BLUE ENCOUNT、“日本一タピオカを売る仕事”を経て生まれた名曲
撮影 石井小太郎 (C)スマダン

現在、若者を中心に絶大な人気を誇り、各地の大型フェスからも引っ張りだこの4人組ロックバンドBLUE ENCOUNT(ブルーエンカウント、通称:ブルエン)。2003年、熊本の高等専門学校で出会ったメンバーで結成され、11年の月日を経て2014年にメジャーデビュー。2016年には結成当時からの夢だった日本武道館公演も成功させ、その魅力の一つである熱く激しいライブパフォーマンスを武器にファンを増やし続けている。

今回「スマダン」では、そんなブルエンからボーカル&ギターの田邊駿一さん、リーダーでギターの江口雄也さんにインタビューを実施。前編、後編の2回に渡ってお届けする。現在30歳、ミュージシャンを“仕事”として生きる二人のリアルな思いや、夢を実現するまでの道程について、さらに、そんなブルエンの“今”が詰め込まれた3月21日発売の3rdアルバム『VECTOR(ベクトル)』についても語ってもらった。

“ミュージシャン”という“仕事”


――お二人は今、“ミュージシャン”というお仕事をされていますが。

田邊:そうですね。もしくは個人事業主。

江口:確定申告的に言うとね(笑)。

――(笑)。率直に“ミュージシャン”という“仕事”はどうですか?
BLUE ENCOUNT、“日本一タピオカを売る仕事”を経て生まれた名曲
撮影 石井小太郎 (C)スマダン

田邊:根本的に音楽をあまり“仕事”と思っていないところはあります。“仕事”というか、お金を稼ぐ手段って思ったらアウトかなっていう。やりがいというところでは自分たち4人を通して「いい曲だな」ってものが生まれる瞬間は、やっていて良かったなと思いますし、それをライブでお客さんに届けられたときはテンションが上がりますね。自分が作ったものが誰かに届いて、それがその人の歯車の一つになっている思えたときは幸せですね。

BLUE ENCOUNT、“日本一タピオカを売る仕事”を経て生まれた名曲
撮影 石井小太郎 (C)スマダン

江口:趣味の延長上という言い方をすると軽い感じになってしまうんですけど、空気感として楽しさが一番にないと続けていけるものではないですね。僕らつまらないことができない4人組なので(笑)。ただライブやCDを出すことに関してはある程度、“仕事”としての意識もないといけないですよね。単に楽しいだけでやっていたら、僕らもそうですし、支えてくださっているスタッフさんも生活ができなくなってしまいますから。でもそういう中でお客さんと出会ったり、周りのみんなと一つの夢を共有したり、目標に向かって行くことは、すごくやりがいがあります。それを続けて行くためにも、みんなを飽きさせたくないし、いつまでも僕らを中心として、みんなが夢中でいて欲しいなっていうのはあります。

今につながるバイトの経験。名曲「HANDS」を生んだタピオカドリンク!?


高校生の頃の“音楽をやってご飯を食べる”という夢を叶えたブルエンだが、そこまでの道のりは平坦とは言えなかった。長い間、生活を音楽以外のバイトをすることで支えた時期があり、それゆえ現在の状況に関しては「めちゃくちゃ楽しいので、嫌なことはそうそうない(笑)」(田邊)という。そしてそのバイト時代の経験が今に生きていると話す。

田邊:おなじ仕事をして、おなじ金額の対価をもらっても、人によっては少ないと感じる場合もあれば、多いと感じる場合もありますね。お金と自分の仕事量って、僕はある程度悟ることが大事なのかなって思うんです。それこそ対価が0円でも、その瞬間がすげー貴重な時間だったり、そのことがのちにお金を生むようになるかも知れないですから。
BLUE ENCOUNT、“日本一タピオカを売る仕事”を経て生まれた名曲
撮影 石井小太郎 (C)スマダン

僕自身、バイトをしていた頃は「これだけやったのにこれしかもらえない」って思ったことも何度もありますし、楽して稼ぎたいと思ったこともありました。でもレンタルCD店でバイトをしていたときに、そこの店長さんに言われたことでいまだに覚えているんですけど、「金を稼ぐために働くのはよくない」と。例えばそのレンタルCD店であれば、僕らがお客さんに気持ちよくなっていただけるような接客ができれば、お客さんはその場所でもっと買い物をしたいっていう購買意欲がわき、それが回りまわって僕らのお金になるのだから、と。そういう意味では、当時の僕はまだ時給をいただくまでに至ってなかったな、って思ったりもしますね。
BLUE ENCOUNT、“日本一タピオカを売る仕事”を経て生まれた名曲
撮影 石井小太郎 (C)スマダン

それからはどんなに時給が安くても、お客さんに喜んでもらえるようにとか、職場の環境が少しでもよくなるために自分からムードメーカーになってみたりとか、そういう心がけをするようになりました。そうすれば、音楽では食べていけないっていうつらい状況でも、その場所では楽しく働けることもあったので。

――それはどんな仕事にもつながる心がけですね。

田邊:そうなんです。僕は今もそれを心がけていて。こうやって取材を受けさせていただくときもそうですし、歌番組も、レコーディングも。そして今、こういう状況でお金を稼がせてもらって、それが周りのスタッフさんにもつながっていくって思ったら、こんなにも名誉なことはないなって思うんですよね。

そしてバイト時代のエピソードとして、田邊はこんなことも話してくれた。

田邊:バイトをしているとき、単純に仕事にのめり込むことはよくないな、って思っていたんですよ。バイトがメインになっちゃって、バンドを辞めるっていう話を聞いたことがあったので。でも自分の中に中途半端なことがあると、本当にやりたいと思っていることにまで影響するというか。これは適当にやっておけばいいか、っていうことに慣れてしまうと、いざ本気でやろうとしたことにさえ、力が入らなくなるんです。
BLUE ENCOUNT、“日本一タピオカを売る仕事”を経て生まれた名曲
撮影 石井小太郎 (C)スマダン

そんな僕を変えてくれたのが、渋谷のタピオカドリンク専門店。仕事はなんだかポップですけどね(笑)。そこは期間限定のショップだったので今はもうないんですけど、地元の熊本に本店があったことで、友達の紹介で始めたんです。すごく狭いショップで、基本的に店にいるのは一人なんですよ。だから全部自分次第なんですよね。売り上げが下がったらすぐにわかるし。そんなこともあって、真剣に取り組むようになったら、そこのお店の全店舗の中で僕が売り上げ1位になりまして。日本一タピオカを売る男(笑)。それで最終的にイタリア人の投資家みたいな人から、君を店長にしてカフェを出したいって言われて。ヘッドハンティングまでされました(笑)。ただその頃にできた曲がBLUE ENCOUNTを変えた曲で。「HANDS」っていうんですけど、武道館公演の最後に歌った曲です。それくらいBLUE ENCOUNTの今に繋がる曲が当時、何曲もできたんです。その後、その頃に作った『HALO EFFECT』っていうアルバムが世に少しずつ出始めて、それによって今の事務所の方々と出会って、現在に至ってます。

だから振り返ってそのバイトで頑張っていたときの自分が、今の自分の礎になっているという。そしてこうやってエピソードトークまで話せるようになってる(笑)。そのときに、何でさえ真面目にできない奴は、本質でさえ真面目にできないんだなって思ったんです。どんなことでも真面目に向き合ってやるからこそ、いつ何かのチャンスが来たときに真面目に対応ができるんだと。チャンスなんて、明日来ますよ、っていう伝言はないわけで。いつ来るかわからないからこそ、いつでもつかめるようにするっていうのは、そこから学んだと思います。

普段からいつでもチャレンジできるような環境を作る


仕事を続ける上で、仕事の内容も大事だが、その環境も大切だ。そういう意味で、BLUE ENCOUNTはいい同僚(メンバー)に恵まれ、いい環境で“仕事”ができている。
BLUE ENCOUNT、“日本一タピオカを売る仕事”を経て生まれた名曲
撮影 石井小太郎 (C)スマダン

江口:僕はインディーズのまだ全然目が出ない頃、ライブでやらないで後悔するってことが多かったんです。例えばあそこでもっと煽っておけば、とか。「やろうかな」って思っても、それをやる勇気が出なかったんです。正直、やらなくてもライブは進みますし。けどライブが終わったあとですごく後悔するんです。「あそこで何かやっておけば、何か変わったかも知れない」って。その後悔がどんどん大きくなっていって、ようやく自分の殻をやぶれるようになるんですけど、やってみるとやっぱり失敗することも多いんですね。ただその失敗をメンバー4人とも、自分が後悔しないためのチャレンジだったら、いいって割り切れるようになって。失敗する勇気を持てるようになった。たとえ失敗しても、メンバーは責めないんです。そういうメンバーに恵まれたってことも、変われた理由ではありますね。
BLUE ENCOUNT、“日本一タピオカを売る仕事”を経て生まれた名曲
撮影 石井小太郎 (C)スマダン

チャレンジできる環境づくりは、仕事をする上で大事だと思います。やっぱり自分一人で仕事をしているわけじゃないので、ちょっとミスっただけで周りの人がピリピリするようなところだったら、とてもそんなチャレンジはできないですよね。だから普段からいつでもチャレンジできるような環境があったというのは、自分にとって大事だったと思います。

――そうやってお互いを認め合える仲間と出会えるって素晴らしいですね。
BLUE ENCOUNT、“日本一タピオカを売る仕事”を経て生まれた名曲
撮影 石井小太郎 (C)スマダン

田邊:自分の役割をちゃんと理解するっていうのも必要ですね。自分で何でもできる、じゃなくて、自分のダメなところはダメで認めて、相手のいいところを認める。おのおのしか持っていない特性っていうのがあるから、上手い具合にそれをやりくりしてバンドをやっていく。それは組織も一緒だと思うので、そこは大事にするべきかと思いますね。
BLUE ENCOUNT、“日本一タピオカを売る仕事”を経て生まれた名曲
撮影 石井小太郎 (C)スマダン


後編では、夢を叶えた今だからこそ感じていることや、仕事で得たお金を何に使っているかなどの他、アルバム『VECTOR(ベクトル)』に込めた想いもじっくり聞いているので、そちらもご期待を。

取材・文 瀧本幸恵/撮影 石井小太郎

【受付終了】田邊さん&江口さんの“サイン入りチェキ”をプレゼント!


3rdアルバム『VECTOR』の発売を記念して、抽選で2名様に田邊さんと江口さんのサイン入りチェキをプレゼントいたします。

応募方法は下記の通り。
(1)スマダン(@suma_dan)の公式ツイッターをフォロー
(2)下記ツイートをリツイート
 応募受付期間:2018年3月20日(火)18:00~2018年3月30日(金)17:59まで



※非公開(鍵付き)アカウントに関しては対象外となりますので予めご了承ください。
※当選者様へは、4月2日(月)にスマダンアカウント(@suma_dan)からダイレクトメッセージをお送りいたします。その際、専用フォームから送付先に関する情報をご入力いただきます。
※当選した方に入力いただく情報はエキサイト株式会社がプレゼント発送に使用するものです。また、提供された個人情報は、同社サービスに関する連絡に限定して利用されます。
※4月4日(水)までに返信をいただけなかった場合は、当選無効とさせていただきますのでご了承ください。

皆さんのご応募をお待ちしております!
(スマダン編集部)

リリース情報


3rdアルバム『VECTOR(ベクトル)』
発売日:2018年3月21日


HP:http://blueencount.jp/
Twitter:https://twitter.com/BLUEN_official