牛丼不足が生んだ!? 「幻の牛丼スナック」
「幻の牛丼スナック」、パッケージに「特盛」とありますが、べつに「並」や「大盛」があるわけではないみたいです。
スーパーのお菓子売り場で、物悲しさ漂うスナックを見つけた。リスカの「幻の牛丼スナック」。


「ホンモノの」牛丼写真のまわりには炎が揺らめき、「自慢の逸品」「特盛」のあおりコピーも添えられたパッケージだが、もしかしてこれって、牛丼不足が深刻化したBSE騒動以降に、「せめてスナック菓子で気分だけでも」と、生まれたものなんじゃ? なんとなくそんな誕生ストーリーを想像し、発売元のリスカに問い合わせると、「いえ、もともと20年くらい前からあるスナックなんですよ」。

なぁんだ、失礼致しました、と電話を切ろうとする私に、営業担当者が、こう続けた。
「ただ、もともとはただの『牛丼スナック』という名前で売っていたのを、2年前にデザインを変え、『幻の』をつけ加えたんです」

もともとは「30円で食べられる牛丼」がキャッチコピーだったが、やはりBSEによる牛丼の発売停止による影響から、チェンジしたのだとか。
「『幻の』を加えて、名前が違うだけではお客さんをバカにしていることになると思い、味も改良しました。紅ショウガのパウダーを加え、ぐんと大人の味にしたんですよ」

こだわりは、「レトルト牛丼じゃなく、吉野家の牛丼をイメージしたこと」。
「レトルトとかの牛丼って、たまねぎがグツグツ煮立って、シナシナになって、砂糖の甘ったるい感じがするじゃないですか。
でも、吉野家さんの牛丼は違うでしょう?」
食べてみると、食感はおなじみのコーンパフだが、タマネギ風味が効いたつゆの独特の甘さがあり、確かに「牛丼味」である。紅ショウガパウダー感は、あまり感じなかったけど……。

また、パッケージのイメージも、オレンジ色の「吉野家イメージ」から、青のメタリックを基調にした「すがすがしいイメージ」に変えたそうだ。
マイナーチェンジの影響は売り上げに出てますか?
「どうしても子どもさんの市場なので、飛躍的に伸びたわけではないですねぇ(苦笑)。でも、ファンの方からは会社に直接電話があり、『味が変わった?』なんて聞かれることもあります。そのときは『実は……』と、紅ショウガパウダーの秘密をお教えするんですよ!」

ちなみに、「牛丼味」のスナックは、現在、他社製の土産物ルートのポテトチップスのほか、この「幻の牛丼スナック」の2種だけだそうだ。

確かに、いろんな意味で「幻の牛丼」なのだった。
(田幸和歌子)