13歳の時に、アニメ『名探偵コナン ゼロの日常』エンディング主題歌「Find the truth」でデビューしたRainy。が、15歳の誕生日である6月28日に1stアルバム『Rainy。
UNIVERSE』をリリースする。

「聴く人にRainy。の世界を魅せたい」という思いが込められたアルバムタイトルのもと、13歳の時の初めての作詞曲「ME」や、リズミカルなラップに挑戦した「Live it Up」、『名探偵コナン』の新エンディングテーマでありドラマティックなストリングスが入った「…and Rescue Me」、全編英語詞の弾けるようなダンスポップ「Rain your World」等、多彩な楽曲が収められている。日本とオーストラリアにルーツを持ち、「世界中に自分の歌を雨のように降らせたい」という意味合いを宿したアーティスト名を持つRainy。に、アルバムのことや音楽への思い、ロールモデルについて聞いた。

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―1stアルバムの『Rainy。
UNIVERSE』はどんな作品になったと思いますか?

Rainy。:普段の明るいRainy。だけでなく、いろいろな表情を表現したアルバムですね。1曲1曲違うイメージを思い浮かべて、色を付ける感じで深い思いを歌いました。「ME」という曲は私が13歳の時に初めて作詞した曲なんです。言葉を綴って、だんだん思いが募っていく様を音でも表すことができることにワクワクしました。
当時の悩みや、夢に対する思いを書いた歌詞ですが、書きながらいろんなアイディアが浮かびましたね。

―自分の弱さが赤裸々に描かれていますよね。

Rainy。:そうですね。前から頭に浮かんだ言葉をメモしていたんですが、とにかく自分の思いをぶつけたくて普段あまり見せない素の自分を込めました。Rainy。
としてデビューして、いろんなステージに立たせていただく中で、「私はもっと大きくなれるんだろうか」とかすごく悩んでいたんです。それで東京から地元の福岡に帰る飛行機の中で思いを言葉にしてみたら、たくさんのことが浮かんできて、いつの間にか紙を3枚使ってました(笑)。そのメモをスタッフの方に見てもらって、「歌詞にできるんじゃないか」っていう話になったんです。この曲を聞いて「Rainy。もこんな風に思うんだ?」っていう風に共感していただけたら嬉しいですね。

―最終的には、「自分は自分でいればいい」という力強いメッセージの曲になっていますが、それは意識したのでしょうか?

Rainy。
:そもそも私は悩んでは「何とかなるか」って思って立ち上がるタイプなんです。でもやっぱりうまくいかないことはあって、その時に「私はここまで来たんだからもっとできる。自分を変えるためには、まず自分の可能性を信じることが大事だ」っていうことに気づいたんです。それで「自分は自分でいればいい」という歌詞を書きました。

―「泣きたい時は 泣けばいい」「笑いたいときは 笑えばいい」という歌詞がありますが、普段はどこか我慢している感覚があったりするんですか?

Rainy。:結構緊張しやすいタイプなんですよね。
いろんなことに本気で挑戦しているからこそ、笑顔しか出てこなかったり、逆に笑顔が全然出てこない時があるんです。どれだけ頑張っていたとしても、自分の気持ちを正直に出さないといいものはできないのかなって思って、「じゃあ笑いたいなら笑えばいいし、泣きたい時は思う存分泣いて、これだ!って思う自分の気持ちを探すためにやり切っちゃった方がいいんじゃないか」って思ってそのフレーズを入れました。

―自分の歌詞にメロディがついて曲になった時はどんな気持ちになりましたか?

Rainy。:まずは、自分の言葉が曲になったことへの驚きがありました。レコーディングをしていくうちに、気持ちとメロディが一緒になっていく感覚があって、「私はこういう風に歌いたいんだ」っていう思いが募り、自分の気持ちを一番ダイレクトに歌うことができた曲だと思います。

―他の人の歌詞を歌う時の気持ちとは違うものがありましたか?

Rainy。
:他の方が書いてくださった歌詞の曲を歌う時は、自分なりに解釈したストーリーを思い浮かべながら歌うんです。「ME」は何度も歌詞を読み返す中で、「こういう歌い方の方が伝わるかな」っていうことを考えながら、ディレクターの方と話し合って歌っていきました。私が書いた歌詞ですが、たくさんの人のおかげで曲が完全体になったような印象があります。

―Rainy。さんのパーソナルな気持ちが書かれた歌詞でありながら、いろいろな人にも当てはまるものになっていると感じました。そこは意識されたんでしょうか?

Rainy。:そうですね。自分のことを書いてはいますが、やっぱりたくさんの方に聞いてもらいたいので、いろいろな人が感じているであろう、なかなか言葉にできない思いを言葉にしようと思いました。いろんな解釈ができるような歌詞を意識しましたね。

―「ME」はミドルテンポのバラード調ですけど、アルバムには例えば「Live it Up」のようにラップ調の歌唱をされている曲もあって、歌唱法も様々ですよね。

Rainy。:そうなんです。初めてラップをやってみて、噛んでしまい大変だったところもあったんですが(笑)、リズムに乗りながらいたずらっ子みたいな感じで笑うRainy。を思い浮かべて臨みました。「Live it Up」はリズミカルな曲調だし、また違う表情の曲になっていると思います。ラストサビにフェイクを多めに入れてみたり、たくさん挑戦した曲ですね。アルバム全体として、「それぞれの曲で違う表情を見せたい」っていう風に強く意識したことで、「どう歌い方を変えればいいんだろう」って悩んだ部分もありました。例えば、「素直になれたら」っていう曲はアルバムの中で一番メロディと歌詞が透明感にあふれているので、「どう表現すればいいんだろう」って悩んで、結局とにかくまっすぐに歌うことが大事だと思いました。

―曲によって歌唱アプローチを変えることで、音楽の面白さを感じた部分はありましたか?

Rainy。:録っている時は「ちゃんと違う表情を出せたかな?」って不安を感じることもあったんですが、聞いてみたら自分では想像していなかったような変化が生まれていたので、「頑張って良かったな」って思いました。「素直になれたら」は私としてはまっすぐすぎて泣いてしまうような曲だと思っていたんですが、スタッフさんの中には陽が差している明るい曲だと感じてらっしゃる方もいました。「確かにそういう解釈もできるな」って思って、人によって曲の受け取り方が違うということに気づけたのは嬉しかったです。聞いた人が同じ思いを抱かなくても、それぞれが抱える思いに歌詞とメロディが当てはまったら良いなって思います。

―曲ごとに自分の解釈で歌いながらも、スタッフの方とコミュニケーションを取ることを大事にされているんですね。

Rainy。:そうですね。まずは自分の解釈で歌ってみるんですが、どうしても主観的になってしまうので、スタッフさんから「そういう解釈だったらこういう歌い方の方がいいかもしれないよ」ってアドバイスをいただいたりします。より良くするために、いろんな意見を集めていきました。自分の意見を持つことはすごく大事ですが、それを幹にしてたくさんの意見を植え付けながら意見を確立させていくことはすごく良いことだと気付いてからは、日常でも意識していますね。

―「…and Rescue Me」や「Find the truth」「Freeze」等、困難から強い希望を歌う曲が多く収められていますが、それについてはどんなことを考えますか?

Rainy。:確かに大きく分類するとそうなると思うんですが、それぞれ悲しみや情熱や切なさの意味合いが違う曲になってると思うんですよね。楽しい気持ちを表現することはもちろん楽しいですが、苦しさや歯がゆさを表現するのも楽しいんです。脱出ゲームが好きなんですけど(笑)、それに近いような感覚で「どうやってここから抜け出そう」みたいな気持ちで向き合っています。

―ボーナストラックの「絆炎」(ばんえん)は12歳の時にレコ―ディングした音源で、10曲目に収録されている「絆炎」は14歳の時に歌い直した音源ということですが、どんな成長を感じますか?

Rainy。:12歳の方はファンタジーをイメージして、とにかく優しく吹きかける風みたいなイメージで歌ったんですけど、14歳の時は歌声の変化もありながら、大地や草原に立って歌ってるイメージになったと思っています。どちらも壮大なイメージなんだけど、違う良さがあるなと思いました。

―初めてステージに立ったのは5歳の時だそうですが、今からちょうど十年前ですよね。

Rainy。:そうですね! 今気づきました(笑)。幼い頃からずっと歌うことが好きで、5歳の時はダンススクールに通っていたんですが、そのスクールのイベントで「歌ってみなよ」って言ってもらって初めてステージに立ちました。歌い終わった後にみんなが笑顔で拍手をしてくれたキラキラした景色が忘れられなくて、「歌手になりたい」って直感的に感じたんです。その後、夢が具体的になったのは小学校3年生の時にユニセフのCMを見た時でした。私と同じぐらいの女の子が学校に通えず、タンクに水を詰めて運ぶ日々を送っている様子が映っていて、「何か私にできることはないのかな?」って思ったんです。「歌手になりたい」っていう夢と繋ぎ合わせて、私が世界中の人に知ってもらえるくらいの影響力が持てたら、ユニセフみたいな団体を立ち上げることができて、たくさんの人に興味を持ってもらえるんじゃないかなって思ったんです。そこからオーディションを受けるようになって、中学2年生の4月5日にRainy。としてデビューすることができました。

―Rainy。というアーティスト名にも「グローバルなアーティストになる」という気持ちが込められているそうですね。

Rainy。:はい。私は梅雨生まれで雨が好きなんですけど、雨って五月雨とか霧雨とか時雨とか、400以上種類があるんですよね。その上、世界中に降る、とても普遍性があるものだから、私もそんな雨みたいに世界中の人にいろんな歌や音色を降らせたいなと思って、Rainy。というアーティスト名を付けました。

―特に影響を受けているアーティストというと?

Rainy。:本当にたくさんいるんですが、特にレディー・ガガさんには影響されています。自分を肯定するパワーに溢れている方ですが、映画『アリー/ スター誕生』を見て、レディー・ガガさんが自分を魅力的に見せる力がすごくあるんだなと感じたんです。私も自分がどんな声で歌っていて、どんな表情をしているのかをしっかり意識しようと思うようになりました。

―映画がお好きで、『グレイテスト・ショーマン』とか、映画音楽から影響を受けているところも大きいそうですが。

Rainy。:そうなんです。映画ってわかりやすく説明がされない部分も多くて、役者さんが醸し出す雰囲気によって作品が成立していると思うんです。それは音楽にも通じると思っています。自分の思いがどうやったら伝わるかを一生懸命研究して、いくつも正解がある中で一番たくさんの人に伝えられる答えを選ぶことが大切だと考えています。

―Rainy。さんはひとつひとつの物事に対して、すごくいろいろなことを考えられていますが、そういう部分はどうやって育まれたんだと思いますか?

Rainy。:母が結構文学が好きで、小さい頃から「たくさん本を読んで、いろんな人の意見を学んで、自分の意見と照らし合わせてみなさい」っていう風に言われていたことが大きいと思います。それを実践したことで、自分なりに解釈する力が付いたと思うので、母には感謝してますね。

―本もよく読まれるんですか?

Rainy。:そうですね。小説が好きで、東野圭吾さんの作品をよく読みます。あと、最近は加藤シゲアキさんの作品が好きです。昔は人から勧められた本を読むことが多かったんですが、なんとなく本屋さんに立ち寄った時に加藤シゲアキさんの「ピンクとグレー」が目に入って、直感的に買って読んでみたらすごく面白くて。本から入ったので、後からアイドルの方なんだと知ってびっくりしました。「ピンクとグレー」でも泣きましたけど、「オルタネート」を読んだ時も泣きました。

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―先ほどレディー・ガガの名前を出されていますが、他に好きなアーティストさんというと?

Rainy。:最近はアルバムに曲を提供してくだったAZUKI七さんが所属されているGARNET CROWさんの曲をよく聞いてます。あとMISIAさん、倉木麻衣さん、一青窈さんとか、綺麗な歌詞を綺麗なメロディに乗せて歌う方が好きです。洋楽でレディー・ガガさん以外だと、アリアナ・グランデさんの曲を歌っている時はすごく気持ちいいです。でも最近はあまり特定の方に限定せず、いろんな曲を聞くようにしています。ストリーミングサービスのおすすめ機能を使って、いろんな曲を再生していますね。

―例えば、中学の友達と音楽の話をしたりするんですか?

Rainy。:ラップが大好きな友達がいて、おすすめしてもらった曲を聞いたりしてますね。例えば清水翔太さんの「Side Dish」を友達に「聞きなさい」って言われて(笑)、聞いたらまんまとハマりました。韻を踏むのがすごくかっこいいなって。祖父はカーペンターズが好きで、母はアヴリル・ラヴィーンが好きで、父はケイティ・ペリーが好きで、祖母は歌謡曲が好きですね。そうやって家族もいろんな音楽が好きなので、私も何でも聞くようになりました。好きなアーティスを挙げるとしたら、ざっと100いっちゃうくらいです(笑)。毎日3曲ぐらい好きな曲が追加されていっているので、どんどん増えてますね。

―同世代のアーティストで気になる人はいますか?

Rainy。:最近友達の影響でNewJeansさんの曲を聞いたんですが、ポップなんだけど意味深な雰囲気があってすごくいいなって思いました。ダンスもとても上手なので、私ももっとダンスを練習してライブで披露していきたいですね。

―今後はどんな風に活動してきたいと思っていますか?

Rainy。:まだ学生なので、まずはいろんなことを学ぶことが先かなと思っています。公共の授業で出てきた単語を深堀りしてみたり、NGOについて調べてみたりしているんですが、今はとにかくスポンジのように吸収しようとしています。いつかは自分で作詞作曲もできるようになりたいですね。やりたいことが本当にたくさんあります。

<リリース情報>

Rainy。
1st ALBUM『Rainy。UNIVERSE』
2023年6月28日(水)発売
=収録曲=
1. ...and Rescue Me (読売テレビ・日本テレビ系全国ネット土曜よる6:00放送「名探偵コナン」エンディングテーマ)
2. Rain your World
3. Teenager (TBS系「よるのブランチ」5月6月エンディングテーマ)
4. 素直になれたら
5. Find the truth (アニメ「名探偵コナン ゼロの日常」エンディング主題歌)
6. Freeze
7. All or Nothing (TGC 2022 公式応援ソング)
8. Live it Up
9. ME
10. 絆炎 -Symphonic Style- *ストリーミング配信なし
[Bonus Track] 絆炎 (Nintendo Switch™用ゲームソフト『ファイアーエムブレム エンゲージ』エンディング主題歌)*ストリーミング配信なし

15歳のシンガーRainy。が語る、自分の弱さを赤裸々に描いた理由


初回限定盤
[CD+グッズ]
グッズ:Rainy。& サニまる アクリルキーホルダー
品番:JBCZ-9146
価格:3850円(税込)

15歳のシンガーRainy。が語る、自分の弱さを赤裸々に描いた理由


通常盤
[CD+動画視聴用QRコード]
動画:「…and Rescue Me」MVメイキング&インタビュー(約6分/視聴期限:2028年6月28日)
品番:JBCZ-9147
価格:2750円(税込)

Official HP:https://rainy.lnk.to/rainy