重大な労働災害が頻発している中国だが、想像するだけでゾッとする事故が起きた。

「京華網」(2月17日付)によると、浙江省台州市内の金属加工工場で工員の女性の髪が機械に巻き込まれ、頭皮を失うという痛ましい事故が発生した。



 この工場に勤めるベテラン工員の呉さん(44)が悲劇に見舞われたのは、先月11日のことだった。この日の作業前、呉さんはいつもと同じように、会社の敷地内にあるシャワー室で髪を洗い、ドライヤーで乾かすと、作業場へ向かった。いつもと違う点といえば、長い髪を束ねなかったことくらいだった。

 作業を始めて間もなく、呉さんは小さな金属部品を床に落としてしまった。

 その部品を拾おうと腰をかがめた瞬間、頭部に強烈な痛みを感じた。なんと、自身の髪の毛が機械に巻き込まれてしまったのだ。
機械の力はとても強く、あっという間に呉さんの頭皮まで剥ぎ取った。呉さんの悲鳴を聞いた同僚が駆けつけると、現場は血の海だったという。髪の毛と頭皮がなくなり、一部骨が露出した呉さんの姿を見た工場の責任者はすぐさま頭部をタオルで覆い、頭皮と共に病院へ搬送した。

 病院では緊急手術が行われ、14時間にも及ぶ処置の結果、頭皮を200針を縫う接合手術に成功した。執刀医はメディアの取材に対し、次のように語った。

「搬送されてきた際、一部骨が露出している状態でした。
さらに、患者はすでに出血多量で意識がなく、すぐに緊急手術を行いました。これまで皮膚の縫合手術は何度となく行ってきましたが、頭皮は特に難しく、15倍の顕微鏡を使って、10本の血管と神経をなんとかつなぎ合わせました」

 手術後30分ほど経過すると、縫合された頭皮には再び血が通い始め、呉さんは血色を取り戻していったという。手術から1カ月経過した現在、壊死した皮膚のの除去をしつつだが、呉さんの頭皮からは、すでに髪の毛が伸び始めているという。

 自らの不注意が招いた事故とはいえ、一瞬のうちに頭皮まで剥ぎ取られるとは、悪夢としか言いようがない。
(文=青山大樹)