
恥ずかしながら、ついつい顔をハメてみずにはいられないが、アレはいったい誰が作るのか。
「『顔ハメ看板』は、うちが始めたわけじゃなくて、もともとは各観光地の看板屋が作ってたものなんですよ。昔は手描きが当たり前だったのにねぇ、最近はみんなコンピュータになってきて、味のある顔ハメは減ってますよね」
と嘆くのは、代表のもたい清貴さん(47)。
顔ハメのルーツは、一説には、カラーフィルムが普及し写真ブームとなった頃に、フジカラーが「写真を撮るための小道具」として提供したのが最初と言われているとか。
越後もたい看板店は今年で創業46周年だが、ネットで「顔ハメ看板」の注文を受けるようになったのは98年から。「資料」は1枚の写真を送るだけでOK、料金は松竹梅のコースに分かれ、梅コースなら材料込みで3万円から作ってもらえる。
コースの違いは、主に手間のかけ方と塗料(耐水水性or油性)の違いで、時間がかかる油性の方が高くなるとか。ところで、実際に「顔ハメ」の注文ってあるんでしょうか?
「これまで手がけたのは20枚ぐらい。鉄道フェスティバルなど、イベント系が多いですね。観光地に設置するには管理人が必要なので、使用後はしまわれてしまうのがほとんどで。
観光地で見かけたらノリでハメるけど、個人の家に常設されてたら、ちょっとヤダなぁ。
また、気になるのは、顔ハメの高さ。高すぎると背伸びするため「ブタ鼻」に写るし、低すぎるとムリな姿勢のため、赤い顔になります……。基準はあるのでしょうか?
「身長はテキトーですね。構図によりますよね。ウルトラマンなら小学校高学年くらいでも入れるようにするとかはありますが」
最後に、もたいさんに「今後の顔ハメへの野望」を聞いてみた。
「全国各地の観光地に、期間限定でもいいので、おもしろい顔ハメを出せるといいですね〜。上野公園に『西郷さんと、おまけに犬も顔出しちゃえ!』とか。ただし、犬が顔を出すかどうかは気分しだいですが。それと、犬用の顔ハメもペットショップに提案したいです! 柴犬がレトリバーに変身! とか……。あと、今、一番置きたい場所は、大阪の太陽の塔前です。
大好きなアイドルやタレントの「顔ハメ」を作ってもらって、家に置くなんてどうでしょう。
あ、でも、肝心の、中の顔が自分じゃ、意味ないか。
(田幸和歌子)