
2023年4月には、法人向け会員制宿泊サービス「SANU 2nd Home for Business(サヌ セカンドホーム フォー ビジネス)」を開始、導入企業は150社以上にのぼる。また、2024年2月には共同オーナーとして別荘を所有できる「SANU 2nd Home Co-Owners」を発表。年間12泊・300万円台から別荘を共同所有できるサービスで、こちらも好調だ。
セカンドホーム市場で存在感を示すSANUが考える「別荘の可能性」とはーー。
サブスクに共同所有、進化する別荘サービス
一昔前は富裕層にしか縁がないと思われていた「別荘」だが、今やその存在が身近に変化してきている。このセカンドホーム市場を牽引する一社がSANUで、サービス提供を開始した当初に各所から注目を集めた。すぐに会員枠が埋まり、その後は1年以上の会員登録待ちが発生、現時点では会員待ちはほぼ解消されているが、会員枠が埋まっている状態が続く。生活に必要な家電や日用品など一式がそろい、清掃など管理の手間が省けるのもSANUの魅力だ(SANU提供)現在は個人向けのサブスクのほか、30泊9万円~の法人向け会員制宿泊サービス「SANU 2nd Home for Business」や年間12泊を30年間利用可能・300万円台から共同所有できる「SANU 2nd Home Co-Owners」も展開する。
Co-Ownersはローン利用が可能となり、初期費用を最小限に抑えて、購入金額全額をローン対象として月々3万円~の支払いが可能だ。この価格帯ならば、別荘所有が選択肢に入る人がグッと増えそうだ。実際、第一弾として発売した物件(200口)が2.5時間で完売するなどの反響があるという。

ここ数年で、サブスクや共同所有など斬新なビジネスモデルを展開する別荘サービスは増えている。
<サブスク別荘>

2024年3月リリース。海と共に過ごすための別荘を提供するサブスクリプションサービスで、月額55,000円(休日・休日前の宿泊費と清掃費は別途)となる。2024年8月現在は9つの物件が利用でき、今後も拠点が増える予定。会員登録待ちとなっている様子を見ると、一定の支持を得ているようだ。
OURoom
2022年10月リリース。都心と地方の暮らしをどちらも自由に選択できる暮らしを提案するサブスクリプションサービス。会員費は1,000円で、宿泊するごとに宿泊費と清掃費の支払いが発生する。2024年8月現在は茨城県内の3拠点が稼働中、2024年中に千葉、山梨に複数拠点がオープン予定だという。
<共同所有>

2021年9月リリース、年間10泊分から使いたい分だけ購入が可能なシェア購入サービスを提供。2024年8月現在は6つの物件を販売しており(完売やキャンセル待ちを含む)、どれもラグジュアリーで高価格帯となる。会員権ではなく「所有権」での購入となるため、減価償却、売却、相続が可能になる。
UMITO
2022年10月リリース、既出のNOT A HOTELと提携して、海のそばにあるラグジュアリーな物件を共同所有できる。NOT A HOTELと類似する仕組みで、年間10泊980万円から保有できる「シェア購入」と1棟を丸ごと購入する「1棟購入」があり、所有権としての購入や相互利用も可能。使用しなかった日はホテルとして貸し出して、収益を回収できる。
サブスクと所有を切り替え、より軽やかな2拠点生活へ

さらに、「サブスク」と「所有」の2パターンから選べるようになったことから、ライフスタイルの変化に合わせて利用形態を切り替える会員もいるという。
「例えば、夫婦2人やお子さんが小さいうちはサブスクを使って平日メインで利用、お子さんが小学生以上になったら所有に切り替えて休日メインで利用する、という方は多いですね。サブスクは4連泊までのところ、所有は12連泊まで可能で複数の拠点を同時予約できます。親子3世代でゆっくりと滞在するなど、多様な滞在スタイルがかないます」(古賀氏)

所有の場合、30年間の利用が可能だが、4年間保有するとSANUの会員が属するセカンダリーマーケットで所有権を販売することも可能になる。
富裕層だけじゃない、多くの人が別荘を持てる時代に
SANUをはじめ、さまざまなセカンドホームサービスが誕生したことで、私たちは「都市」と「地方」の2拠点生活を選択しやすくなった。月額55,000円は誰もが気軽に利用できる価格帯ではないが、「利用を検討したい」「一度使ってみたい」と考える人は多いのではないか。

SANUの会員は、自然のなかで何もしない時間を大切にしたり、自宅の延長のように一人の時間も家族との時間も楽しんだり、子どもと一緒にアクティビティではしゃいだり、思い思いにセカンドホームライフを満喫しているという。
「セカンドホームでの暮らし」がいよいよ身近になってきている。セカンドホーム市場がここからどう変化していくのか、期待が高まる。
後編では、2024年8月にオープンしたばかりのSANUの新施設「北軽井沢2nd」を訪れ、新たな建築モデル「SANU CABIN MOSS(モス)」に体験宿泊した様子をお伝えしたい。
取材・文:小林香織
編集協力:岡徳之(Livit)