巻物つき? 忍者珈琲でござる
これが忍者珈琲。カップとホイップとスティックで「忍者」が表現されているでござる。
忍者の街・三重県伊賀市で、こんな看板を掲げた喫茶店を発見した。
「忍者珈琲館」

伊賀市には、街のいたるところに忍者関連の看板や像があったりして、「忍者ランチ」や「忍者寿司」など、“忍者関連メニュー”をウリにしている飲食店は多い。

はたしてこのコーヒー、どんな「忍者っぷり」なのだろうか。そのお店「忍者珈琲館キド」に入り、早速注文してみた。

「こちらが、忍者珈琲です」
1杯620円。出てきたのは、漆黒のカップに入れられたコーヒー。店長にどのへんが「忍者」なのかうかがってみたところ、まずこの黒いカップに黒いコーヒーというのが忍者のイメージらしい。そして、表面のホイップ、これが「煙幕」なのだと。
さらに、
「これで、かきまぜてから飲んでください」
と、伊賀市のみどころなどが説明された紙で巻かれたシナモンスティックが、カップと一緒にもってこられた。忍者秘伝の「巻物」に見立てているわけだ。さらに、ここに店長手製の忍者の折り紙が添えられ、この一式で「忍者珈琲」ということらしい。

飲んでみると、香りも豊かで味は少しマイルド。なかなか本格的なコーヒーである。
この喫茶店、実は50年以上の歴史があって、伊賀でも最も古い歴史をもつ喫茶店なのだという。
道路の拡張により、店舗は半分以下の面積になってしまったものの、こだわりのブレンドの味などで現在も親しまれている。壁板や調度品なども、改装後もそのまま残しているそうなので、グッドオールドな雰囲気でコーヒーを味わうことができる。

さてこのコーヒー、どうして生まれたのかを聞いてみると、
「市の観光課の方に、何か忍者に関連したメニューを、と言われたんです」
とのこと。
この「忍者珈琲館キド」では、他にもオリジナルコーヒーがある。
まず、同じく伊賀で有名な、松尾芭蕉の詠んだ雪の俳句にちなんで、アイスクリームとホイップが入り、笠形のせんべい付きの“冷たく温かい珈琲”「芭蕉珈琲」(570円)。それから、ブランデーを少し入れ、上からホイップをかけ、ブランデーの香りを「忍び」のように隠す、「忍びの里珈琲」(570円)。

もちろん、ブレンドやブルーマウンテン、アメリカンといった「普通の」コーヒーもいろいろあるので、伊賀上野散策の際、一息つくにはぜひ。
(太田サトル)
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