東京大学先端科学技術研究センター専任講師の小泉悠が8月31日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ロシアによるウクライナ侵攻における、ウクライナ軍の反転攻勢の現状について解説した。
東部ルガンスク州の塹壕で命令を待つウクライナ軍兵士ら=2023年8月19日 写真提供:産経新聞社
予想通りに進んでいないウクライナ軍の反転攻勢
小泉)(ウクライナの反転攻勢は)当初予想されたほど、うまくいっていないのは確かだと思います。6月上旬に南部方面での攻勢を始めていますので、ほぼ3ヵ月近く経ちます。当初の構想では150キロぐらい南に突進し、アゾフ海の沿岸まで出るという計画でした。
飯田)海まで出るのですね。
小泉)そうすればロシア軍を東と西に分断できますから。特に、西側に分断されたロシア軍は本土から切り離されてしまいます。
飯田)クリミア半島の橋だけになってしまう。
小泉)分断されたロシア軍を倒すことは、それほど難しくないだろうと。今年(2023年)中に、いまのロシア軍の占領地域を半分にすることも可能だったわけです。
地雷原と要塞化した防衛線を張り、ウクライナの前進を阻むロシア軍
小泉)現状、ロシア軍はウクライナ国土の17%ぐらいを占拠していますので、この作戦がもし成功するのであれば、ロシア軍の占領地域を7~8%ぐらいにまで抑え込める見込みでした。しかし結局、3ヵ月近く行って、10キロちょっとしか進めていないのです。
飯田)10キロ。
小泉)それに先立つ半年間、ロシア軍がガチガチにそこを要塞化していたからです。穴を掘って地雷を埋めている。
南部ロボティネ奪還でウクライナ軍の反転攻勢の新展開の可能性も
小泉)しかし、それがこの10日ぐらい、もしかすると潮目が変わってきたかも知れないと言われています。南部ロボティネをウクライナ軍が突破できたのです。
飯田)突破した。
小泉)もしかすると、この秋中に新しい展開があるかも知れませんが、依然として厳しいことには変わりないと思います。
- 東部ルガンスク州の森で迫撃砲を発射するウクライナ軍兵士=撮影日:2023年08月19日 写真提供:産経新聞社
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