
(左)池はずっと水が流れてるので、乙姫ならぬ音姫いらず!(右)入口も、吸い込まれそうに豪華
はじめてここに入ったときは、思わず、そのまま引き返してしまった。なんだか、見てはいけないものを見てしまった気がして……。
広い空間の真ん中あたりに、朱塗りの橋。その下には、水がこんこんと流れる池。上を見れば、天井を埋め尽くす日本画の数々。椅子に腰かければ弁当でも開きたくなるよい眺めだが、この橋を渡ってどこへ行くかといえば……いわゆるフツウのトイレである。
豪華絢爛という言葉がぴったりなこのトイレがあるのは、結婚式場やホテルで知られる目黒雅叙園。『千と千尋の神隠し』の舞台になったとか、中華料理店の回転テーブルはここの創業者が考案したとか、数多くのコネタを秘めていることでも知られるココだが、トイレもまたすごいことになっているのだ。
目黒雅叙園といえば、壁や天井を覆い尽くす日本画や彫刻の意匠で知られていて、旧館の「百段階段」は登録有形文化財にも指定されているほど。創業者・細川力蔵の、趣味と実益を兼ねた美術コレクションがもたらす得体の知れぬパワーは、建物が新しくなった今もあちこちに残されている。旧館の名所だったお手洗いも、そうして改装を加え再現されたものだ(なので、便器はちゃんとウォシュレット)。
凡人にはちょっと豪華すぎて、「や、やり過ぎでは?」とたじろいでしまうのだが、そこは昭和の竜宮城、目黒雅叙園のこと。宴の最中にもよおしても「夢」が覚めぬ仕掛けになっているのである。
(矢部智子/アンテナ)
広い空間の真ん中あたりに、朱塗りの橋。その下には、水がこんこんと流れる池。上を見れば、天井を埋め尽くす日本画の数々。椅子に腰かければ弁当でも開きたくなるよい眺めだが、この橋を渡ってどこへ行くかといえば……いわゆるフツウのトイレである。
豪華絢爛という言葉がぴったりなこのトイレがあるのは、結婚式場やホテルで知られる目黒雅叙園。『千と千尋の神隠し』の舞台になったとか、中華料理店の回転テーブルはここの創業者が考案したとか、数多くのコネタを秘めていることでも知られるココだが、トイレもまたすごいことになっているのだ。
目黒雅叙園といえば、壁や天井を覆い尽くす日本画や彫刻の意匠で知られていて、旧館の「百段階段」は登録有形文化財にも指定されているほど。創業者・細川力蔵の、趣味と実益を兼ねた美術コレクションがもたらす得体の知れぬパワーは、建物が新しくなった今もあちこちに残されている。旧館の名所だったお手洗いも、そうして改装を加え再現されたものだ(なので、便器はちゃんとウォシュレット)。
凡人にはちょっと豪華すぎて、「や、やり過ぎでは?」とたじろいでしまうのだが、そこは昭和の竜宮城、目黒雅叙園のこと。宴の最中にもよおしても「夢」が覚めぬ仕掛けになっているのである。
(矢部智子/アンテナ)
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