ニッポン放送・石井玄

ニッポン放送のイベントや舞台などを企画する部署にて、注目の企画を次々に生み出している石井玄(いしい・ひかる)。

制作総指揮として関わった舞台演劇番組イベント生配信ドラマ『あの夜であえたら』が、2023年10月14日(土)、15日(日)と東京国際フォーラムホールAにて開催。

「自分の実体験も込めて、ラジオ業界の“今”を描いた作品」として強い覚悟を持って臨んだ前代未聞の今作を終え、今彼は何を思うのか。

そして、2024年2月18日(日)に控えた番組イベント『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』に対する想いとは。

お客さんが、作品を完成させてくれた

制作総指揮が語る『あの夜』を終え『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』にかける想い
制作総指揮が語る『あの夜』を終え『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』にかける想い

−−『あの夜』お疲れさまでした。まず無事に終えられたことへの感想を聞かせてください。

石井:改めて、客席にお客さんが入ることで、ようやく完成する作品だったことに気付かされました。

みんなで思いついたことを出し合って、「実現するためにはどうすればいいのか?」と議論を深めていって……みんな「これはすごいことになるかもしれない」という自信も芽生えていったけど、「もしかしたらお客さんに伝わらないかもしれない」という不安もあって。
でも、お客さんたちはみなさんちゃんと理解してくれた。

ラジオリスナーの読解力の高さに感謝です。当日は客席側から全て観て、自分が想像していた以上にいいものができたと思います。

中心スタッフとして奮闘してくれた脚本・演出の小御門優一郎さん、映像監督の宮原拓也さんは当日配信ブースにこもりっきりになっていたので、「すごく面白かったよ。ありがとう」と伝えました。

−−具体的にはどのシーンでお客さんの存在の大きさを感じましたか?

石井:まずはオープニングですね。シームレスに幕が開けるような演出だったのですが、ホールAに入ると、すでに舞台監督が準備しているところから始まって、音声トラブルの場面もあって、最初に入ったお客さんが「え?」みたいな表情をされて……でも、開演時間になってお客さんが気づいた瞬間は嬉しかったですね。

小松利昌さん演じる舞台監督・古家晴彦が、お客さんがペンライトを振ってくれる様子を想像するシーンも、お客さんがちゃんと振ってくれたから成立しましたし。

もうひとつは、なんと言っても千葉雄大さん演じる藤尾涼太のシーンですね。お客さんがいる設定のシーンなので、そもそもトーク部分の稽古が意味をなさない。本番は千葉さんはアドリブでどんどんやってくれて、しかもお客さんの反応が良かったので、すごくラジオっぽいシーンだったと思います。

こんなに難しいとは思わなかった(笑)

制作総指揮が語る『あの夜』を終え『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』にかける想い
制作総指揮が語る『あの夜』を終え『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』にかける想い

−−改めて、かなり難易度の高い作品だったように思うのですが、なぜこの企画をやろうとしたのでしょうか?

石井:前作『あの夜を覚えてる』が番組にフォーカスしていたので、今回はイベントにフォーカスしました。

前作が「ラジオが好き。ラジオっていいよね」というコンセプトだとしたら、今作は「ラジオって大変だけど、ラジオが好きなみんなでなんとかしていこう」というコンセプトです。

テーマは「番組が終わること」なんですけど、「番組終了とは?」「番組イベントってどういうこと?」みたいな内容をかなり盛り込みました。自分の実体験も込めて、ラジオ業界の“今”を描いた作品です。

もうひとつは配信という文化にもう一度目を向けたかったからです。以前と比べて配信でイベントを楽しむ人は減ってきています。だからこそ、「リアルと配信の融合できるものを世に送り出せるのは今しかない」と搾り出しました。最初はいろいろな人に「無理です」と言われてたんですけど、どうにか……正直こんなに難しいとは思わなかったですけどね(笑)。

−−特に難しかったのはどのあたりでしょうか?

石井:やはり、ドラマ(映像)チーム、舞台演劇チーム、ライブイベントチーム、そしてラジオチームが手を組むわけですから、それぞれ言語が違うんですよね。でも、先にある見えないゴールを目指さなくてはいけない。途中からキツくなって弱音を吐くスタッフも少なからずいました。

だから、僕自身は途中からモチベーターの役割も担っていましたね。稽古中も「順調ですね」「できつつありますね」といった言葉を口にしてみんなが前を向けるようにしていましたし……。

ただ、当日もテクニカルなところで「うまくできるのか?」という部分があったので、舞台袖に主要スタッフを集めて「本当に事故ったらどうするか?」という話もしていました。

「失敗したら僕が出ていって説明します!」と。本当に『あの夜』の世界観でしたね(笑)。

『あの夜』から東京ドームへ

制作総指揮が語る『あの夜』を終え『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』にかける想い
制作総指揮が語る『あの夜』を終え『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』にかける想い

−−2024年2月18日(土)には番組イベント『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』が控えています。『あの夜』を経て、何か変化はありましたか?

石井:正直、ずっと同時進行だったので、達成感はあまりないんですよね。『あの夜』が終わったことで打ち合わせの数も増えたので、企画はどんどん濃くなってきています。

変化があったとしたら、「伝わらなかったらどうしよう」という恐怖心はなくなりましたね。

「『あの夜』が伝わったなら、リトルトゥースにも伝わるだろう!」と。リトルトゥースはお気づきだと思いますが、番組内で「こんなことをやります」というインフォメーションは一切していないんですよ。だから……楽しみにしておいていただきたい。

オードリーのお二人、そしてリトルトゥースのためにという気持ちはもちろんですが、僕自身が「死ぬほど面白かった」と思えるためにつくっていますから。

−−前例がないことへの不安は?

石井:確かに前例はないけど、やっちゃいけないことなんて、ないんです。「舞台演劇番組イベント生配信ドラマをやっちゃダメ」「東京ドームでラジオのイベントをやっちゃダメ」なんて誰も言ってないですよね。

だから、僕はそういうところで勝手に線を引かないようにしています。むしろ「前例がない」と言われるようなところにこそチャンスがあるとすら思っています。

−−最後にリトルトゥースのみなさんにメッセージをお願いします。

石井:リトルトゥースのみなさんにとって一生の思い出になることは間違いないので、ぜひこの“お祭り”に参加していただきたい。宣伝Tシャツを着てくれたり、宣伝ステッカーを貼ってくれたりしてきた方が「自分も東京ドームのライブをつくることに貢献しているんだ」と思いながら参加してもらえたら、心から楽しめる時間になると思います。

制作総指揮が語る『あの夜』を終え『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』にかける想い
制作総指揮が語る『あの夜』を終え『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』にかける想い

制作総指揮が語る『あの夜』を終え『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』にかける想い

■イベント名:『オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム』
■開催日:2024年2月18日(日)
■会場:東京ドーム 〒112-0004  東京都文京区後楽1-3-61
■出演者:オードリー ほか
■イベントHP:https://event.1242.com/events/audreyann_in_tokyodome/
■グッズ販売サイト:https://img.hmv.co.jp/cont/online/AUDTKD/
■イベント公式Twitter:@AudreyTokyoDome
■YouTubeチャンネル「オードリー若林の東京ドームへの道」
https://www.youtube.com/channel/UCR2-8yf3HYwYCcbA_aUWOJA
■ハッシュタグ:#オードリーANN東京ドーム