海外で拍手喝采の日本の大発明 「土のう製作器」とは
(上)ビービーワーカー16型(下)ビービーワーカー4型
土木工事の現場や水害などの自然災害の被災地の時に欠かせないのが、土をいれた袋の「土のう」。
先日、その「土のう」を作る道具があるというのを初めて知った。
しかも、「土のう製作器」が作られたのは1997年とつい最近のことなのである。21世紀になろうというのに今まで人力だけで作っていたというから驚きだ。これは、話を聞かねばなるまいとさっそく製造元のビー・ビー・ダブリュー(本社:島根県)に話を聞いてみることにした。

「『土のう』は普通二人一組になって一人が袋の口を開いて持って、もう一人がスコップで土を入れて作るんですけど、結構キツイ作業です。国交省の資料でも土のう作りの単価は一日二人で100個とかでと計算されていて、そんなに一度にたくさん作れるものではないんです。でも、当社の製作器、「ビー・ビー・ワーカー」を使えば一人で一日7時間の作業で640個作れます。
私が実際に作業をして出した数字なのでこれは間違いはありません」
と営業部長の本田さん。

「ビー・ビー・ワーカー」のしくみを簡単に説明すると、土を入れる袋を口を広げたまま置けるように底の抜けた四角い筒と枠を組みあせたもので、袋を固定して土砂を投入、枠を引き上げれば土砂の詰まった袋が出来上がるとういうもの。後は袋の口を紐で縛れば完成だ。なーんだ、ただの枠じゃない、と思われる方もいるかもしれないが、こういったものが今まで全く考えられてこなかったというのが、不思議といえば不思議だ。

「そうなんですよ。単純なだけに作る道具は考えられてこなかったようです。
土のうは日本だけでなく世界各国で使われていますが、よその国でも土のう作りの苦労は同じようです。昨年の6月にドイツで行われた防災用品の見本市でも各国に注目されました。みなさん『ブラボー ! 』とか『ズーバー! 』とか言って拍手喝采してくれました。特に近年ヨーロッパでは水害が多く、災害の記憶が新しいだけに大変高い評価を受けました」
と本田さんは言う。

「自治体などでも使って頂いています。実は土のうは作り置きができないんです。
土のうは大量に使うものなので、コスト面を考えて袋に使うビニールも比較的劣化しやすいものが多いんですよ。だから、使う直前に短期間に一斉に作らなければいけないんです」

「口で説明するよりも、実際に作っているところを見ていただいた方が分かりやすいので、防災訓練などで実演もさせていただいていますし、HP上でも動画でご覧いただけます。土のう作りは成人の男性だけの仕事のように思われますが、これがあれば、女性やお子さんでも簡単にできます」
と本田さん。イベントで土のう作り競争をやったところ、これが結構盛り上がったとか。こんな風に楽しみながらでも土のう作りを体験しておけば、防災意識も高まりそうだ。
実は本田さん自身、200個の土のうをビー・ビー・ワーカーを使って、一時間37分で作ったという記録を持っていて、名刺には「世界最速 土のう製作士」の肩書きを持っている。
本田さん、結構お茶目です。

ちなみに、土のう袋には土砂は80%だけ入れる。こうすると、袋がフレキシブルに変形してどんな場所にも収まるのだそうだ。単純なものほど、使い道が多い、ということでしょうか。(こや)