4つあるメジャーのうち「世界一過酷な大会」と呼ばれるのが現地時間20日(木)に開幕する「全米オープン」。近年は異なるときもあるが、優勝スコアの設定はイーブンパーとされ、昨年大会も優勝したブライソン・デシャンボー(米国)以外はオーバーパーという戦いだった。
そんな全米オープンはどれほど過酷なのか。トッププロたちの言葉から紐解きたい。
多くの選手から疑問符が付いたチェンバーズ・ベイ これは難しい…【写真】
■「何人かの選手があそこでプレーした。彼らの感想によれば、今回のコースは完全に茶番だ。とてもひどいグリーンだ」(イアン・ポールター)
サディスティックなまでのセッティングが施されることが多い全米オープンのなかでも特に独特なセッティングが施された2016年大会のコース、チェンバーズ・ベイに対して自身のSNSでの発言。
日によってパー数が変わるホールや、打ち下ろしから打ち上げに姿を変えるホールなど様々な仕掛けが施されたコースはグリーンも独特だった。
通常のベント芝ではなくフェアウェイと同じフェスキュー芝を採用しているため、どこまでがフェアウェイでどこからがグリーンか分からない上に芝の性質上コロがりが一定しない。
そんなグリーンに多くの選手が苦言を呈したが、なかでも過激な言葉を投げかけたのがポールターだった。なお全米オープンの翌週に日本ツアー「ISPSハンダグローバルカップ」に出場した際にヴィンテージゴルフ倶楽部(山梨県)のグリーンへの評価を聞かれ、「パーフェクトだ」と白い歯を覗かせ、その後「先週のグリーンよりも?」と質問が飛ぶとポールターは「イエス、イエス、イエス…」。何度も噛み締めるようにうなずいていた。
■「これが全米オープンかなぁ」(谷口徹
パインハーストNo.2で行われた14年大会の3日目に「88」を叩き、最下位に沈んだときの発言。「ボギーを獲りに行こうと思ったらボギーは獲れる。
でもパーを獲りにいかないとダメだから」という言葉の後にポツリと言った。
■「プロらしくなかったし、愚かだった」(ダニー・リー)
世界のトッププロが苦戦するほどの深いラフなど厳しいセッティングが施された21年大会の3日目に、18番のグリーン上でやる気のないパッティングを繰り返し、グリーンから下りる際にキャディバッグにパターを叩きつけ、パターを思い切りバッグに投げつけたことへの謝罪。
リーは、第3ラウンド18番のグリーン上で1.2メートルのパーパットを残したが、これが2メートルオーバー。さらにこのボギーパットを50センチオーバーすると、今度はアドレスも取らずにこのダブルボギーパットを強打。これが2.5メートルオーバーすると、さらに次のパットもろくに構えずにヒット。結局この“やる気なし”パットが続き6パット。
このホールを「9」とし、トータル13オーバーでホールアウトした。その後大会側に手首のケガを理由に棄権した。
この態度を自身のSNSで謝罪した。「ファンやスポンサーを傷つけた。フラストレーションが限界を超えて、ケガもあって1週間きつかったが、それはいいわけにしかならない。あのように去るべきではなかった。
USGAにも謝罪したい。しばらく休んで自分がしたことを考え、人として成長したい」と綴った。
■「とても心が痛む」(フィル・ミケルソン)
2013年、勝てば生涯グランドスラムというなか単独首位で最終日を迎えながらも、スコアを4つ落として自身大会6度目となる2位となったときに、記者から2位となった気分を聞かれて。「優勝したいトーナメントで今回が大きな転機となるはずだった。ここまでうまくプレーして、このコースを愛していた。最高のチャンスだった」と嘆いた。

■「2ペナルティ受けた方がいいと思った」(フィル・ミケルソン)
そのミケルソンが、シネコック・ヒルズゴルフクラブで行われた17年大会の3日目、13番のグリーンでパットを放ったミケルソンのボールがカップ横をすり抜け、スピードを増して、下り傾斜を落ちようとしたときに、ミケルソンは小走りにボールに向かい、まだ転がっている球をカップめがけて打ったときの発言。
「そのまま下っていったらいつになってもホールアウトできないから、2ペナルティを受けてもいいと思った。早く次のホールに行きたかった」とただでさえ傾斜が強い上にポアナ芝特有の不規則なコロがり、さらにこの日はピンポジションが厳しかった。それゆえに愚行に走ったという。「ゴルフを侮辱したととらえられたら申し訳ない」と謝罪したが、時すでに遅し。なお、この日は48歳の誕生日だった。

■「今までで1番のセッティング」(フィル・ミケルソン)
一転、セッティングに惜しみない称賛を送ったのがペブルビーチGLで行われた19年大会。「1番はピンポジション。選手の才能を引き出すセッティング。いいショットにはいい結果がでるようになっている」。大会前に全米ゴルフ協会(USGA)「ムリなセッティングをすることはない。自然に任せる」と話したこの大会は毎度恒例となっているコースについての文句はほとんど聞かれなかった。
■「レディスティで回っているよう」(松山英樹
その19年大会で同コースの名物ホールとなっている海岸沿いの打ち下ろしはなんと109ヤードというセッティングに。これには日本の怪物も「レディスティから回っているようですね。グリーンもちっちゃいし、微妙な風もある、そこをどう打つか」と独特の表現で話した。

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