■風によって平均スコアが5打変わる
杉澤氏がまずポイントに挙げるのは、海沿いのリンクスコースに吹く海風だ。今回と同じパー72の設定で行われた12年の初日の平均スコアは「73.294」で、ベストスコアはカール・ペターソン(スウェーデン)の「66」だった。ところが2日目の平均スコアは「78.086」と5打近くも増え、60台で回ったのは「69」を出したビジェイ・シン(フィジー)ただ一人。優勝したマキロイでさえ2日目には「75」を叩いた。
「なぜ5打も平均スコアが?と聞かれれば、理由は強い海風しかない。
■名匠ピート・ダイの設計で、パー3を境に風が入れ替わる
コースの設計は鬼才と呼ばれた名匠ピート・ダイ。「ザ・プレーヤーズ選手権」が行われるTPCソーグラス スタジアムコースを設計したことでも有名だ。「ピート・ダイの設計で面白いと思ったのは、コースが1番から18番に戻ってくる間に8を横にした形になっているんですよ」。
杉澤氏がいうように、1番から4番ホールまでは西から東に向かってコースが続いていく。そして5番ホールで折り返すと、13番ホールまでの9ホールは東に向かって進む。14番から18番までの上がり4ホールはまた東に。それをなぞっていくと、8の字を横にした∞の形になる。
「もし西から風が吹いていたら、5番から13番まで9ホールずっとアゲンストなんです。これがとてもやっかいで、心が折れてしまう。
当然、フォローとアゲンストの打ち方は違いますから、フォローでは風に乗せて打っていたのが、アゲンストでは球を抑えたりしなくてはいけない。左右の風でも入れ替わるので、それまで左からの風で引っ張って打っていたのが、右からの風では押し出すように打つとか変わってくる。
リンクスコースでアップダウンはないが、フェアウェイには傾斜がつけられている。「フェアウェイの傾斜と、風の向きとグリーンの傾斜を読んで、球筋を作らないといけない。グリーンでボールを止めるために、どんな球を打つのかに着目すると面白い。左に曲がりやすいツマ先が上がりの傾斜で右から風が吹いたとき、フックを打っていくのか、それともカットを打つのか、そうやって見るとショットのすごさが伝わってくると思います」
■すべてのパー3が難易度が高い
この折り返しの5番と14番を含めて、パー3のすべてが難しいと杉澤氏はいう。「パー3は5、8、14、17番。難易度でいうと、難しいほうからベスト7に4つ全部入ってきます。
上がりの16、17、18番はザ・プレーヤーズ選手権と同じでパー5、パー3、パー4になっているので、スコアはいくらでも動く。16番パー5はマストでバーディを獲らないといけなくて、17番パー3と18番パー4で耐える。前回はマキロイが圧勝していますが、ドラマチックな展開も期待できると思います」。
■杉澤伸章
すぎさわ・のぶあき 75年生まれ。愛知県出身。