スーパーやコンビニで、セルフレジを導入する店が増えている。セルフレジとは客が代金を支払う際、自分で商品バーコードのスキャンから袋詰め、清算までを済ませるシステムだ。


 顧客にとってのメリットは、何を買ったか他人に知られないなど、プライバシーを守れる点にある。また、買い物点数が少ない顧客にセルフレジを利用してもらうことで、「会計を済ませるまでの待ち時間が長い」といった顧客の不満を解消することができる。

 店舗側の最大のメリットは、レジ部門の人件費削減である。加えて、省スペースにもなる。最新のセルフレジには、従来製品のおよそ半分程度のスペースしかとらないコンパクトなものもある。また、セルフレジの場合、客が商品を買い物カゴから直接レジ袋に移すので、客用の袋詰め作業台が不要になるのだ。
空いたスペースは催事売場などとして有効活用できる。

 大手スーパーを中心に、セルフレジの導入が進んでいる。イオンは一部の店舗で導入済みだが、さらに導入店舗数を増やす方針。西友は九州地区で展開するサニーでセルフレジを開始した。セブン&アイ・ホールディングスも傘下のヨークベニマルで導入し、今後はイトーヨーカ堂やヨークマートでテストを予定している。さらに、東急ストア、いなげやなどの中堅スーパーも導入を開始し、コンビニエンスストアではローソンも導入実験を開始した。


 セルフレジ導入の増加に伴い、製造メーカーにもラインアップ強化の動きが見られる。イオンのセルフレジ・システムを受注したのは富士通。対するNECは2008年12月、新たなセルフチェックアウトシステムの販売を開始し、セブン&アイ・ホールディングス傘下のヨークベニマルに納入している。こちらは現金のほか、クレジットカード、電子マネー決済にも対応し、購入金額が高い、点数が多いといった、量販店ニーズに対応できるシステムとなっている。ほかにも、電子マネー決済専用など、幅広い業種に対応できるよう、ラインアップを充実させている。

 厳しい経営環境が続く小売業としては、顧客メリットもあり、コスト削減になるセルフレジの導入はぜひ進めたいところだ。
ガソリンのセルフスタンドが普及したように、今後セルフレジはさらに広まっていきそうである。

(江口陽子)

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