“男の日傘”は21世紀の常識!?
愛する奥様、彼女、お嬢さん。大切な人にさしかける男の日傘は、21世紀の騎士道
今やすっかり夏の常識になった「クールビズ」。その「クールビズ」の流れとあいまって今新しい男性ファッションのムーブメントが起きているのをご存知だろうか。
それは“男の日傘”である。

この“男の日傘”ライフスタイルを提唱しているのは大阪・心斎橋にある老舗傘屋「みや竹」の4代目ご主人宮武和広さん。先日コネタでご紹介した選挙専用ビニール傘「カテール」のネット販売を手がけている宮武さんである。
選挙用高級ビニール傘といい、男の日傘といい、なんだかすごいぞ宮武さん。この“男の日傘”についてお話を伺った。

「“男の日傘”に取り組み始めたのは7年前の1999年からです。
私自身、色白で肌が光線に弱いんです。シミもできやすくてそれで、日傘の必要性を感じていたんです。女性には日除けとして帽子と日傘という2つの選択肢がありますが、男性には選択肢がないんですね。男性が一般的にかぶる帽子は日差しを遮ってくれる範囲が狭く、しかもスーツに合うものもありません。そこで、暑い日中、外を歩き回るビジネスマンの方が普通にかっこよく使える日傘があったらと考えたわけです」

私もかつては日傘とは無縁だったが一度使ってみて「こんなに日差しを遮ると楽になるのか」と感激した経験がある。帽子と違ってムレることなく風通しもいいし、広範囲で日差しを遮ってくれるので暑い日には本当に身体が楽だ。

“男の日傘”と聞いて初めはちょっとびっくりしたが、実際これ、本当にいいかも。スーツにこそ、日傘は向いているような気がしてきた。それに、信号待ちの交差点で隣に立った男性が日傘をさしていて、さり気なく「どうぞ」なんてちょっと日陰をつくってくれたりしたらググっとくるなんてこともある!? かもしれない。

「実は男性用の日傘というのは絹紬(けんちゅう)といって先々代の時代からもあったんです。生地がシルクで裏が渋い格子柄というのが定番で、お使いになる方は主に年配の方と想定して作られていたんです。でも、私が使いたい日傘はこういうものじゃないな、と思いまして色々試行錯誤を始めたわけです。
そうこうしているうち、サラクールというユニチカテキスタイルさんで開発した紫外線防止効果の高い生地に出合ったんです。それで、この生地を使った男の日傘を2002年から出すようになったんです」

でも、“男の日傘”はまだ一般的に認知されていないということもあって、使いたいけどちょっと恥ずかしいという男性もいるのだとか。
そんな男性に向けて宮武さんは力強く言う。
「雨傘は今では男性も女性もさしますが、実は18世紀の黎明期は雨傘は女性だけのものだったんですよ。そんな時代に英国のジョナス・ハンウェイという人が傘を街中でさし、女のようだ、女々しいと周囲に嘲笑されたり石を投げられながらも『傘をさす文化』を根付かせたという逸話があります。私は男性ですが、いつも日傘を手放しません。
今は少々珍しいことであっても、やがてそれが普通のことになると思っています。私は21世紀のジョナス・ハンウェイになりますよ」

宮武さんは「男の日傘」が似合うタレントアンケートをご自身のメールマガジンの読者4万人を対象に実施。この結果が実に面白い。
1位:菅原文太、2位:阿部寛、3位:田村正和となっている。2位の阿部寛はなかなかいいところをついている。
このアンケートは女性に向けたものなのだそうだが、男性に「どんなタレントが日傘をさしたらあなたも日傘を使用するか」という質問をしたところ、1位がサザンオールスターズの桑田佳祐というのも興味深い。


現在、“男の日傘”は人気のサラクール(ネイビー、ベージュ、ブラックの3色)と和木綿(3パターン)だが、今月からは関西セレブでは知らない人はいないという米田正一商店の日傘「インディアン・ヘッド」の26色も“男の日傘”に登場。
よりカラフルなパラソルライフを楽しめそうだ。

宮武さんによると、梅雨明けから一気に“男の日傘”の注文が増えたそうで、何と6:4の割合で現在は男性用の日傘の注文の方が多いのだそうだ。沖縄でも「男性も日傘をさそう」と日傘愛好会が発足したというニュースもあり、本格的な“男の日傘”ブームはもうそこまできてるようです。
(こや)