納豆とクレオパトラの融合? ピラミッド型のナゾの物体
子どもが描いたのかと思うような強烈なインパクトのイラスト入りの巻物、箱は保存モノ。肝心の納豆は、大豆の香りも豊かな上品なお味です。
「すごい納豆を見つけたんですが、コネタにどうでしょう?」
と、担当さんに言われた。

三重県の「奥野食品」でつくっている、その名も「神秘納豆 クレオパトラの幸せ」だ。
サイトをのぞいてそのインパクトに打ちのめされたのだが、何がスゴイって、クレオパトラと納豆という組み合わせはもちろんだが、何よりパッケージの絵! ピラミッドを模した箱の真ん中には少女漫画チックな女の子(この子がクレオパトラ?)が描かれ、その周囲をスフィンクスふう、ツタンカーメンふうの動物が取り囲んでいる。「しりあがり寿=八代亜紀」説に続き、新たなしりあがりの出現かと思いました(しりあがり寿、大好きなんです)。

奥野食品に問い合わせたところ、現物サンプルを送ってくださったのだが、開けてさらにビックリ。「魅惑のビン」という金色のビンにはオイル漬けの納豆と、「バラ」「真珠粉」「塩」「くろす蜂蜜」の4種の薬味、「お召し上がり説明書」として巻物が入っている。
さっそく薬味をつけながら食べてみると……あれ? 意外にも大粒の豆はしっかりした味で、薬味との組み合わせも新鮮で、ちゃんと美味しい。なのに、なぜあえて奇抜なネーミングと、すっとんきょうな雰囲気にしたのか。


店主の奥野敦哉さんは言う。
「常連のお客様が当店のモロヘイヤ納豆を『クレオパトラ納豆ならもっと売れるのに……』とつぶやいたことがきっかけです。完成品にはモロヘイヤは入っていませんが、多岐にわたる"クレオパトラの健康法・美容法"の数々を日本の誇る健康食品"納豆"に融合させようと思ったんです」

でも、なぜ「神秘?」なぜ「幸せ?」と聞いてみると
「『神秘』には『納豆として以外の楽しみ方も見つけてください』の願いが込められています。また、『幸せ』には、漫画家の里中満智子先生の作品『クレオパトラ』がヒントとなっているんですよ」とのこと。

4種の薬味はそれぞれクレオパトラの「真珠を酢の杯に溶かし飲み干した」「バラを好み、足首が隠れるほどバラの花を寝室に敷きつめた」「海水塩によるマッサージを行なうことで美しい肌を磨いた」「蜂蜜を好み、その甘みはクレオパトラを聡明で優しい女性に育てた」という伝説にそったものらしいが、クレオパトラが実際に納豆を食べていたという歴史的記録はない。

それにしてもこのイラスト、誰がどんなことを狙って描いたものなのか。

「デザインは妻の若おかみで、イメージキャラクターのたぬきの名前は『たぬぷ〜店長』です。キザな商品になってもウチのカラーではないので、狙いは"たぬっぽく"です」
ああ! たぬきだったんですね! ユニークなピラミッド型の箱については、
「ちゃんと52度の角度となっていますので、ピラミッドパワーが発生しているはずなのです!」と力説する。

購買層は若い女性が中心というが、通販で買えるほか、直売所「たぬみせ」では「量り売り」もやっているそうだ。
(田幸和歌子)