ディフェンディングチャンピオンとして出場した松山英樹の連覇に注目が集まった今年のマスターズ。そして、それに付随して“あるできごと”にも、大きな関心が注がれた。
それが『チャンピオンズディナー』。これは開幕前の火曜日に開かれる歴代王者が集う晩餐会のこと。ふるまわれるメニューは前年王者が決めることが慣例になっているため、“松山が何を用意するのか?”と大きな話題になった。
日本人選手もとりこ オーガスタのサンドイッチがうますぎる【写真】
その宴はクラブハウス2階にある通称『ライブラリー』と呼ばれる大広間で行われたのだが、なんとここに記者も入れるということを知り、さっそく足を踏み入れることに。大会期間中は、関係者がそこをレストランとして使用することができたため、朝食をいただきがてらの“潜入取材”を敢行した。
クラブハウス1階の入り口から向かって左にあるらせん状の階段を上がったところが、つい先日、歴代王者が集まった会場となる。
撮影ができないため写真がないのは残念だが、長方形の部屋は40畳程度といったところだろうか。思ったよりも“コンパクトな空間”で、4人がけのテーブルが6卓並べられただけで、ほぼスペースが埋められていた。
“図書館”というだけあって、壁には蔵書も並べられているが、それ以上に目を奪われたのは、歴史を感じさせる貴重な展示物の数々。さながら『マスターズ・ミニ博物館』といった感じ。そのなかで思わず見入ってしまったものを、少し紹介する。
■1934年に行われた第1回大会プログラム
「オーガスタ・ナショナル・インビテーション・トーナメント」として初開催された当時のスケジュールが書いてある紙を発見。
これを見ると、日~火曜日までが練習日で、水曜日に「2ボール4サム」というものを実施。木曜日から本戦が始まるが、3日間は午前中に『アプローチ&パットコンテスト』(木曜日)、『アイアンコンテスト』(金曜日)、『ドライバーコンテスト』(土曜日)を行い、午後がラウンドだったみたいだ。そして日曜日に最終ラウンドをプレーする、という流れだった。
■1952年にベン・ホーガンが初めて出したチャンピオンズディナーの招待状
会期は4月4日(金)の午後7時15分と書かれており、当時は試合中に開かれたことがうかがえる。なかには「グリーンコートを着てくるように」という一文も。現在のグリーンジャケットのことと思われ、そういう部分にも歴史を感じる。

■ボビー・ジョーンズが書いた“レッスン本”
マスターズの創設者“球聖”ボビー・ジョーンズが書いたスイング教本もある。厳重に保管されており、中を見ることはできなかったが、技術向上のためにとる方法は今も昔も変わらないようだ。またジョーンズとともにオーガスタ・ナショナルGCを設立したクリフォード・ロバーツ氏の私物なども展示されている。
このほか、1957年大会で優勝したダグ・フォードのアイアンという年代ものや、タイガー・ウッズ(米国)が初優勝した1997年大会で使用していたドライバーなど、歴代優勝者のクラブも何本か鎮座している。
そして、今年のチャンピオンズディナーの集合写真と、参加者のサインが入ったメニューもさっそく飾られていた。写真の背景と、自分がいる場所を重ね合わせると感慨は深まるばかりだ。
また松山が2011年にローアマに輝いた時の写真や、昨年の「オーガスタナショナル女子アマ」を制覇した梶谷翼がサインしたピンフラッグ、昨年11月の「アジアパシフィックアマチュア選手権」優勝時の中島啓太の写真とメダルなど、日本人にまつわるものも見かけることができた。
ここに展示されているものは、歴史のほんの一部に過ぎないはずだが、時間を忘れて見入ってしまう。ちなみに記者が朝食をとった席は、ちょうどチャンピオンズディナーでグリーンジャケットを着た王者たちが記念撮影をした場所ということに、途中気づくことになる。オムレツ(15ドル)とコーヒー(4ドル)で、何にもかえがたい経験をすることができた。(文・間宮輝憲)

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