世界中の人々が、新型コロナウイルスという見えない敵と戦う現在。日本でも多くの人々が、“3密の回避”や“ステイホーム”を心がけながら生活を送っている。
ただでさえ不安だらけという状況のなか、もし慣れない異国の地で生活していたら…。今回は“海外”で未曾有のウイルス禍に立ち向かう選手にリモート取材を行い、現状や今の心境を聞いた。
ランクンは自宅トレでゴムチューブを使用…笑顔は一切ありません
昨年7月の「ニッポンハムレディスクラシック」では、タイ出身の19歳(当時)が日本で自身初となる優勝カップをつかみとり、最高の笑顔を弾けさせた。それがS・ランクンだ。2017、18年と中国ツアーで2年連続の賞金女王に輝くと、18年のQT(予選会)を経て昨年から日本ツアーに参戦。そして、いきなり大きな結果を残した。
“ほほ笑みの国”からの使者は、賞金シードという肩書も手にし、順風満帆ともいえるなか2年目のシーズンを迎えるはずだった。
オフシーズンは自国のタイで合宿を敢行。開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」出場に合わせ、直前に来日した。しかしご存知の通り、沖縄を舞台にするこの初戦は中止に。そこから現在まで、日本での拠点にするため昨年10月に借りた千葉の自宅で過ごしている。
「今は部屋で自重トレーニングやストレッチを重点的に行ってます。
人がいない時間を見計らって、コースや練習場でボールも打ててはいます」。その練習場では、感染防止のため混み始める頃合いをみて退場するなど、感染防止に向け気を張っている。それゆえ普段の練習に比べると「40%くらいしかできていない感覚」と物足りなさも感じるが、可能な範囲で調整を続けている。
自分が生まれた国で暮らしていても不安ばかりの今。そんな困難に異国で直面したとなると、精神的な部分も含め負担はさらに大きなものになりそうだ。しかしランクンは、「タイよりも政府の対応や医療設備も整っています。
日本のほうが安全と考え、そのまま滞在することを決めました」と、今の生活を自ら選択した。
もちろん心配がないわけではない。特にタイにいる家族のことは気がかりだ。父のスラットさんは、ツアーにも帯同し、ランクンとともに現在も日本で生活するが、それ以外の家族は故郷のプーケットで暮らしている。「1日に何回かテレビ電話はしています。『外には出ないように』と、ずっと言っています」。
生まれ育った国は、政府命令で3月下旬から娯楽施設や商業施設などを罰則付きで閉鎖。それらの対策も功を奏し、感染拡大は落ち着きを見せ始めている。その話は家族からも届けられており、少し胸をなでおろしてはいるが、それでも予断を許さない状況に変わりはない。
日本での生活も今年で2年目に突入した。そして、今を心穏やかに過ごすうえで、やはり去年1年間の経験は大きい。「日本語も徐々に覚えてきました。
ご飯の時、メニューの頼み方も分かるようになりましたし、生活で不便を感じることも段々と少なくなっています」。年初のタイ合宿時にも現地で会い、コースやSNS上でも交流が深い渋野日向子をはじめ、ツアーをともに戦う選手とはもちろん会えてはいない。コースでのラウンド練習も1人で行うため「寂しい」という気持ちも募るが、「誰とも会えないのでゴルフに集中できています(笑)」と、それすらもポジティブにとらえられている。
「試合数は減りましたが、初めて日本に来て前半戦出場権しかなかった昨年のほうが不安は大きかったです。今年はシード権も持っているし、自分のゴルフさえできれば大丈夫だと思う。ぜひ2勝目を挙げたいですね」。
そう言ってパソコンの画面越しに見えた屈託のない笑顔は、昨年のものと何も変わってはいなかった。
◆ランクンが自宅トレーニングを伝授!
「家でのトレーニングを重点的に行っている」と話すランクンに、自宅でできる練習法を聞いてみた。すると、ゴムチューブを使用したトレーニングを“伝授”してくれた。やり方は、「柵などにゴムチューブを結び付け、それをスイングする時のように強く引きます」というもの。「手で引っ張るのではなく、重心を意識しながら、体でしっかりと引っ張ってください。これで体幹も鍛えられ、バックスイング、ダウンスイング時のリズムやバランスも身に付きます」。一度開始したら、間髪入れずに、自分が決めた回数を同じリズムで繰り返すのがポイントだ。

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