国会議事堂には全都道府県の木がある
国会議事堂を正面にみると右手に木々がある。
多くの人が一度は見学に訪れたことがあるであろう国会議事堂。私は小学生の社会科見学で行ったことがあるのだが、大人になってからは縁がなかった。
そこで、「国会へ行こう!」と、ドラマ(吉田栄作主演で放送していた)とは意味合いが違うけれど、思いたって見学コースに参加。

当日の申し込みで、中国からの団体さんや子ども連れのファミリーと一緒に見学することに。案内の衛視さんが親切、丁寧に説明しながらまわってくれる。テレビ中継でお馴染みの参議院議場をはじめ、御休所など議事堂内の見所を一通り見学。小学生の頃にはあまり気にもしていなかったけれど、大理石を使った壁や、ステンドグラスの天窓、中央広間の壁画などが素晴らしいのに驚いた。

そして、コースは約30分で終了するのだが、今回の本題はここから。

みんなでそのまま外に出ると、前庭の遊歩道の両側に並ぶ「都道府県の木」なるものがある。それらは、1970年に議会開設80周年を記念して、各都道府県から贈られたのだという。でも、そもそも都道府県の木って何だろう? 正直、都道府県にそれぞれの木があることなど知らなかった私は興味津々に。

しかし、ここにあるのは、記念として贈られたものなので、気候上育たないという理由などから、実際に都道府県それぞれに決められている木とは別のものもあるとか。ちなみに東京都の木は、イチョウ。神奈川県も同じイチョウだった。
他にも埼玉県、福島県、宮城県は同じケヤキ。茨城県はウメ、群馬県はクロマツ、静岡県はキンモクセイ、などなどずらーっと並んでいた。さて、自分の住む都道府県の木についてわかる人はどれくらいいるのだろう?

冬の間はほぼ枯れ木のため、ちょっと寒々しかったけれど、春や夏に来たらもっと眺めもいいはずだ。昔は一般の人も遊歩道だけを自由に歩けたらしいのだが、現在は見学コースに組み込まれているのみ。今のように警備を強化している時代には、なかなか自由にとはいかないのかもしれない。

国会議事堂の見学に来ておきながら、木に夢中になっているのもどうかとは思うが、日本の政治を司る、いわゆる国の中心に、各都道府県から代表した木が集まっているというのはなかなか面白い。


普段はどうしても遠ざかってしまいがちの政治の世界。こんな、一見全く関係のない、小さな物事からでも身近に感じられるなら、それでもいいのかもしれない、と30年以上もそこにある木々をしみじみと眺めながら思ったりしたのだった。まずは「国会へ行ってみよう!」くらいの、ほんの好奇心からでも。(田辺 香)

<国会議事堂にある「都道府県の木」リスト>
福岡(サツキツツジ)長崎(ツバキ)佐賀(クスノキ)山口(アカマツ)島根(クロマツ)鳥取(オキノヤマスギ)広島(ヤマモミジ)岡山(アカマツ)兵庫(クスノキ)大阪(イチョウ)京都(キタヤマスギ)滋賀(イロハモミジ)福井(クロマツ)岐阜(イチイ)富山(タテヤマスギ)茨木(ウメ)石川(アテ)新潟(ユキツバキ)山形(サクランボ)秋田(アキタスギ)青森(ヒバ)北海道(アカエゾマツ)岩手(ナンブアカマツ)宮城(ケヤキ)福島(ケヤキ)栃木(トチノキ)埼玉(ケヤキ)群馬(クロマツ)千葉(イヌマキ)長野(シラカバ)東京(イチョウ)山梨(ヤマモミジ)神奈川(イチョウ)静岡(キンモクセイ)愛知(ハナノキ)奈良(スギ)三重(ジングウスギ)和歌山(ウバメガシ)徳島(ヤマモモ)香川(オリーブ)高知(ヤナセスギ)愛知(クロマツ)熊本(クスノキ)大分(ブンゴウメ)宮崎(ココス)鹿児島(クスノキ)沖縄(ソテツ)