パソコンの電源ユニットには「○○W」という電源容量の表示が必ず書かれている。実はこの違いによって、パソコン性能に大きな差が出るのだ。
今回はその違いの中身について紹介してみる。

筆者が数年前に購入したデスクトップPCは電源容量が150W。これってかなり少ないタイプで、購入のときショップ店員から
「このパソコンは電源が小さいからビデオカードは増設できませんよ」と言われた。ま、オンボードの画面出力で十分と思ったので、迷いなく購入したが、今は後悔している。今になって3D動画が見たくなったのだが、そのためのビデオカードを装着できないから。

「通常のビデオカードを使用するには500~600Wは必要です」(ユニットコム)
150Wでは明らかに電力不足である。
電源はパソコンの心臓のようなもの。心臓が送り出す血液の量が少なければ、体が思うように動かないのと一緒。では、なるべく大きい電源ユニットに買い替えればいいのか。パソコンショップの話を聞くと、そうでもないらしい。
「ワット数が大きくても、コンデンサなどのパーツの品質によって寿命や電力変換効率が異なります」(同)
では、何を目安に選べばいいのか。

ひとつは重さ。
店頭で製品を手で持ったとき、ずっしり重いものがたいてい高品質だという。また、「保証期間」が長いものもお勧め。さらに、「80PLUS」というマークの有無も参考になる。これは電源変換効率80%以上を達成した電源ユニットに与えられるマークで、「GOLD SILVER BRONZE なし」の4段階で効率性のレベルを表す。

電源変換効率が高いと、製品寿命や静音に加えて、電力消費量の削減にもなる。たとえば、500W電源を365日×8時間使用するとしよう。
電源変換効率90%の電源では消費電力1622kWh、同じく75%の電源では1946kWh、
その差は324kWhとなる。
電気代にすると3万6495円と4万3785円。年間で約7000円の節約となる。
※1kWh当り22.5円で計算(オウルテック調べ)。

多少高くても高品質の電源ユニットを選んだほうが長持ちでかつ省エネで経済的なのだ。他のパーツに比べても経済性の差は歴然。
CPUやマザーボード、ビデオカードの性能は1~1.5年で進化するので、高価な品を買ってもハイスペックを維持するにはすぐ買い替えなければならない。だが、電源はいいものを買っておけば、しばらく買い替えなくても十分な性能を発揮し続けられるのである。

電源ユニットを調べてみて、パソコンのパーツ選びはかなり奥が深いことがわかった。ユーザーのみなさん、なるべくいいパーツを選んで、快適で経済的なパソコンライフを実現してください。
(羽石竜示)