
私のささやかな短距離アスリートとしての経験から言えば、人間のレースの場合は、個々のランナーの持ちタイムの関係から大きな番狂わせは起こりにくい。でも、競馬の場合は時に能力的に足りないと思われる人気薄の馬が大駆けして、穴をあけたりするんですよね。特に天候が崩れて雨天だったり、馬場のコンディションが悪い時などには起こりやすい。
馬に雨の得手・不得手があるのはどうしてだろうか。
馬は本来野生の動物なので、種族の特性としては全天候型で特に雨の好悪はないはず。
競馬では馬場のコンディションの悪いことを重馬場と言うけれど、馬には馬場の向き不向きがあって、重馬場適性を見る大きな要因のひとつは蹄(ひづめ)の形なのです。その蹄の裏の面積が広い馬と狭い馬がいる。人間で言うところの大足、小足ですか。馬の足の裏も個人差(個馬差?)があるのです。足の裏が広いと一見安定度が高いように思えるけれど、雨の時はそれが滑りやすい原因になってしまうとか。人間の全天候用の靴の裏が溝を多くして地面との接地面積を狭くしているのはそのためです。
その他の要因としては、走法にある。
馬も自分自身で重馬場を上手く走れないのは判っているだろうから、雨の日のレース前は憂鬱な気分になっているかも。
天気予報は万全で、レースの前に雨が降ることが判っていたとしても、馬の足の裏なんてなかなか見る機会がないし、走る姿を見ても走法なんてちょっと見分けがつかない。やっぱり季節限定のにわか馬券師は、雨の日には見(ケン)するに越したことがないのかも知れないですね。澄んだ冬の空気の中を疾走する馬たちの姿、見ているだけでもなかなか美しいものですから。(シロー)