史上4人目の連覇がかかっていた松山英樹。最終ラウンドは5バーディ・5ボギーの「72」で回り、トータル2オーバー・14位タイで4日間を終えた。
現地でラウンド解説を務める米国男子ツアー1勝の今田竜二に松山の戦いぶりを聞いた。
新王者にグリーンジャケットを手渡す松山英樹【写真】
■難関ホールで出場選手唯一のバーディも流れに乗れない一日
最終日は気温も上がり、風も穏やかでようやくマスターズらしい気候になった。“サンデー松山チャージ”でトップ5、トップ3入りも期待された。「練習場ではショット自体もいいイメージでしたし、松山選手自身も65前後のスコアを目指してスタートできたと思います。しかし、きのうの1番のパーパットに続き、1番でのバーディパットを外したことで、流れに乗れない一日になったと思います」。
1番パー4では、松山らしいピンを刺す2打目を見せたが、2メートルのバーディパットを外してパーとすると、続く2番パー5はそれを引きずってか、ティショットを右のフェアウェイバンカーに入れるなどボギー。
続く3番も2打目のアプローチミスでボギーを喫した。「フロントナインは2番、3番、8番がバーディを取りやすいホール。追う立場としては出鼻をくじかれたかたちです」と上位を追う立場としては苦しい立ち上がりとなった。
しかし、240ヤードの4番パー3はティショットを2メートルにつけるスーパーショット。出場52人中唯一のバーディを奪った。続く5番もエッジから10メートルのパットを沈めてバーディ。
「フロントナインでトップ2の難ホールでバーディはさすがです。特に4番のティショットは松山選手らしい一打でした」。2つのバーディで流れを引き戻したかに思われたが、6番パー3では、易しいパットではなかったとはいえ、3パットのボギーとなかなか波に乗れない。
「いいショット、いいパットが出たと思ったら、次のホールで悪いショットや運に見放されるなど、流れに乗れない日でした」。5バーディ・5ボギーという内容が示すように、出だしの浮き沈みが終盤まで続くかたちとなった。「1カ月試合から離れていたことで試合勘が無かったり、調整不足も影響したと思います。
練習や試合を重ねて、フィーリングを取り戻していくしかないと思います」。
■気力と王者の意地で4日間戦った印象
「とはいえ、首痛の影響もあって月曜日の時点では60パーセントくらいしか振れない感じで、初日に出場できるかさえ心配されていました。初日にはティオフでき、ディフェンディングチャンピオンとしてのプレッシャーもかなりあったと思いますが、2日目を終えて2位タイと好位置をキープ。気力とチャンピオンの意地やプライドで、いいゴルフを見せたいという気持ちであの位置に入れたのだと思います」。前週の試合は途中棄権。出場が危ぶまれる中、トレーナーの献身的なケアにより参戦は可能となった。

史上4人目の連覇は逃したが、ディフェンディングチャンピオンとしての役割はまっとうできたという。「ひと昔前は日本勢が2日目を終えて2位タイ、最終順位が14位ならよくがんばったと盛り上がっていたと思います。松山英樹はすごいですよ。調子が悪くて、不満の中で14位ですから」。あらためて松山の異次元さを示した4日間となった。
「松山選手本人は、64、65を狙いたかったと話していましたが、それぐらい自信も戻ってきていると思います。
ひとまずケガを治して、そこからです。マスターズは無理矢理出場した感があるので、まずは100パーセント首の心配をなくして、100パーセントの状態で練習できるように戻して欲しいですね」。メジャー初戦が終わったばかりだが、今季のメジャーは残り3戦。5月の「全米プロ」から“メジャー2勝目”に向けての戦いは続くが、まずは体調の回復に努めてもらいたい。
■今田竜二
いまだ・りゅうじ/1976年10月19日生まれ、広島県出身。テレビで見た「マスターズ」に憧れて、14歳で単身渡米。
アマチュア時代の米国ランキングはタイガー・ウッズに次ぐ2位。下部ツアーを経て2005年から米国男子ツアーに参戦。2008年「AT&Tクラシック」で日本人3人目の米国男子ツアー優勝を遂げ、翌09年にあこがれのマスターズに出場した。2022年のマスターズはTBSのラウンド解説を務めた。

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