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落合福嗣『フクシ伝説』を笑わずにレジに出せる奴はいない

2010年10月26日 11時00分 ライター情報:とみさわ昭仁

本を買った人は、忘れずにカバーもはがしてみよう!(もちろんお茶をたっぷり口に含んだ状態で)

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「週刊プレイボーイ」にて大好評連載されていた中日ドラゴンズ落合博満監督の長男、落合福嗣氏のコラムが1冊にまとめられた。その名も『フクシ伝説 うちのとーちゃんは三冠王だぞ!』。なんという直球なタイトルか。連載時から毎週楽しみに読んでいて、これが単行本化されたとなれば何をおいても買わねばなるまい! と書店に駆けつけて、平積みされた本の表紙を見た瞬間に店内で盛大にお茶吹いた!(飲食しながら本屋に入ってはいけません)

なんという表紙! 出版物として反則だよ! これを笑わないでレジに出せる奴はいないだろう。というか出された方の店員さんも拷問だ。笑ってレジが打てない。
もちろん、すごいのは表紙だけではない。これは実際に購入した人だけのお楽しみなので、ここでお見せするわけにはいかないが、いきなり巻頭グラビアが殺人的なおもしろさなのだ。白いタオル地のバスローブを羽織った福嗣氏が、片手にバスケットボール大のワイングラスを持って赤ワインをたしなんでいる……。まるでヒゲ面の書道家が巨大な筆で「セレブ」と書いたような殺傷能力の高い写真で、もうこれだけで本体定価952円(税別)の価値はある。

肝心の中身は全8章構成となっており、写真とともに福嗣氏の歴史が年表にまとめられた「学校では教えてくれないフクシ史」に始まり、「週刊プレイボーイ」からの連載コラム傑作選、三冠王な父との親子対談、グラビアには載せきれなかった秘蔵写真アルバム、それに読者の真剣な悩み相談に家族三人(信子さん含む)で言いたい放題の「ファミリー人生相談 落合家に訊け!」などなど、たまらないコンテンツがてんこ盛りだ。
一歩間違えれば、落合家を激怒させかねない内容の連続なのだが、それをギリギリのところで回避して上質なユーモアに転化させている構成担当者の手腕は実に見事だ。動物園の猛獣コーナーをそーっと忍び足で歩きつつも、ときどき檻から手を差し入れてライオンの背中を撫でたりしてる感じ、と言えばわかっていただけるだろうか。

三冠王を三度も獲得した家の長男でありながら、北朝鮮の三男のような風格を持つ男の処女出版物というにはあまりにも完成度の高いこの本を、ぜひ手に取ってみてほしい。(とみさわ昭仁)

ライター情報

とみさわ昭仁

1961年生まれ。ゲーム開発、映画評論、コレクター研究、古本屋店主、スカジャン制作、DJなど。神保町特殊古書店マニタ書房は、不定休で週のうち半分くらい営業。

URL:akihito tomisawa index

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