慶応義塾大学教授で、国際政治学者の細谷雄一氏が2月20日(月)、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』に出演。ロシアのウクライナ侵略から1年。
岸田文雄首相を表敬し握手を交わすウクライナのコルスンスキー駐日大使=2022年12月14日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社
細谷氏は、欧米各国がウクライナへの戦車の供与を決定したことについて、「現在、現地で続く激しい地上戦では戦車が非常に有効。ドイツのレオパルド2などが供与されれば、今後はウクライナが有利になる可能性もある」と指摘。そのうえで、NATOの支援について、「ウクライナが負けないようにすることと、ロシアが戦術核を使わないようにすること、2つの矛盾した要件を満たさなくてはならない。天秤にかけるような難しい支援だ」と話した。
そして、停戦の可能性については、「停戦の機運は見えないが、プーチン大統領がイメージしているのは、1999年から10年間続いた第二次チェチェン紛争ではないか」と指摘。当時、ロシアがチェチェン共和国の首都グローズヌイを10年間、徹底的に破壊し続けたことに言及し、「プーチン大統領は今回の戦いでもこれと同じようなことをしようとしている」と、プーチン大統領の戦略について語った。
細野氏は、「ロシアはウクライナの非戦闘員に攻撃を続けることで、戦争は悲惨だからやめなくてはいけないと主張する一方、悪いのはアメリカやウクライナであるというプロパガンダを展開していき、そのうち、国際社会が早く戦争を辞めた方がいいという雰囲気に持ち込んで、西側諸国のウクライナへの支援をやめさせるように誘導していくのではないか。停戦の機運は見えないが、これがプーチン大統領の戦略だと思う」と語った。
またウクライナ危機後の国際秩序について、「ロシアの力による現状変更を許してしまったら、次々と国際社会の信用が崩壊して、他の国でも現状変更が続く可能性がある。法の支配による国際秩序を壊してはならない。国際法を無視した侵略を阻止するというのは、G7の一致した見解ではないか」と話した。
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