
【プロフィール】そらベジガーデンハックさん東京農業大学卒の植物系インフルエンサー。2024年に著書『おうちで大収穫!世界一カンタンな野菜のつくり方』を出版。YouTubeやInstagramにて園芸全般の魅力を初心者にもわかりやすく発信中。出典:Reencle(https://reencle.net/)
堆肥が作れる家庭用コンポスト
——今回ご紹介いただくサステナブルな商品についてお聞かせください。家庭用のコンポストReencleを紹介します。従来のコンポストは自分で攪拌(かくはん)する手間がありますが、Reencleはその作業が不要です。さらに、強力な脱臭システムが付いているので、これまで使用していてもほとんど臭いを感じたことがありません。特に夏場は、生ゴミによる小バエの発生や腐敗臭が気になりますよね。でも、Reencleなら気にせずポイッと入れるだけでOKなので、生ごみの処理がとてもラクになりました。
——Reencleは堆肥を作れるということで、生ごみ処理に加えてご自身の家庭菜園にも活用していますか?
もちろん活用しています。生ごみを入れると一日ほどで堆肥の状態になるので、家庭菜園にチャレンジしたい方にもぴったりです。最近では、コンポストの購入に補助金を出す自治体も増えており、導入のハードルが下がってきています。
自分で堆肥を作ると、ちょっとしたクリエイティブな感覚を味わえるんです。「これも土に還るかな?」と考えることが、自然や環境への意識を高めるきっかけにもなります。
私なりのサステナビリティ
——家庭菜園や植物と向き合うことの魅力をお聞かせください。僕はそれほど味に敏感ではないのですが(笑)、それでも「採れたての野菜って美味しい!」と素直に感じます。鮮度の良さを実感できるのは、家庭菜園の大きな魅力ですね。
お子さんがいるご家庭であれば、食育にもなりますし、栄養のある野菜を食べることは健康にもつながります。輸送や過剰包装も不要で、その場で野菜の恵みを味わえる。家庭菜園は、あらゆるサステナビリティの起点になると言えるかもしれません。
それから、ビジネスで成功されている方のなかには、生活に瞑想を取り入れている方も多いと聞きます。植物に水をやったり、静かに成長を観察したりする時間は、まさに瞑想に近い。植物と向き合うことは、心のサステナビリティにもつながるのだと思います。

失敗しにくいのはネギです。長ネギや小ネギなどいろいろありますが、どのネギでもOKです! 根本から5cmほど上を切ってそのまま土に挿せば再生します。水に浸けておくだけでも、翌日には育ってまた食べられますよ。
人参も簡単に栽培できます。ヘタの部分を2cmほど残して水平に切り、それを水に浸けておくと葉が伸びてくるので、そのままサラダにしても美味しくいただけます。
それから、パイナップルのヘタを花瓶に挿して観葉植物として楽しむのもおすすめです。「植物を育てるのってクール!」と思える世の中になったら嬉しいですね。
——大学では森林の環境保全に関わる造林学を学ばれたそうですが、環境保全において私たち個人が貢献できることは何かありますか?
一番わかりやすいのは、「間伐材」と呼ばれるものを使うことです。身近な例では、「間伐材使用」と書かれた割り箸がありますね。
実は、日本には手入れが行き届かずに放置されている“不健康な森”がたくさん存在しています。間伐を行わずに木が密集してしまうと、森の中に光が届かず、健康な根を張った木が育ちません。こうした森は、土砂崩れや山崩れの原因にもなります。
木の伐採は悪いことと捉えられがちですが、人間の暮らしを守るためにも、「間伐」と呼ばれる木を間引く作業は不可欠です。間伐を進めるためには「間伐材」の需要を高めることが重要なので、ぜひ日常生活の中で間伐材を使った製品にも注目してみてください。

ご紹介した間伐の話も、自分ごととして捉えるのは難しいかもしれません。でも、豊かで健康な植物が増えれば、二酸化炭素が減り、温度が下がる——。これは確実に環境の改善につながります。次世代のためにも、ほんの少しでも植物や森の存在を意識してもらえたら嬉しいです。
そして、たとえ直接的な実感がなくても、“徳を積む”くらいの感覚で構わないと思います。自分自身をもっと好きになれるきっかけとして、あるいは日々の暮らしを少し豊かにしてくれるものとして、サステナビリティに向き合ってみてもよいかもしれません。