
この広報展示室は、税関の仕事や歴史を広く知ってもらおうと、税関の一角にある展示スペースを無料で開放しているもの。目的はいたってまっとうなのだが、その仕事が仕事ゆえ、展示物はワシントン条約該当物品や、輸入が禁止されているけん銃や麻薬、ブランドのコピー品等々……と、やったり持ったりしてはいけないモノが一堂に会した、ちょっとめずらしい展示スペースになっているのだ。
なかでも目をみはるのが、「みて、さわって」体験できる「プレイ体験ゾーン」。
ブランド品のバッグや靴など、うりふたつの商品がふたつずつ並んでいて、そのどちらかをテーブルにのせると、本物かにせものかを教えてくれるという。手にもってあちこち見てもわからないコピー商品の精巧さもすごいが、上に置いただけで「にせものです」と即座に答える、この機械がまたすごい! いったい何に反応しているんだ!?
また、お菓子の箱や辞書がいくつか置かれていて、金属探知器を使って隠されたけん銃を探すというゲーム感覚のコーナーも。初めて手にした金属探知器は、あやしいものを見つけると、発情期のネコのような奇声を発してびっくりさせられるが、見つけたときの気分はもう刑事である(ほんとは税関職員なのだが)。
さらに奥には、タイヤやバットや消化器に巧みに隠された覚醒剤とか、金ののべ棒を隠す特製チョッキなんかも展示されている。まあそれを見たところで、感心していいのか憤慨すべきなのか、リアクションにはちょっと困るのだけど、こうして「いけないモノ」がふたたび日の目を見る場というのも、なかなか興味深いものです。(矢部智子)