365日お祭りをやっている町を発見!
(上)地元の人も観光客もごちゃ混ぜ(下)気のいい屋台の親父たち
あっという間に秋ももう終わり。朝晩めっきり寒くなって、おうちから出られない人も増えてくる今日このごろ。
それでもいまだに夏祭りの熱気を懐かしんだり、早くも来年の夏祭りシーズンのことを考えてしまったり……、なんていう根っからのお祭り好きのみなさんに嬉しいお知らせ。なんと1年365日、毎日お祭りをやっているという夢のような町があったのだ。

その町は、アフリカ大陸はモロッコにある『マラケシュ』。日本ではまだまだ「モロッコってどこ?」くらいの知名度だけど、実はモロッコは世界中から観光客が訪れる超観光地。スペインからフェリーで2時間くらいなので、とくに欧州人に人気が高い。なかでもマラケシュはモロッコで最も多く人が訪れる町。そしてこの町の中心『フナ広場』こそが、世界中のお祭りフリークが愛してやまないお祭り天国なのだ。

お祭りは昼間からスタート。オレンジジュースの屋台がこれでもかというほど軒を連ね、広場の真ん中では、さまざまなイベントが繰り広げられる。蛇使いやアクロバティックショーなどの大道芸人から、名物の水売りや怪しいグッズの露店、さらにはヘンナ書き(植物の一種で、手に模様を施してくれる)まで、とにかくお祭りの登場人物が全員集合!とくに昼間は観光客が多く、賑やかな歓声とフラッシュの光があふれ、お祭り好きなら広場にいるだけで興奮してスキップしてしまいそう。

そして日が暮れ、夜が近づくと広場はさらなる活気を帯びてくる。肉や魚のほか名物クスクスなど様々な料理を扱う屋台が何十件と並び、激しい呼び込み合戦が始まる。
その様子は、さながら日本の屋台の「焼きそば大盛りだよー」というあの呼び込み風景。しかし、ここではこれが日常。地元の人も観光客に混じって普通に日々の食事をとり、終わればまた広場でイベントを楽しむ。夜になると大道芸人の多くは消え、かわりに音楽の生演奏や手品、それに日本でいうところの宝釣りのような「コーラ釣り」やカードゲームなど新たなお楽しみが始まる。広場のそこかしこに大小の円ができて、人の熱気がムンムンだ。広場のお祭りムードが一番高まりを見せるのもこのころ。

これが毎晩深夜1時ころまで続くのだから、まったくモロッコ人のお祭り好きは計り知れない。夜になるにつれ地元の人の割合も高くなる。おそらく他にたいした娯楽もなく、酒を飲む習慣のないモロッコ人にとって、この広場が仕事のあとの遊び場であり社交場なのだろう。世界中の人々が一年中お祭りを楽しむ『フナ広場』。誰かが「天下のフナ広場」と称していたが、その呼び名にふさわしい正真正銘のお祭り広場だ。

お祭りが恋しくなったら、ぜひモロッコへ。
思い立ったらいつでも行ける。だって、毎日がお祭りなのだから。
(古屋江美子)
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