「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
特上牛肉弁当
小説や映画、アニメなど、世の中にはさまざまなジャンルのファンブックが存在します。

HC85系車両・特急「南紀」、紀勢本線・三瀬谷~滝原間
この7月から紀勢本線でも営業運転を開始したHC85系車両の特急「南紀」が、三瀬谷の鉄橋を渡っていきます。特急「南紀」は、いまから45年前の昭和53(1978)年10月、紀勢本線の新宮電化に伴い、名古屋~天王寺間で運行されていた特急「くろしお」が、天王寺~新宮間の電車特急となった際、名古屋と南紀を結ぶ列車として誕生しました。平成4(1992)年にはキハ85系気動車が投入され、大幅なスピードアップが図られました。

キハ25形気動車・普通列車、紀勢本線・新鹿~波田須間
夏の東紀州は、どの季節にも増して海の色が美しいものです。とくに、湾に面した新鹿(あたしか)駅前には、白い砂浜のある海水浴場があり、青い海と空が大きく広がります。1980年代~90年代の初めにかけては、快速「あたしか」などの臨時列車が運行され、夏場は、特急「南紀」が新鹿駅に臨時停車していた時期もありました。いまは2両編成のワンマン列車が時折やってきて、のどかな時間だけが流れていきます。

「駅弁のあら竹」ファンブック
風光明媚な景色が広がる紀勢本線で、三重県唯一の駅弁業者として孤軍奮闘するのが、松阪駅弁の「新竹商店」です。

特上牛肉弁当
ファンブックでは、昭和34(1959)年に発売されたロングセラー駅弁「元祖特撰牛肉弁当」の新竹社長直伝の食べ方・温め方も紹介されている他、各種駅弁も案内されています。その1つに「元祖特撰牛肉弁当」のデラックスタイプとして紹介されているのが、「特上牛肉弁当」(3000円、要予約)です。長年、松阪駅の駅弁はいただいていましたが、じつは私自身も“未食”だったのがコチラの駅弁でした。
特上牛肉弁当
【おしながき】
・白飯(三重県産コシヒカリ)
・黒毛和牛ステーキ風(3枚) 付け合わせ
・黒毛和牛のしぐれ煮
・蒲鉾
・自家製玉子焼き(地主共和商会の卵を使用)
・煮物(三重県産椎茸、ごぼう)
・れんこん
・切り干し大根
・うぐいす豆
・大根の桜漬け
・大福

特上牛肉弁当
黒毛和牛の内ももの柔らかい部分を厳選し、じっくりと丁寧にオーブンで網焼きにされた「元祖特撰牛肉弁当」の牛肉。「特上牛肉弁当」では、より柔らかく、うま味のある上質な黒毛和牛が多めに入っていて、食べ応えも十分です。また、地元・多気にある「地主共和商会」の卵を使った玉子焼きや地元産椎茸を使った煮物など、「おかず」もすべて手作り。白飯に牛肉やたれを絡めながら、1つ1つの美味しさを、じっくりと味わいたいものです。

モー太郎ランチバッグ(画像提供:新竹商店)
「駅弁のあら竹 ファンブック」には、駅弁以外のグッズ紹介もされています。なかでも評判なのが、名物駅弁「モー太郎弁当」が3つ入るという「モー太郎ランチバッグ」(3000円)。

HC85系車両・特急「南紀」、紀勢本線・三野瀬~紀伊長島間
構想約4年をかけて実現したという「駅弁のあら竹 ファンブック」の企画を担当した新竹商店の新竹実奈さんは、「小さい駅弁店ならではのスタッフの顔が見える温かみのあることをしたかった。ファンの皆さんと一緒に作り上げた1冊です」と胸を張ります。この夏、新型特急車両もデビューして、話題の紀勢本線の旅。松阪駅では駅弁と一緒に、駅弁の作り手と駅弁が大好きな皆さんの愛が詰まった1冊も手にしてみてはいかがでしょうか。
- ※画像はイメージです
- HC85系車両・特急「南紀」、紀勢本線・三瀬谷~滝原間
- キハ25形気動車・普通列車、紀勢本線・新鹿~波田須間
- 「駅弁のあら竹」ファンブック
- 特上牛肉弁当
- 特上牛肉弁当
- 特上牛肉弁当
- モー太郎ランチバッグ(画像提供:新竹商店)
- HC85系車両・特急「南紀」、紀勢本線・三野瀬~紀伊長島間
連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/