清水翔太 「一生忘れない」と胸に刻んだ、感動の初武道館公演
撮影/山口貴弘

■Naturally Tour 2012
2012.07.23(MON) at 日本武道館
(※画像10点)

2008年2月10日にデビューしてから4年5ヵ月――ついに清水翔太が初めて日本武道館のステージに立つ日が来た。6月5日からスタートした【Naturally Tour 2012】は7月23日(月)、満員の観客で埋まった武道館でファイナルを迎えようとしていた。


そこにいる誰もが彼の初武道館公演をお祝いしているかのような雰囲気に包まれた会場。オープニングアクトのSHUNがしっかりと場を温めた後、その幕は切って落とされた。
 「ブドーカーン!」
記念すべき第一声と共にステージに姿を現した翔太。客席からの歓声に包まれる中、ライヴはアルバム『Naturally』の1曲目を飾る「Get Back」からスタート。ダンサー6名と共に、「Gamble」「The Day」と最新アルバムからの楽曲が続く。時にセクシーに、時にダンサブルに、時にグルーヴィーに――会場は早くも“清水翔太ワールド”一色に染められた。


清水翔太 「一生忘れない」と胸に刻んだ、感動の初武道館公演
撮影/山口貴弘

清水翔太 「一生忘れない」と胸に刻んだ、感動の初武道館公演
撮影/山口貴弘

MCでは「今日は朝からずっと涙がこぼれそうで。思っていた以上に(武道館のステージに立つことを)夢見てたんだなって思った」と、この日を迎える喜びを口にした彼。聞けば、リハーサルでも感極まる瞬間があったという。その想いを歌に、全身に込め歌っていることは、開演直後から伝わっていた。ダンスの切れの良さはもちろん、中盤に翔太自らがピアノを弾き披露した「your song」「Tonight」では、ピアノの音色までもが意志を持っているかのよう。バンドとの息もバッチリで、よりエモーショナルな歌声を響かせてくれた。


バンドメンバーとダンサーによるパフォーマンスを挟み、再びステージに登場した翔太は、先ほどまでのストリート系ファッションから一転、ビシッとしたスーツ姿に! とはいえ、ショッキングピンクのソックスや、照れながら「大人でしょ?(笑)」と問いかける姿は、23歳の青年そのものだ。ジャズテイストの「Only me, Only you」をクールに決めた後、「清水翔太の原点を聴いてください」と披露したのはベン・E・キング「STAND BY ME」のカバー。イントロが始まった瞬間、客席から「おお~!」という驚きと喜びの声が上がる。この曲は自身のメジャーデビュー前に、R&Bシンガー憧れの地“アポロ・シアター”で歌った思い入れのある一曲。長年歌っていることもあり、この日も堂々としたパフォーマンスで観客を魅了した。そして圧巻だったのは、続いて披露された濃厚なスローファンクナンバーの「Overflow」。
低音から高音までアグレッシヴなフェイクの応酬に、まるでニューヨークにいるかのような気分に。それくらい、彼の歌は“本物”なのだと改めて思わされる瞬間だった。

清水翔太 「一生忘れない」と胸に刻んだ、感動の初武道館公演
撮影/山口貴弘

清水翔太 「一生忘れない」と胸に刻んだ、感動の初武道館公演
撮影/山口貴弘

その勢いに乗って、ライヴもいよいよ終盤戦へ。アルバムの中でも一際ポップでアッパーな「Picture Perfect」でダンサーと共に会場を盛り上げると、本編を締めくくる曲として翔太が選んだのは名曲「君が好き」。観客の大合唱が巻き起こる中、恒例の観客を指差し<君が好き>と歌うシーンでは客席から悲鳴にも近い歓声が。また、同じフレーズを<みんなが好き>と替えても同様に歓声に包まれる。
その光景は、武道館という大舞台であっても観客を魅了できる翔太のステージングの巧さを物語ると同時に、清水翔太というアーティストがいかにファンから愛されているかを証明するものだった。

清水翔太 「一生忘れない」と胸に刻んだ、感動の初武道館公演
撮影/山口貴弘

アンコール1曲目は、タイトルからしてシチュエーションにぴったりの「マダオワラナイ」。「本当にありがとう!」と元気いっぱいに登場した翔太だったが、途中、それまで堪えていたのであろう涙が溢れた。歌えなくなった彼を助けるかのように客席から響く歌声は感動的だ。涙の理由を「本当に嬉しくて。嬉しすぎて涙を堪えきれなかった」と話した中には、そんな観客の温かいサポートに対する感謝の想いも含まれていたのだろう。
会場の空気がより一体感を増したところで、翔太の呼び込みによってこの日のスペシャルゲスト、小田和正がステージに登場! まさかのサプライズに、武道館は驚きと喜びが入り交じった興奮に包まれる。すると小田は「翔太に初めて会ったのは2009年。それから何度も会いましたが、翔太から話し掛けてきたことは一度もありません。でも、こんな大事なステージに呼んでくれて、僕が鬱陶しかったわけではないんだと安心しております」と、二人の間のエピソードを披露し、観客を笑わせる。そして“二人でできる唯一の曲”として、今年2月にリリースされたコラボ曲「君さえいれば」を披露した。小田と翔太のコラボが発表された時も大きな話題となったが、観客の目の前での共演が実現することとなったこの日のステージは、翔太の初武道館にこれ以上ない華を添える、スペシャルで贅沢な出来事となった。
歌い終えた二人はステージで抱き合い、小田は「清水翔太をよろしくお願いしまーす!」と言い残し、ステージを去っていった。

清水翔太 「一生忘れない」と胸に刻んだ、感動の初武道館公演
撮影/山口貴弘

清水翔太 「一生忘れない」と胸に刻んだ、感動の初武道館公演
撮影/山口貴弘

興奮冷めやらぬ雰囲気の中、翔太が次に披露したのは弾き語りによる尾崎豊「Forget-me-not」のカバー。彼にとって「大事な曲」というこの曲を翔太は会場の隅々にまで届くように丁寧に歌い上げた。そしてついに迎えた最後の曲を前に、翔太は「今日のことは絶対忘れないから、みんなも絶対忘れないでほしい。とにかくみんなに会えて、みんなとここに来れて、本当に幸せです。ありがとう」と、この日のライヴを振り返った。そして更に「僕はみんなのことを“HOME”と呼びたいし、今日一緒に過ごした時間が“HOME”だと思う。だからまた明日から頑張っていこう」と続け、格別な想いでデビュー曲「HOME」を披露。力強い彼の歌声と観客の大合唱に満ちた武道館が、まさにみんなにとっての“HOME”となった時間だった。

翔太が「自然体」「原点回帰」というテーマで制作した『Naturally』を引っさげての今回の全国ツアー。そのファイナルを飾った日本武道館公演は、その想いが結実しただけでなく、さらに清水翔太の新たな可能性を私達に提示するものだったように思う。最後のMCで「またみんなで武道館に来たいね」と言った翔太の言葉は、そう遠くない未来に、よりパワーアップした形で必ずや実現するだろう。
(取材・文/片貝久美子)


この日、本番のステージの前には、清水翔太オフィシャルYouTubeチャンネルで開催した「The Day歌ってみたコンテスト」受賞者との歌唱、そしてミート&グリートも行なわれた(写真9枚目・10枚目)。見事、最優秀賞に選ばれたのは“道”さん。翔太のリハーサル終了後、ステージに上がった道さんがまずはマイクチェック。その後はぶっつけ本番で、1発撮り歌唱。イントロと共にステージに現れた翔太の姿に驚き、一瞬にして緊張してしまった道さんだったが、いざ歌が始まると、じつに堂々とした歌を披露してくれた。聞けば、事前に本人達に伝えていたのは、歌い分けパートのみだったという。その度胸には翔太も驚き、歌唱後には「(一緒に歌えて)とても楽しかった」と話していた。

歌唱のあとは楽屋でミート&グリートを実施。翔太と一緒に、日本武道館のステージで一緒に歌を歌えるという経験に対して道さんは、「とにかく最高でした。涙が出そうだったんですけど、とにかく翔太くんの目を見て歌いたいなと思って。間近で聴くと翔太くんの魂そのものが自分の心に伝わってきて。ずっと翔太くんについていきたいです。これからも頑張っていこうと思いました」と、感動しきりの様子だった。
(取材・文/田上知枝)

清水翔太 「一生忘れない」と胸に刻んだ、感動の初武道館公演
撮影/山口貴弘

清水翔太 「一生忘れない」と胸に刻んだ、感動の初武道館公演
撮影/山口貴弘

≪セットリスト≫
1. Get Back
2. Gamble
3. The Day
4. You&I
5. 冬が終わる前に
6. love
7. your song
8. Tonight
9. Only me,Only you
10. STAND BY ME
11. Overflow
12. Picture Perfect
13. アイシテル
14. 君が好き
<encore>
1. マダオワラナイ
2. 君さえいれば
3. Forget-me-not
4. HOME

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