絶妙なラップと、今っぽいが突っ込みどころ満載の世界観が印象的だった。


このドラマの中でキレッキレのラップを披露する不良役を演じたのが浅利陽介だ。こまめに更新されている彼のブログには、「ヒップホップもともと、好きなんす。」と自ら綴っている。
最近では出演作「コード・ブルー−ドクターヘリ救急救命」(フジテレビ系)のヒットに伴って知名度を上げているように思える浅利陽介。

「よく見かけるけどあの人誰?」というような立ち位置で数々のドラマその他に出演しているが、現在30歳の彼のキャリアは4歳からデビューとかなり長い。

大河ドラマに朝ドラ……子役時代から凄かった


1994年に当時をときめく内田有紀主演の「17歳-at seventeen-」(フジテレビ系)でドラマデビューした浅利陽介。

1996年にはNHK大河ドラマ「秀吉」で宇喜多秀家の少年時代を演じた。その後も「元禄撩乱」「北条時宗」と話題の大河ドラマに次々出演。
2004年の大河ドラマ「新選組!」では、香取慎吾演じる近藤勇の養子となる谷周平を演じていたのを覚えている人も多いのではないだろうか。素朴な中に凛々しさのある顔立ちは時代劇に映えるようだ。浅利は、2016年までに8作もの大河ドラマに出演している。

さらに、1998年の「天うらら」、1999年の「あすか」、2012年の「カーネーション」と、NHK連続テレビ小説にも過去3作に出演。
どれも脇役ではあるが、「カーネーション」ではジュリー(沢田研二)をモデルとする歌手「ジョニー」を演じるなど、独特の存在感を放ってきた。

「キッズ・ウォー」でも好演した浅利陽介


時代は戻るが、さらに忘れてはいけないのが、1999年から2003年まで放送されていた昼ドラ「キッズ・ウォー」(TBS系)だ。

当初は元ヤンの母・春子(生稲晃子)が主人公として展開されていたドラマだが、その娘である茜役であった井上真央の人気が高まるにつれて、茜を実質のヒロインとする若者向けのドラマへとシフトチェンジしていった。
当時は茜と同世代の子どもたちにも、大人世代にも注目された話題作だったのだ。

浅利陽介は、ロングヒットしたこのシリーズの中で、「キッズ・ウォー~ざけんなよ~」の「3」「スペシャル」「5」に出演。茜に恋する不良を演じていたが、先日の「フリースタイル母ちゃん」で演じた不良役もまた、この10代の頃の浅利を久しぶりに彷彿とさせる雰囲気があった。

転機となった「コード・ブルー」


そんな彼にとって大きな転機となった作品が2008年からのドラマ「コード・ブルー−ドクターヘリ救急救命」だろう。

山下智久、新垣結衣、戸田恵梨香といった人気キャストの中で、主要人物のひとりである医師を演じ、ムードメーカー的な愛されキャラとして知名度を上げた。
すでに来年公開予定の映画版への出演も決まっている。


純朴な役から不良までこなし、長いキャリアの中途切れることなくドラマ、映画、舞台、CMなどに出演し続けている浅利陽介。
星野源、高橋一生など30代半ばでブレイクする俳優も多い中、浅利も30代では主役級の役も見せてくれることに期待したい。
(空町餡子)

※文中の画像はamazonよりコード・ブルー ドクターヘリ緊急救命 THE THIRD SEASON 上巻 (扶桑社文庫)