『夢十夜』のあらすじ要約!

今回記事でご紹介するのは明治を代表する文豪・夏目漱石の作品、『夢十夜』のあらすじです。

『夢十夜』は1908年(明治41年)に東京朝日新聞に掲載された小説で、神代~近代を舞台にする、十篇の不条理な夢を下敷きにしています。

夏目漱石の著作の中では読みやすい部類に位置付けられ、国語の教科書にも載っています。

ホラー・ファンタジー風味の掌編が多く、非日常的な筋立てが特徴です。

※本稿は作品のネタバレを含みます。あらかじめご了承ください。

『夢十夜』のあらすじ

『夢十夜』は夢がテーマの連作短編集で、「こんな夢を見た」の書き出しが全十篇に共通しています。

第一夜は恋人と死別した男の回想録。

死ぬ間際の女に「百年待っていてください」とお願いされた男は、墓のそばに座り、約束通り待ち続けます。

出典:電子書籍「夢十夜」

されど女はよみがえらず、騙されたのではと疑い出す頃、一輪の真っ白な百合が咲きました。

気付けば百年が経過し、女は美しい百合に生まれ変わり、男に会いに来たのでした。

第二夜は「侍なのに無を悟れておらぬ」とバカにされた武士が、悟りに至るかさもなくば切腹かと思い詰め、夜通し座禅を組んで瞑想にふける話。

その精神は無を模索する想念に支配され、夜の深まりに比例して混迷を極めました。

第三夜では盲目の童子を背負い、夜のあぜ道を行く人物の心情が綴られていきます。

その子は目が見えないにもかかわらず周囲の状況を言い当て、すっかり恐ろしくなった「私」は、童子を捨てて逃げ出したい誘惑に駆られます。

第四夜では手拭いを蛇に変えると豪語した酔っ払いの老人が、「今になる、蛇になる、きっとなる、笛が鳴る」と歌いながら、ざぶざぶ川に入って行っていきます。

第五夜は鶏が鳴く夜明けに殺される捕虜の話。

馬を駆って合戦に出陣した恋人に処刑の定刻を伝える術を持たず、生殺しの時間が過ぎていきます。

第六夜は護国寺に実在した天才仏師・運慶の話。

「あれは木の中に埋まっている仁王を掘り出しているだけだ」と群衆の一人がのたまい、それを真に受けて木を削ってみたものの、とうとう仁王は出てきませんでした。

第七夜は船に乗り込んだ目的を忘れ、甲板で途方に暮れる話。

水夫に行く先を聞いても答えはもらえず、漠然とした不安と虚しさに耐えかね、最後は波間に身を投げます。

第八夜は床屋を訪れ、鏡越しに行き交うさまざまな人々を観察する話。

第九夜は戦地に出征した夫の無事を祈り、幼い我が子を背負ってお百度参りを続ける母親の話。

第十夜は水菓子屋で相席した女に導かれ、断崖から延々飛び下りる、豚の群れを眺める夢です。

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