フェイスラインのニキビの原因|肌への刺激に注意!対策して美肌へと導く

フェイスラインにできるニキビは成人後にできることが多く、一度できると繰り返しやすい肌トラブルです。

また、フェイスラインのニキビは治りにくく、ニキビ跡へのリスクも高まることから一刻も早く治したいものですよね。

そこで本記事では、フェイスラインにできるニキビの原因から予防法、クリニックでの治療法をくわしく解説します。

最初にフェイスラインにニキビができる原因から見ていきましょう。

【監修】女医によるファミリークリニック 院長 大井美恵子

難病指定医・キレーション認定医
小児慢性特定疾患指定医
子どもの心相談医
高濃度ビタミンC点滴療法認定医

大井美恵子のプロフィール

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1.フェイスラインのニキビの原因

ニキビには10代にできる「思春期ニキビ」と成人以降にできる「大人ニキビ」の2種類にわけられます。

思春期ニキビは、皮脂分泌が多いTゾーンにできることが多いのに比べ、大人ニキビはフェイスラインや口周りに多くできるという特徴があります。

過剰な皮脂分泌が原因で起こる思春期ニキビとは違い、大人ニキビであるフェイスラインのニキビにはさまざまな原因が考えられます。

1-1.ホルモンバランスの乱れ

体には多くのホルモンが存在しますが、特に女性ホルモンはニキビに影響を与えます。「生理前になるとニキビができる」「肌が脂っぽくなる」という経験はありませんか?

これは、2つの女性ホルモン、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の変化により起こります

この2つの女性ホルモンは、月経周期により分泌量の増減をおこなっています。

エストロゲン美肌ホルモンと呼ばれ、月経後に増え始め、排卵をピークに減少する。
プロゲステロン月経前に増加し、皮脂が過剰に分泌されニキビにつながる。

月経後は肌の調子がいいのに、月経前になるとフェイスラインにニキビができるのは、女性ホルモンの影響であると考えられます。

月経周期によるホルモンバランスの変動は病気ではありませんが、人によってはイライラしたり気分が落ち込んだりする「月経前症候群(PMS)」が現れることがあります。

月経前にできるフェイスラインのニキビは「時間の経過とともに落ち着きやすい」ということを念頭に置いて、なるべくストレスを避けゆったりと過ごすのがおすすめです。

1-2.乾燥

肌の乾燥とフェイスラインのニキビは一見無関係に思えますが、実は深いつながりがあります。

肌には自らうるおう機能が備わっており、肌の乾燥を察知すると毛穴から皮脂が分泌されます。過剰に分泌された皮脂が毛穴に詰まり、フェイスラインのニキビを引き起こす原因になります。

また、肌が乾燥するとターンオーバーが乱れ、老化角質が蓄積しやすくなります。老化角質と皮脂が毛穴に詰まり、空気の出入り口が塞がると皮脂が排出されずコメド発生の原因につながります。

1-3.外部刺激

フェイスラインは、さまざまな外部刺激を受けやすい部分です。

顔は洗顔料を使い、手で優しく洗いますよね。しかし、お風呂で首周りを洗うときに「タオルでフェイスラインをゴシゴシこすっている」ということはありませんか?

首元は皮膚が薄い部分なので、できるだけ手で洗うようにしてフェイスラインへの刺激を控えましょう

マスクやタートルネックのトップスなどによる摩擦が原因になることもあるため、極力フェイスラインに触れないようにし、外部刺激を抑えることが大切です。

1-4.ストレス

積み重なったストレスは、フェイスラインのニキビとして現れることがあります。

ストレスと関連性の高い自律神経には「交感神経」と「副交感神経」という2つの神経があります。

交感神経活動しているときに働く神経
交感神経リラックスしているときや寝ているときに働く神経

ストレスが重なると自律神経が乱れ、体や心をリラックスさせる「副交感神経」が働きにくくなります。「交感神経」が優位になると皮脂分泌が増え、フェイスラインのニキビの原因になる場合があります。

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1-5.生活習慣の乱れ

食生活や睡眠不足など、生活習慣が乱れるとフェイスラインのニキビは増加しやすくなります。

糖質や脂質の摂りすぎ、乳製品の過剰摂取はニキビの直接的原因につながります。

睡眠時に分泌される「成長ホルモン」は、肌の修復やターンオーバーを促進する美肌ホルモンです。睡眠不足になると「成長ホルモン」の分泌が低下し、肌バランスが崩れやすくなってしまいます

大井先生
大井先生

ニキビだけでなく、乾燥や湿疹など肌にできるトラブルは内臓の鏡だといわれています。生活習慣の乱れや寝不足、ストレス過労などによって肌が荒れてくる場合が多いため、インナーケアを心がけましょう。

2.フェイスラインのニキビ予防方法

フェイスラインのニキビは、治っても繰り返しできることが多いため、ニキビを作らせない予防ケアがとても大切です。

ここからは、フェイスラインのニキビ予防に効果的な方法を7つ紹介します。誰にでもすぐに実践できる方法ばかりなので、ぜひ取り入れてみてくださいね。

2-1.生活習慣を正す

体や肌にはサイクルがあります。生活習慣とリズムを正すことがニキビ予防には欠かせません。

例えば、寝る前にお酒を飲んだりおやつを食べたりする習慣がある人は、胃腸に負担がかかりやすく、ニキビの原因になってしまいます

寝る2時間前には食べない、食事の時間や寝る時間などのリズムを整えることがニキビ予防につながります。

2-2.洗顔をする

洗わない美容法や拭き取り洗顔などが流行った時期がありますが、ニキビ予防には洗顔は基本中の基本です。

洗顔料は、マイルドなアミノ酸系洗浄成分がおすすめです。ニキビ予防洗顔料は大人ニキビに使用すると乾燥を招くケースもあるため、オイリー肌以外の人にはおすすめしません

しっかり泡立てた洗顔料で、手と顔の間に泡のクッションを挟みながら手が触れないように洗います。

洗顔料を肌につけたらはなるべく早く洗い、体温よりも低いぬるま湯でしっかり流しましょう。フェイスラインと生え際は泡が残りやすいため、残らないようにすすいでくださいね。

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2-3.保湿を徹底する

スキンケア

フェイスラインのニキビは乾燥が伴う場合も多く、正しい保湿ケアがニキビ予防につながります。

さらっとした質感の化粧水で、重ねつけしてちょうどいい保湿感に整えましょう。乳液やクリームもセットで使用すると乾燥を防げます。

グリセリンや油脂系オイルは、アクネ菌のエサになりやすいため、グリセリンが高配合のスキンケアや植物油脂が主成分の美容オイルなどは避けてくださいね

大井先生
大井先生

保湿をせずに乾燥したまま放っておくと、食べ物も段々とカビていくのと同じで肌も乾燥して老化が進んでしまいます。肌の水分をしっかりと逃さないために顔にサランラップをかけるように保湿をして対策をしていきましょう。いつまでも美味しく食べ物を食べ保つのと同じです。

2-4.ストレスを溜め込まない

ストレスは自律神経のバランスを崩し、皮脂分泌が増加したりターンオーバーが乱れたりする原因になります。

ストレスを溜め込んでしまう人は、真面目で頑張り屋の人が多く、つい無理をしてしまうことがあります。会社では我慢せざるを得ないこと、社会では人との付き合いで無理してしまうことも。

よくストレス解消には、アロマやお風呂、遊びで発散などといわれますが、これは一時的な効果にすぎません。

家にいるときは「自分に甘くなる」「我慢をしないこと」でストレスの逃げ道ができる場合もあります。ストレスをうまく逃がす方法を身に付け、頑張らないで過ごせる時間を作ることも大切です。

2-5.枕カバーを清潔に保つ

フェイスラインのニキビに、意外に盲点なのが枕カバーなのです。枕カバーを外したとき、枕にシミがついていたことはありませんか?

夜のスキンケアはしっかり保湿をして眠るのがおすすめですが、枕に乳液やクリームなどのスキンケア化粧品が付着しやすくなります。

また、頭皮は汗をかきやすく、知らず知らずのうちに枕カバーに汗が浸み込んで雑菌が繁殖してしまいます。枕カバーは2枚程度用意しておき、2〜3日に1回程度替えるのがおすすめです

2-6.睡眠時間を十分にとる

睡眠時間を十分に取ることは、フェイスラインのニキビ予防に非常に効果的です。日本人女性は、世界的に睡眠時間が短いといわれており、慢性的な睡眠不足を抱えている人が少なくありません。

就寝後に分泌される成長ホルモンは、肌の修復を促しターンオーバーのサイクルを整える働きがあります。ニキビを悪化させない、またできにくい肌に導く重要なホルモンです。

いつもより30分早く就寝できるよう、時間管理をして睡眠環境を整えておくことが良質な睡眠につながります

快適に寝られるエアコンの温度設定は、夏は22〜28℃程度、冬は20〜22℃程度が目安になります。暑すぎず寒すぎない温度が、睡眠の質を高めてくれます。

その人の体感温度や部屋の広さにより、温度設定は異なるため、自分にベストな設定温度に合わせることが大切です。

3.フェイスラインのニキビの治療法

繰り返しできるフェイスラインのニキビには、美容クリニックでの治療が効果的です。

基本的に化粧品では「ニキビ予防」までしかできないため、治すためには医療の力が必要になってきます。

ここからフェイスラインのニキビの治療法として、保険診療で受けられる治療と美容クリニックで受けられる治療を紹介します。

3-1.保険診療でできるニキビ治療

日本の医療ではニキビは「尋常性ざ瘡」といわれ、保険診療の対象になっています。特に毛穴詰まりを解消する薬は医療機関のみの取り扱いになり、市販薬には配合されていません。

ニキビの治療薬は、処方薬でないと配合されない成分も多いのが現状です。

美容皮膚科でなくても、一般皮膚科で診てもらうことができるため、クリニックへのハードルが下がります。

ニキビ治療ガイドライン」に書かれている薬は、基本的に保険診療で処方してもらえます。まず保険適応できる一般皮膚科でニキビ治療をしたあとに美容皮膚科を訪れる方法がおすすめです。

ニキビの治療はできますが「肌を美しくする」「ニキビ跡」の治療は、自由診療となり美容皮膚科で受けることができます。

最初に保険診療でできるニキビ治療をおこない完治すればいいですが、保険適用内では対応できないニキビ跡やニキビの赤みなどは、美容クリニックでの治療が必要です。

皮膚科は、一般皮膚科と美容皮膚科の両方の診療をおこなっているクリニックも多いため、お住まいの地域から検索してみてください。

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次の項目からは美容クリニックで受けられる、自由診療の治療を紹介します。

3-2.ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは酸の薬剤を使用し、角質を薄く剥がす施術です。老化角質を剥がして肌のターンオーバーを促進することでニキビを改善します。

老化角質が除去されると毛穴詰まりが解消されやすく、キメの整った肌に導きます。使用する薬剤はクリニックにより異なりますが、以下の薬剤が使われることが多いです。

  • グリコール酸
  • サリチル酸
  • 乳酸

価格は、1回5,000〜20,000円と使用する薬剤やクリニックにより価格は変わります。

3-3.レチノールピール

レチノールピールとは、ビタミンAが主成分のピーリング薬剤を使用したピーリング治療です。硬くなったフェイスラインの角質を和らげ、ニキビや毛穴、ハリにも効果が期待できます。

レチノールピールには、主に以下の効果があります。

  • コラーゲン産生
  • 皮脂分泌の抑制
  • ターンオーバーの促進

ダウンタイムは、2日後から皮が剥け始め、10日間ほど乾燥や赤み、ヒリヒリを感じやすくなります。価格は1回20,000円前後でおこなうクリニックが多いです。

ケミカルピーリング、レチノールピールもどちらも定期的に続けることで、よりフェイスラインのニキビが出にくくなってきます。

3-4.エレクトロポレーション

エレクトロポレーションは、有効成分を肌内部まで届ける機器です。イオン導入の場合は、肌の表皮までしか届きませんが、エレクトロポレーションは肌の真皮まで有効成分をダイレクトに届けることができます。

肌悩みに合わせた導入剤を入れ、ニキビやニキビ跡に効果的な薬剤を選ぶことができます。

エレクトロポレーションでは主に以下の薬剤が使用されます。

  • ヒアルロン酸
  • ビタミンC
  • トラネキサム酸
  • プラセンタ
  • プロテオグリカン
  • 成長因子

ニキビ治療にはビタミンCを使用されることが多く、活性酸素を除去し、皮脂分泌を抑えニキビができにくい肌を作ります。また、コラーゲンの生成を促して透明感のある肌に導きます。

肌悩みに合わせて、薬剤を組み合わせることも可能なので相談してみてください。ダウンタウンは比較的短く、赤みやかゆみヒリヒリ感が数日出ることがあります。

価格は1回あたり、10,000〜30,000円台でおこなっているクリニックが多いです。

3-5.光線治療

光線治療は、複数の波長の光を集めたものを照射し、ニキビの炎症を抑える美肌治療機器です。ニキビの原因菌であるアクネ菌を殺菌し、コラーゲンを活性化させる働きがあります。

赤みや熱感が出る場合がありますが、ダウンタイムは短めで日常生活にひびきにくいのがメリットでしょう。

光線治療は、クリニックや取り扱い機器により価格が異なり、1回あたり15,000〜40,000円で受けることができます。

3-6.フォトSR(AC)

フォトSRは、青色と赤色の2種類の光を照射し、ニキビの赤みやニキビ跡を改善する機器です。フォトSRは真皮層まで届き、コラーゲンやエラスチンなどの生成を促すため、小ジワやたるみ改善にも期待できます。

ダウンタイムはほぼなく、日常生活への支障が少ない治療です。フォトSRは、1回あたり20,000〜40,000円で受けられるクリニックが多いです。

3-7.ダーマペン

ダーマペンは皮膚に無数の穴を開けて、肌の自然治癒力を促しコラーゲンやエラスチンの生成を高める治療法です。

ダーマペンの最新機種は、針の数が16本あり1秒間に約1,900個もの穴を開けられます。小回りがきくペンタイプなので、フェイスラインやニキビができている箇所にも使用できます。

凹凸のあるニキビ跡にも効果的な治療で、真皮の弾力繊維の生成が高まることで肌をなめらかに整えます。

針の長さは調整できますが、長いほど効果が高くダウンタイムも長くなる傾向にあります。治療後には赤みや出血、かさぶたなどが出やすくなります。

ダーマペンは1回あたり20,000円〜でおこなっているクリニックが多いです。

3-8.イソトロイン・ロアキュテイン

イソトロイン・ロアキュテインは、炎症ニキビや難治性ニキビの治療に使われる内服薬です。アメリカのFDA(米国食品医薬品局)では承認されていますが、日本では厚生労働省に認可されていないため、保険適応外になります。

イソトロイン・ロアキュテインは、イソトレチノインというビタミンA誘導体の内服薬で、皮脂分泌を抑え毛穴詰まりを改善する効果があります。また、抗炎症作用もあり重症ニキビに適用されています。

イソトロイン・ロアキュテインは服用中と服用終了後半年間は避妊が必要です。また同期間中の献血もできません。妊活や妊娠を希望される人は、医師だけでなくパートナーとの相談も重要になります。

大井先生
大井先生

保険診療でできるニキビ治療は内服薬や外用薬がありますが、中でも最近はニキビ跡までケアしてくれる外用薬や内面からアプローチをかけてくれる漢方がとても人気です。1つの方向から攻めるのではなく、中からも外からもケアできる方法があるのが強みです。

4.まとめ

フェイスラインのニキビを予防する方法と治療法を紹介しました。フェイスラインのニキビは治りにくいため、スキンケアや生活習慣での予防と医療での治療、両方をおこなうのが効果的です。

気をつけたいのは、クリニックの薬を使用しているからといって、スキンケアや生活習慣をおざなりにすると根本解決ができずいたちごっこになってしまいます。

正しいスキンケアでまずはニキビを作らせない予防美容をおこない、繰り返しできる場合は皮膚科や美容皮膚科の診療を視野に入れましょう。