全米プロゴルフ選手権 事前情報◇18日◇キアワ・アイランド・ゴルフリゾート オーシャンコース(サウスカロライナ州)◇7876ヤード・パー72>
米サウスカロライナ州、大西洋に面した小さな島に一大ゴルフリゾートがある。チャールストンの街から約1時間、一本道の橋を渡るとアイランドに到着する。

5つあるコースの中でもっとも難コースなのは島の最先端に位置するオーシャンコース。1991年に鬼才、ピート・ダイの設計で誕生した。同年に開催された米国と欧州が戦うチーム戦、「ライダーカップ」では熱戦のすえ米国が勝利。“War by the Shore”(海辺の戦争)として知られている。
その後、同コースでは97、2003年に「ワールドカップ」、07年には「全米プロシニア選手権」そして12年に初の男子メジャー、「全米プロゴルフ選手権」が開催されたから、その姿は度たびたび目にしているゴルフファンも多いだろう。
今年の設定は7876ヤード、パー72。
9年前よりも170ヤード距離は伸ばされ、メジャー史上最長と謳われる。
島の先端のデューンズ(砂地)に造られたリンクスタイプのコースは、フロントナイン、バックナインとそれぞれクラブハウスの左右にセパレートされ、ともに前半はクラブハウスから離れて行って後半はクラブハウスに戻ってくるレイアウト。つまり風向きが変わらない限り、例えば練習日の18日に吹いた東からの海風であれば前半は1番から4番までがアゲンストで折り返した5番から9番まではフォロー。逆に後半は10番から13番がフォローで、14番から18番までがアゲンストとなる。
18日の風速は10メートルを超える突風も吹き、ツアー屈指のロングヒッター、ブライソン・デシャンボー(米国)も「14番以降でグリーンを狙うのに打った一番短いクラブは5番アイアン。一緒に回ったザック・ジョンソンは毎回ヘッドカバーを抜いていた」というほどだ。

この日バックナインをプレーした松山も「風向きで難易度がぜんぜん違う。きょうの風向きだったら、やっぱり15番から18番はとてもタフなホール」と話し、223ヤードの17番パー3は「ティを前にしてほしいな、くらいの感じ」と距離の長さを警戒する。
海沿いのリンクスタイプのコースだが、フェアウェイは意外と広く、特に後半はハザードが絡むホールも多い。また、前回同様にコース内のバンカーはすべてウェイストエリアの扱いとなり、ソールが可能というのも特徴だ。
12大会は雨の影響もありグリーンがソフトだったが今年は好天に恵まれている。トータル13アンダーで2位に8打差をつける圧勝を飾ったローリー・マキロイ(北アイルランド)は、「今回の風向きは前回とはまるで違うコース。
風が吹いてグリーンもグリーン周りもドライになっているぶん、前回のほうが簡単だった。今年はもっとリンクスコースに近い」と言うから、難コースに拍車がかかったよう。
優勝スコアは果たして…。松山は「13アンダーは風がなくても出ない」。今週はトッププロたちの嘆きの声が聞こえてくるかもしれない。(文・武川玲子=米国在住)