NHKといえば、「公共放送」を旗印とし、ゲスな芸能ニュースやエログロ路線とは一線を画する放送局。ところが、そんなNHKが真っ昼間からラブホテルを特集し、業界内で話題となっている。



 民放でも昼間に流すのはためらうようなテーマを取り上げたのは、12月7日放送の『ごごナマ』だ。同番組は、今年4月に始まった大型情報番組で、船越英一郎美保純らが司会を担当。「オトナの井戸端、作りました。」というキャッチコピーの同番組だが、同日放送ではラブホテルを取り上げた。番組を見たテレビ関係者が語る。

「番組は一応“ラブホテル文化史”というテーマを掲げ、最近のラブホでは女子会が行われていること、シニアの割り引きがあること、昭和っぽいレトロ感が再評価されていることなどを紹介して、ビジネスニュースのような体裁を取っていました。しかし、山本晋也監督をゲストに呼んでおり、内容は完全に『トゥナイト』(テレビ朝日系)でした。
まさかNHKのアナウンサーの口から、『ラブホテル』という単語を聞くとは思いませんでした」

 テレビ欄に「ラブホテル」という文字を載せるだけでも、なかなか勇気がいること。これが病院や役所の待合室のテレビで流れたと思うと、苦笑を禁じ得ないが、テレビ関係者が驚いたのには、もう1つの理由がある。

「NHKは長年、受信料制度が合憲かどうかを争う裁判を行っており、最高裁判決が12月6日に出ました。判決は受信料を合憲だと認め、NHKにとって満足がいくものでしたが、同時に放送の公共性が強く求められることも確認されたわけです。そもそもNHK職員の高給ぶりは、今やテレビ関係者ならずとも知るところ。民放よりも生涯収入は高いといわれています。
多くの視聴者が受信料制度に疑問を持つなか、NHKに有利な判決が下った次の日にラブホテル特集を放送すれば、『公共放送とは何か?』という疑問の声が上がるのは当然です。そういう意味でも、“攻めすぎ”の感は否めなかったですね」(同)

 裁判所に受信料制度へのお墨付きをもらった今、もう誰もNHKを止めることはできなくなってしまったのだろうか?