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深夜再放送「未解決事件」國村隼イッセー尾形激突「9つの嘘に混じって一つの真実があれば十分」は真実か

2018年9月12日 09時45分 ライター情報:近藤正高
先週土曜に放送されたNHKスペシャル「未解決事件 File.07 『警察庁長官狙撃事件 ドラマ 容疑者Nと刑事の15年」は、すでにNHKオンデマンドで有料配信されているほか、きょう深夜1時からは総合テレビで再放送がある。

放送前の記事につけた「國村隼とイッセー尾形激突」というタイトルどおり、このドラマはまさに俳優同士の激突と呼ぶにふさわしい内容だった。主演の國村隼も、番組収録後のインタビューで、今回のイッセー尾形との共演を《何が飛んでくるのか、予想もつかない》《やってて、あれほどドキドキしたのは、久しぶりというか、ちょっとはじめてだったかもしれない》と語っている(「ほぼ日刊イトイ新聞」2018年9月11日)。
今回のドラマの原案となった元刑事の著書『宿命 警察庁長官狙撃事件 捜査第一課元刑事の23年』(原雄一著、講談社)。電子書籍版もあり

気鋭のディレクターが手がけた演技派ぞろいの実録ドラマ


このドラマでイッセーが演じたのは、1995年に起こった警察庁長官狙撃事件の“真犯人”を名乗る老スナイパー・中村泰。それに対し國村は、中村を取り調べ、その周辺を洗い出すため奔走する警視庁の刑事部捜査第一課の刑事・原雄一を演じた。

中村は最初の取り調べから、自分は革命家だと言い張り、また長官狙撃事件の関与について肯定も否定もしないと発言。さらには「原さん、残念ながらあなたの経歴に未解決事件がまた加わりそうですね」と、なぜか過去に原の担当した未解決事件のことも知っていて、牽制をかけるようなことを言う。その後の取り調べでも、中村は思わせぶりな供述で、原を翻弄し続ける。両者のやりとりは、これをそのまま舞台化して生で観てみたいと思わせるほど、緊迫感に満ちていた。

國村とイッセーだけでなく、原刑事の上司にあたる刑事一課長役の中村育二や管理官役の遠山俊也、警視庁と合同捜査にあたった愛知県警の刑事役の酒向芳、中村泰の弟役の石丸謙二郎、そしてラスボス的役割を担った警視総監役の小日向文世と、脇を固めるのも演技派ぞろい。さらに、原刑事のもとで捜査にあたる警視庁刑事部の刑事を渋谷兼人、あとになって公安部から捜査チームに加わった刑事の一人を毎熊克哉と、それぞれ気鋭の俳優が演じた。とくに語り手も務めた毎熊は、当初は中村の取り調べに懐疑的だった若手刑事が(そもそも彼の所属する公安部は長官狙撃事件をオウム真理教の犯行として終始、捜査を進めていた)、綿密な捜査で真実を追求する原の姿勢に感銘を受け、しだいに積極的に捜査にかかわっていくさまを好演していた。

このドラマは、現実の事件をもとにした実録物ではあるが、時に大胆に脚色や演出を加えたところもあり、単なる再現ドラマの域を超え、見ごたえ十分であった。

ライター情報

近藤正高

ライター。1976年生まれ。エキレビ!では歴史・科学からドラマ・アイドルまで手広く執筆。著書に『タモリと戦後ニッポン』(講談社現代新書)など。愛知県在住。

URL:Culture Vulture

「深夜再放送「未解決事件」國村隼イッセー尾形激突「9つの嘘に混じって一つの真実があれば十分」は真実か」のコメント一覧 1

  • 匿名さん 通報

    國村隼が中村泰役かと思った。似てるし。

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