だってさー。
なんなの、狙ってるの。偶然じゃないよね。
まあそういうネタで話題を作って、かわいい女の子出てくるアニメなんでしょうー、くらいに思ってましたよ。
で、第一話が無料で見られるってんで早速見てみたわけです。
なにこれ。
ちょっと、やめてよ。
ぼくの心の傷えぐらないでよ!
ネットを見てみると、「感動した」とかいうのを超越した、感情の根っこを揺さぶられた感想が多数続出。
自分も最初は「これは王道じゃないか、エンディングだって予想つくだろ」とか「お涙頂戴展開だよ、わかってるんだろ」と必死に自分に言い聞かせて落ち着こうとしていたんですが、もうそんなのどうでもよくなっちゃったんですよ。
人がさ、必死に目を背けていたところを全部出しやがってこのアニメは!
今期の「ザ・卑怯アニメベスト1」に決定! まだ一話だけど!
ああそうさ、褒め言葉だよ!
どこが卑怯か説明してみます。
1・主人公の設定が引きこもり
主人公ことじんたん(あだ名)が、引きこもりなんです。公式では「軽い引きこもり」と書いてますが、学校には完全に不登校、外に出ると心臓がドクドクいうくらいだから軽くはない気がします。
この描写がいちいちリアルでしてねえ……。部屋にこもってルサンチマン的に、いわゆる「リア充」な高校生達を見て卑屈になり「死ね!死ね!」と言います。女の子によってとあるトラウマができた影響なのか、女性蔑視な言葉を痛々しいほどに吐き捨てます。高校受験に失敗し、レベルの高くない学校に入ったのを恥じ、「クソ高」と卑下します。
それらの発言が全部自分に返ってきて、しゃべればしゃべるほど欝になります。結局俺ダメ人間じゃん!って。
子供の頃は逆にみんなのリーダーだったんですよ。秘密基地つくって、ぼくらは無敵だ!って。だけどとある事件を境目に現実にぶちあたり、彼らの夏は終わり、主人公達の心には深い傷が残りました。
それから、主人公じんたんは外に出るとき、帽子をかぶって眼鏡をかけて……やめてよぅ、そんなリアルな表現痛いよぅ。卑怯!
2・「あなるちゃん」の名前が成長を物語っている。
最初聞いたときゲラゲラ笑っていた「あなるちゃん」というあだ名、実は子どもの時に他愛無く付けたごく自然なあだ名だったんです。
ネタはネタなんだと思うんです。でもそのネタを逆手に取って「子ども」から「大人(半分くらい)」に成長して、変わってしまった意識を描いてるんです。まー思春期にもなれば言葉の意味わかりますわな。
そして当のあなるちゃんは昔の純朴なマンガやゲーム大好きっ子から一転、高校デビューを果たしてギャルい生活を送っています。後ろめたさと心の傷を背負ってさ。
「あなるちゃん」という名前でそういう成長の痛みを描くとかもうほんと卑怯!
3・EDの「secret base~君がくれたもの~」からちょうど10年
これが一番卑怯だよ!
EDはZONEの「secret base~君がくれたもの~」のアレンジ版になっています。
大ヒットしましたね。発売されたのは2001年8月。
歌詞の中で、10年後、8月の話が出てきます。10年後に会える、って子供達が別れるんです。
ん?10年後?
2001年の10年後……2011年……今年じゃん!!!
しかもちょうどこの作品が放映終わった頃、7月か8月くらいでしょう。
一度別れた子たちが、ZONEのこの曲に合わせて再会するとか卑怯!
しかもですよ、アニメの本編からEDへの入り方が本当に卑怯!ダブル卑怯です。これはもう見て確かめてください。
放映時間や地域がバラバラなのですが、この記事を書いたのは「とにかく第一話を見てほしい」という思いがあったからです。個人的にはダークホース中のダークホースでした。日常描写のアニメーションの演出を見るだけでも価値ありです。
成長して大人になって……子どもの頃仲良しだったあの子達は何をやっているんだろうか、ってふと思い出さざるを得ないじゃないですか。未来の可能性を信じていた子供の頃を思い出しちゃうじゃないですか
改めてもう一度、尊敬の念をこめて言うよ。
最高に卑怯なアニメをありがとう!
二話以降もどのくらい卑怯なのか確認しないといけなくなったじゃないの!
(たまごまご)