「音姫」から知る日本人のトイレのこだわり
やっぱ日本人がトイレの音にナーバスになるのって小学生の頃の体験からじゃないでしょうか
女性なら誰でも知っている「音姫」。トイレでのプライバシー音を消す装置である。

先日、何気なく音姫に書かれている説明文を改めて読むと「手をかざすと流水音が25秒流れます」、さらに「途中で再度手をかざすと延長します」とある。ふむふむ、25秒かぁと思いつつ、用を済ませるとまだ音が流れている。あれ、25秒って結構長いかも。それにしても15秒や30秒ではなく、25秒という半端な時間設定が気になる。

さっそく音姫を開発したTOTOに話をうかがってみた。
「25秒というのは、社内モニターで算出しました。
排尿時間の平均+αを想定しています」
TOTOと言えば、ウォシュレットを開発した時に社員の協力を得てノズルの位置を設計したというエピソードが有名。やはり、音姫開発にも社員のみなさんの協力は不可欠だったようである。
「当時はまだ社員ではなかったので詳しくは分からないのですが、おそらくストップウォッチなどを使って個人個人で計ったと思われます」
と広報の後藤さん。

音姫が発売されたのは、1988年5月。開発のきっかけは、1978年の福岡での大渇水があったという。日本の多くの女性は、公共のトイレで用をたす際に音消しとして便器洗浄の水を流す習慣があった。
いわゆる2度流しである。これだと単純に見積もっても倍の水を余計に使ってしまう。各トイレの設定によるが、1回流すと10〜15リットルもの水を使う。音を消すだけにこれだけの量の水を使ってしまうのは、明らかに資源の無駄使い。そんな無駄使いをなくそうと考え出されたのが、流水音の擬音装「音姫」だった。

TOTOのHPには、「音姫」節水効果事例が掲載されている。
それによると松下電器産業(株)で全国43の事業所に「音姫」を1516台取り付けたところ、水道料金を年間6,400万円削減できたのだそうだ。すごい「音姫」効果だ。それと同時にトイレの音を気にする女性の多さにびっくりである。

実はこのトイレの音を気にするのは、世界的にみて日本人が圧倒的に多いのだそうで「音姫」は日本でのみ販売されている。
「日本女性の独自の羞恥心なので、海外からいらした女性は日本のトイレに擬音装置があることに驚かれています」
と後藤さん。こんなところにも日本ならではの文化があったんですねぇ。


そして、今回色々調べている中で知ったのが、洗浄レバーの小の意味。あれは男性の小便用のためのものだということ。
「音姫」=「トイレの擬音装置」という認知度バツグンのネーミングのつけ方は秀逸だ。実は「音姫」に決まる前、候補に出されたネーミング案に「押しっこ」というのがあったそうだがこれはあまりにも直接的ということでNGになったとか。
いずれにしても水は大切な資源、無駄使いはやめましょう。
(こや)