東京大学先端科学技術研究センター特任講師の井形彬氏が2月27日(月)、ニッポン放送『新行市佳のOK! Cozy up!』に出演。肉や魚の細胞を培養して育てる「細胞農業」について解説した。
中国のスタートアップ企業、細胞培養肉の試食イベント開催 CellX社がイベント会場で展示した豚肉料理「小酥肉」。(資料写真)中国の細胞培養肉スタートアップ企業「CellX」がこのほど、上海市で細胞培養肉製品の技術実演と試食イベントを開催した。今回試食された豚ひき肉製品の原型は、黒豚の筋細胞と植物性タンパク質を組み合わせたもので、コストが安く、技術的にも比較的成熟している点が特徴で、商品化に最も近い製品形態でもある。イベントではこの他、豚肉のダイスカットやスキャフォールド(足場材)、3Dバイオプリントという3種類の構造化製品の原型も紹介された。(上海=新華社配信)= 配信日: 2021年9月11日 新華社/共同通信イメージズ
細胞農業は、生きた動物から取った細胞を培養させて肉や魚を育てる先端技術を用いた生産方法。井形氏は、細胞農業が世界各国で注目される理由について、様々な要因があるとしたうえで、「気候変動を含めた環境面や、国際情勢によって食料の安定供給ができなくなるという各国の不安がある」と指摘。そして、「細胞農業の技術は、環境負荷を減らしたかたちで、まったく同じ肉などの食材を生産することができる。小さな工場でも生産ができるので、サプライチェーンを考えなくても自国で地産地消ができる。そのため、細胞農業は食料安全保障に寄与するとして各国が注目している」と語った。
また、井形氏は、「シンガポールでは、すでに鶏肉を培養して生産したチキンナゲットが販売されていて、アメリカでも、試食段階でサーモンやベーコンなどが生産されている」と、海外での開発状況に言及。日本については、「まだ一般の人の試食はできないが、開発者の間では培養したフォアグラの試食が行われたり、ミシュランスターを持つ日本料理店と共同で料理を作るなどしている」と、開発が進んでいることを伝えた。
今月22日の予算委員会では、岸田首相が「安全確保の取り組みや表示ルールなど、環境整備を進める」と答弁。
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