今季の女子ツアーを牽引する稲見萌寧や小祝さくら。彼女たちに共通するのは、ツアー屈指の“アイアン上手”であることだ。
抜群の切れを誇るアイアンショットを武器に、高いパーオン率を記録し、それが安定した強さにつながっている。
実際、パーオン率のスタッツを見ていくと、3位の岡山絵里や9位の山下美夢有など、今年の優勝者たちが名前を連ねる。先週の「パナソニックオープンレディース」を制した上田桃子も、毎年パーオン率で上位につけるショット巧者。まさに、今の国内女子ツアーはアイアンの上手さが成績に直結するといっても過言ではない。
そこで興味深いデータを発見した。ゴルフ雑誌ALBA819号に掲載されている記事によると、ここ4年の間に、女子プロたちのパーオン率が爆上がりしているというのだ。
現に、パーオン率のスタッツで70%を超える選手が、05年4人、15年6人という人数に対し、19年には30人にまで増えている。
なぜここまで急激に女子プロの“アイアン上手”が増えたのか? ギアコーチの筒康博氏はその要因の一つとして、アイアン用の“軽量級シャフト”の進化が挙げられると話す。
「今は、スチールでも、カーボンでも(シャフトの)剛性を下げずに軽量化することが可能になり、操作性・打感ともに優れたモデルが増えています。その上で、振り心地や球質を“選べる”ようになりました。多くの女子プロが自分に合った“軽量級”シャフトを採用し、パーオン率のスタッツを劇的に向上させていることが、性能の裏付けだと言えるでしょう」
女子プロたちの使用シャフトを見ていくと、稲見が日本シャフトの『N.S.PRO 850GH neo』、小祝がトゥルーテンパーの『ダイナミックゴールド 85』、上田が『ダイナミックゴールド 95』を採用。いずれも17~18年頃にかけて発売された“軽量級”シャフトだ。
(※稲見のシャフトは未発表のモデル)
もちろん女子プロたちの技術自体が向上していることも、パーオン率が急激に上がった要因だろうが、それだけでは説明がつかないほど、強烈な伸びを記録しているのも事実。ドライバーほどは注目されることのないアイアンシャフトだが、女子プロたちがまさに身を持って、その性能の高さを証明してくれているのだ。
そこまで高性能ならば、アマチュアゴルファーにとっても“軽量級”シャフトは有益なものといえるだろう。これからは活躍する女子プロのアイアンシャフトに注目してみても面白いかもしれない。