どこか遠くへ行きたい……。そんなときに利用するのが長距離列車です。

乗り換えなしでいったいどのくらいの距離を乗ることができるのか、新幹線・在来線などさまざまなナンバー1を集めてみました。

寝台特急「サンライズ出雲」は約950kmを走破

 かつては1000km以上の道のりをひた走る夜行列車が東京駅から次々に発車していた時代もありましたが、それらの列車は新幹線網や航空網の発達で、次々と廃止されていきました。

 現在、時刻表に載っている定期旅客列車でもっとも長い距離を走るのは、東海道・山陽新幹線の東京~博多間を走る「のぞみ」で1069.0kmです。1000kmを超える定期旅客列車は「のぞみ」だけになってしまいました。

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在来線の定期旅客列車で最長走行距離を誇る寝台特急「サンライズ出雲」。いまとなっては貴重な夜行列車(2009年2月、恵 知仁撮影)。

 在来線では、東京~出雲市間を結ぶ寝台特急「サンライズ出雲」の953.6kmが最長。夜行の旅を楽しめる列車としても貴重な存在です。

日本の長距離旅客列車、1000km超は「のぞみ」だけ 在来線のロングラン列車は?

特急「にちりんシーガイア」に使われる783系電車。ゆったりした座席で5時間以上の旅を楽しめる(児山 計撮影)。

 昼間の旅客列車で最長となるのは、博多~宮崎空港間を結ぶ特急「にちりんシーガイア」で413.1km。所要時間も5時間30分~6時間ほどかかるため、列車の旅を満喫できることうけあいです。

普通列車のナンバー1は乗れない?

 普通列車では根室本線の滝川発・釧路行き2427Dが308.4km。所要時間も8時間19分と乗りごたえのある列車ですが、残念ながら2016年8月、台風によって根室本線の線路が寸断され、以来、一部区間で運休が続いています。復旧が待ち遠しいですね。

 次点は山陽本線の糸崎発・下関行き369Mで、297.2kmです。

 私鉄では、近鉄の京都~賢島間の特急が195.2kmで最長となります。JRほど路線規模が大きくないため、私鉄は長距離を走る列車があまりありませんが、ほかの路線と直通する列車であれば距離を伸ばすことができます。

 たとえば東武鉄道の特急「リバティ会津」は、浅草から会津田島まで東武鉄道・野岩鉄道・会津鉄道の3社をまたいで、190.7kmを走破します。

 なお、一般の旅客は乗れませんが、札幌貨物ターミナル(札幌市白石区)と福岡貨物ターミナル(福岡市東区)を結ぶ貨物列車は、約2100kmもの距離をロングランします。所要時間も福岡発・札幌行きは約43時間と、実に2日近くかけて走ります。

山手線の「長距離」走行列車は?

 東京の主要駅を環状に結ぶJR山手線は、大崎駅が運用上の区切りであるため、回り続けていても「ひとつの長距離列車」として扱われることはありません。

 しかしそれでも、何本もの山手線が、朝から夜までぐるぐる回り続けています。そのひとつが、田町を早朝4時38分に発車する外回り電車371G~2471Gです。

 この電車は田町1時05分発までのあいだに山手線を19周し、20周目は田町のひとつ先、品川に1時08分に到着します(平日ダイヤ)。走行距離は657.7km、所要時間は20時間30分。途中、駅には551回停車します。しかも通過駅はありません。ある意味、究極の長距離普通列車といえなくもありません。

 東海道本線・山陽本線でいうと東京から神戸を超えて、姫路の先くらいまでの距離を走りながら、地図上の移動距離は田町~品川間のわずか2.2kmというのも環状線である山手線ならではです。

【写真】4度目の東京駅に進入する都心の「長距離」電車

日本の長距離旅客列車、1000km超は「のぞみ」だけ 在来線のロングラン列車は?

早朝から深夜まで山手線を19周する371G~2471G。写真は4度目の東京駅に進入する871G(児山 計撮影)。