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「クロノ・トリガー」のマンガを描いていました「週刊少年マガジン」で新連載『聲の形』大今良時に聞く2

2013年8月7日 11時00分 ライター情報:松浦達也

「少女マンガよりも少年マンガが好きだった」という大今良時さん

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今年、週刊少年マガジンに掲載され、大反響を呼んだ『聲の形』。2007年の新人賞受賞時には異例の掲載見送りとなった作品は、今日発売の週刊少年マガジンで連載がスタートする。インタビュー後編では、連載版『聲の形』の展望のほか、マンガ家を目指した経緯や影響を受けた作品についても伺った。

前編はコチラ

【読切とは読み味を変えた】

───『聲の形』の連載にあたり、読切と何か大きく変えたところはありますか。
大今  読切ではとにかく必要最低限の要素──それぞれの登場人物の感情がどう動き、何がどうなったという“情報”を作品の時間軸に合わせてひとつひとつ描きこんだり、コンパクトに情報を伝えるために、聴覚障害者の西宮硝子視点のシーンも描かなければならなかった。連載では視点をなるべく主人公の石田将也にしぼって、理解できない相手との間でどうやって理解を深めていくかということに焦点を当てるつもりです。“読み味”は読切と少し違うかもしれません。

───視点を固定した狙いはなんでしょう。
大今  これまで読んでいない人をどう引き入れるかということを考えた結果です。読切で描き上げたものを連載にするというのも、リメイクといえばリメイクですし、同じことを描きながら、いままで興味を持ってもらえなかった人を引き込みたい。それでいて読切で知ってくれたたくさんの読者にもオトク感というか、新鮮な印象で読んでもらえたらいいですね。

───「障害」や「いじめ」はマンガとして扱うには、とてもむずかしいテーマです。
大今  『聲の形』で聴覚障害を持つのは、西宮硝子ひとりだけです。彼女が障害者の代表のように受け止められてしまわないような表現をしなければ。障害を持った方の人生にも無限のバリエーションがあるわけですから。いじめについても、もちろん悪口を言う側やいじめを肯定するようなストーリーにはしませんが、それぞれの行動にはそれぞれの理由がある。単純な善悪の対立ではなく、その人たちの内面や葛藤を描いていきたいです。

───連載となると、なおさら難度が高くなりそうですが。
大今  連載にあたっての課題ですね。自分自身、聴覚に限らず、障害についてしっくり来る答えに出会えずにいるんです。だから連載版で起きる事件や、キャラクターがどんな行動をするか、いまも考えているところです。読切なら「コンパクトな読切だからこういうファンタジーが起きるのかな」と受け入れてもらいやすいシーンでも、連載だとしっかり描きこまなければならない。

ライター情報

松浦達也

ライター/編集者にして「食べる・つくる・ひもとく」フードアクティビスト。マンガ大賞選考員。著書に『大人の肉ドリル』、『新しい卵ドリル』(ともにマガジンハウス)など

URL:Twitter:@babakikaku_m

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