宮根誠司

 ワイドショーは30日朝からどこも一気に伊藤健太郎ひき逃げ容疑事故報道一色に染まったが、こうした同じ事案を扱うとき、その扱い方で番組のカラーが出るもので、その中で『ミヤネ屋』(日テレ)は思い切り芸能寄り。ゲスくて昭和な空気がにおっていた。

 まずはどの番組も同じだが、事故直後の映像を放送し、どのようにして事故が起きたか?を語り、「なぜ逃げたか?」を勝手に想像し、逃げたことによる刑罰の行方などをサラリと伝える。そうそう、どの番組にも「交通事故の専門家」なる人が登場し、現場に派遣され、事故に至る状況解説をしていたが、現場はさぞや専門家で密っていたことだろう。

 で、『ミヤネ屋』はそこからガラリ。「契約」や「違約金」の話になる。

 宮根誠司と向かい合って登場するのは、芸能レポーターの駒井千佳子さん。

 宮根が「飛ぶ鳥を落とす勢いとはまさにこの人のためにある」と言うと、駒井さんが、「年末に向けても今年の顔ということでいくつかの表彰式が予定され、まだ発表になってなかったのですが、大物芸能人とのCMもあったということです。

そうなると、違約金も共演者のギャランティーも補償しなくてはならない。出演料だけではないです」と真面目な顔で、いかにもわけ知りなコメントをする。

 すると宮根も段取り通りだろう、「これ、どこがどう払うのかややこしいことになってるんですよね」と振り、「そうなんです」と、駒井さん。そこからは駒井さん劇場。いかにも、「これ、特ダネなんですよ!」という言い方で「伊藤さんは2014年に俳優デビューした当時は−−仮に事務所Aとさせていただきますが−−Aに所属していたんですが、そこから事務所Bに移籍して今年の顔というぐらいにブレイクし、ところがつい先月に事務所Aに戻っているんですよ」と言う。

 それを宮根がリピート。

「事務所Bで大ブレイクしてるんで、コマーシャルなんかはBというところが契約して出演もしてる。でも、今、事務所はAなんです」

 駒井さんは「契約をしたB社にお金が入ってるのに、A社が違約金を建て替えるのか払うのか、いや、B社が契約したからB社が払うのか」と、さも大ごとのように困り顔を見せ、「芸能プロダクションの人たちに聞いてみたんですね。ふつうだったら契約を交わしたB社が払うんですが、でも契約してるのがA社だから、A社とB社が話し合わないとならないんです」と、切々と訴える。

 が、ここで横やり。

「それって、でも、普通は退社するときに話し合ってんじゃないですか?」

 ガダルカナル・タカ。その通りだよね、フツーそうだよね。

そう思うよね。

 しかし、これは余計な一言だったようで、宮根はスポーツ新聞の記事から抜粋した「現在の事務所は人気俳優に成長した伊藤容疑者に“戻って来たもらった”という立場。強くモノを言える人がおらず、伊藤容疑者は王様状態だった」なる、誰が言ったんだか分からない言葉を読み上げた。

 いや、もう、ほんと、どうでもいいから、のオンパレード。人気俳優が交通事故を起こした話から違約金に話題が飛ぶのもゲスいが、そこからさらに事務所移籍、どっちが払う?って話題に飛ぶってさらにゲスい。しかもAとかBとか事務所の名前も出なくて、視聴者にはまったくちんぷんかんぷん。

どうでもいい。そういう業界ネタ、なんかもう、ひたすら昭和臭い。楽屋でやってください。